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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   判断の仕方   ☆shooting star☆

 視覚系は、光を介して物の形を認知し、大変有効な感覚器だが、あまりに有効なので、物の大きさがわからないことがある。相対的な大小はわかるが、太陽などの宇宙に浮かぶ星や微生物などの実際の寸法は、望遠鏡や顕微鏡を使わない限り正しい判断できない。実際の大きさを知るということができないので、人の世ではモノサシを売っているのである。それは大きさの絶対値を知るためでもあり、それを幾何学に持ち込むと、比例あるいは相似になり、これは、形は同じだが、絶対的な大きさはどうでもよく、まさしく視覚系の性質を持っている。視覚系は、見ているものの中に絶対座標を持ち込むようには、進化してこなかった。あえてそれをしたとしても、いちいち座標を定めるために計算量が膨大になり、いきなり大きな脳を作らなければならなかったのかもしれない。われわれが比例や相似を考えることができるのは、本来、視覚系にそういう性質が存在するからであろう。
 確かに相対的ということは、私達にとって便利だ。私は、服を買うときに、始めに、一目みて「いいかも」と思った服を全て購入する服の候補にする。その後、選んだ服の中でどれが一番いいかを決める。「これよりこっちの方が可愛い」「これは少し派手すぎだ」などとまずは一つの服と他の服とを見比べる。そして、最終的に一番良いものだと思ったものを購入する。このような物事の選択の仕方は、私に限らず、たくさんの人がしているはずだ。人々は、他のものとの比較で相対的に見ると、物事を決めやすくなったりわかりやすくなったりするケースが多く、それは流動的なものなのである。
 しかし、人生には絶対的なものが必要なときもある。例えば、人々は自分の生き方を考えるとき、その目標となるものが時と場合によって変わったのでは決意できない。価値の変わらない目標が必要なのだ。スポーツ選手たちの場合が一番考えやすいだろう。「大会で金メダルを取りたい」「自分の今の限界を超えたい」。彼等の目標はそれぞれである。もし途中で目標を変えてしまえば、自分の人生は180度回転するときが多く、やり直すのはかなりの困難だ。一度やりとおすと決めたものは、首尾一貫してやりとおさなくてはならない。それを知った上で、彼等は絶対的な目標を決めて日々鍛錬するのである。これはスポーツ選手に限らず、テストで満点を取るとか、仕事を最後まで終わらせるなどの目標がある場合でも当てはまる。一度決めた目標を成し遂げようという意志が折れれば、それを達成することは不可能に近い。このように、絶対的なものがなければ、得られるものも得られなくなるときがあるのだ。
 確かに、相対的なものも、絶対的なものも、どちらも大切だ。相対的に物事を考える方が効率がよかったり、何にもとらわれず物事を考える方が無難だったりする。しかし「できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことが、真に規則を生かす道である。」という名言がある。この言葉があるように、一番大切なことは絶対的なものを一人で決めて行使するのではなく、生きていく中で他の人と協調しつつ判断していくことである。生きていれば、他の人との関係は必ずできる。その人たちとお互いをわかりあい、話し合って物事を決めることで、人々の人生はよりよいものになるはずである。

   講評   mako

 実例を入れながらしっかり書けました。
 私たちは無意識のうちにいろいろなものを比べて判断しているのね。それはもともと視覚系が持っている性質で、正確なモノサシを持っていないおかげでもあるのね。
 反対に正確なデータに弱く、数字をすぐ信じてしまうのは、人の能力でははじき出せないものだからかもしれません。
 食べ物が腐っているかどうか、食べても大丈夫かどうかを判断するには、計測器より人の鼻や舌の感覚の方が優れているそうです。もちろん人は細かい数値で判断するわけではなく、何となく不快というような程度の感じです。でも、動物的勘は侮れません。生命を危機から守る感覚がちゃんと備わっているのね。
 ぜんざいといっしょに食べる塩昆布やスイカに塩をふって食べるのは甘さを引き立たせるためだと言われていますが、これも正確な糖度の数値にこだわらない相対的な感覚のなせる技ではないかと思います。人間のからだは本当によくできているなあと思います。


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