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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自分の生きる意味   きへあ

 色づいたカキは日本の秋を彩る風物詩である。カキは日本名のまま世界で通用する数少ない果物でもある。大正期までカキは日本の果物の王座に君臨していたが、今はナシにまで生産量で遅れをとるようになってしまった。しかし「庭先果樹」としては、今もカキの右に出るものはない。カキには甘ガキと渋ガキがある。渋ガキが渋いうちは動物は手を出さない。渋は無用な時に動物に食われるのを防ぐ「適応」的な意味を持っているのだろう。しかし渋を抜いてまで若いカキを食べる人間の出現は、カキの進化にとって勘定外のことであったに違いない。
 私の祖母は、家の畑にカキの木を植えている。そのため、毎年秋になると我が家には祖母から大きなカキが送られてくるのである。私は、カキが大好きではない。小さな頃からカキは食べてきたが、どうしても大好きにはなれないのである。今年も祖母の家から沢山のカキが送られてきた。送られてくるのは甘ガキだ。祖母の家は四国なので、甘ガキが育ちやすい気候なのだろう。祖母のカキはまるでメロンようにやわらかくて甘いものが多い。また祖母は、甘ガキだけでなく、干しガキも送ってくれる。この渋ガキは近所の人が毎年分けてくれるものらしい。私は干しガキが渋ガキであることを初めて知った。恥ずかしい事であるが、今まで甘い干しガキを食べて甘ガキは一体どこまで甘いのだろうかと思っていた。
 私の父は、オートバイで出掛けて自然の風景を写真に撮るのが趣味だ。今の季節の撮影の題材は「オートバイとカキの木」であるらしい。父のオートバイはカキの色と良く似たオレンジ色なので、カキの木とオートバイを写真に一緒に写す事で、より秋を感じることが出来るそうだ。その、カキの木があるのは大抵農家の庭先であるそうだ。やはり日本の農家には、カキの木が似合うのだなと、その話を聞いて改めて思った。
 自然とは極めて不思議なものである。カキに限らず、果物に限らず、木も草も自分達の子孫を残す為に一生懸命生きているのだ。どの時期に動物に食べてもらうのか、どの時期は食べられないようにすべきなのか。「一生」という短い時間の中で、彼らは一生懸命に自分の生きる意味を追究しているのだ。それに対して私達人間は、一人一人の生きる意味を一生の中で見出すことが出来ているだろうか。私の生きる意味とは一体何なのだろうか。これからまだまだ人生長いのだから、などと思わないで、毎日生活する中で少しでも「私が生きる意味」見つけていけたら、と思っている。農家に植えられたカキの木を見て、私も一生懸命に生きなければ、と思った。

   講評   kira

 たけるさん、こんにちは。柿は私たちになじみの深い果物です。「柿食えば」の俳句も有名であるし、古典の中に今で言うスウィーツとして登場しています。今回の長文は、柿と日本人、そして柿という果樹の生き残る知恵といったテーマでした。
 そこから、たけるさんにとっての「柿の思い出」を考えて行きました。お祖母さんはみんなの健康を願って、実りの秋を送ってくださるのでしょうね。柿といってもけっこう種類は豊富です。私も、柔らかく熟した柿はちょっと苦手です。干し柿は昔の人の知恵を感じますね。柿の実る里には「布施柿」といって、柿の実をすべて収穫しないで少し残しておく習慣があります。自然と共生する考えが見えますね。
 お父様の写真のテーマにも、共生や融合を感じます。柿の実る色とオートバイの色。そういえば日本には色の名称がたくさんありますね。オレンジ色、だいだい色、最近使われないようですが柿色もあります。日本人の美意識は自然によって育まれたように感じます。
 最後の段落は、自然の不思議さ、すばらしさに生き方を学ぶという大きなテーマになりました。「それに対して私達人間は、一人一人の生きる意味を一生の中で見出すことが出来ているだろうか。私の生きる意味とは一体何なのだろうか。」という問いかけに感動しました。見事に、自然からのメッセージを受け取っていますね。せっかくだから、さいごのくだりは「祖母から送られた今年の柿の実を手にとって、私も一生懸命に生きなければ、と思った」とするとより実感が深まるように思うのですが、どうでしょう。


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