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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   未来の平和のために   ハーマイオニー

 慰霊祭のたびに官僚たちの挨拶があり、「……みなさまの尊い犠牲のうえに今の平和があることを決して忘れず……」という言い回しがよく聞かれる。しかし、犠牲がなければ今の平和がないわけではないだろう。誰だって同胞の死を無駄だとは思いたくない。だが、無駄と認めないのは、自分たち人間の愚かさを糊塗することに他ならない。覚悟の犠牲ではなく無念の死であったという前提から考えないかぎり、また同じことがくりかえされるだろう。 戦争の悲惨さを後世に語り継ぎ、反省することは大切だ。過去の過ちを後悔し、二度と繰り返さないと心に誓う心情に嘘はないであろうし、死者を悼む気持ちも人間として自然なものだ。慰霊祭における政治家や官僚の言葉は別としても、実際の被爆者が語る言葉には胸を打たれるものがあり、出来ることなら永久に語り続けてほしいものである。そして、それを伝えていくことは後に残るものの役目であると、強く思う。 私も個人的に後悔や反省をすることはもちろんある。今年度が始まったばかりのころ、友人のクラスで放課後、携帯電話を使っていて先生に見つかり、没収されてしまったことがある。私の学校では携帯電話を所持することは許されているが、学校で使うことは禁止されている。だがその時はつい油断してしまった。(笑)学校から家に連絡が行き、その日は土曜日だったので、週明けまで返してもらうことが出来ず、不便な思いをするし母には叱られるしで、散々だった。もう二度と見つかるようなヘマはしまいと決意した。 そうなのだ。「反省」するだけでは不十分なのは、その反省のポイントが、しばしば、このように「もっと上手くやればよかった。」というところに向かいがちだからだ。戦争の場合も「勝つ戦争」「良き戦争」をすればよかったという「反省」になっていないだろうか。その証拠に戦勝国は「戦争をしてしまった反省」などしていない。 それゆえ、どうしたら戦争にならないかを歴史的検証のもとに論理的に考え、その対策を立てることがより重要だと言えるのではないか。昔話の『さるかに合戦』においても猿に騙され母を失った蟹の兄弟が、仲間を得てそれぞれの得技を生かし、綿密な計画を立てて猿に勝利することが出来た。これが、毎年蟹が母の死を悼んで冥福を祈っていただけでは話にならない。具体的に行動を起こしたからこそ、猿を諌めることができ、問題の解決に繋がったのである。(平和的解決とは言い難いかもしれないが。苦笑) 確かに、過去の戦争を反省することは大事だ。そしてそれ以上に戦争を回避するための努力をすることは大事だ。しかし、戦争とは過去の過ちであるだけでなく、未来の脅威でもある。今私たちに最も大切なことは、「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ」という名言があるように、平和を求める強い気持を持ち続けることである。その気持ちが、相手を憎む気持ちや征服したいという欲望に勝ることが、戦争を無くす条件となることであろう。(総合化)

   講評   nara

 携帯電話というごくごく身近な物を使った体験実例から、昔話につなげ、世界平和を導くとは、ホップステップジャンプだなぁ。裏を返せば、世界平和という大目標も、始まりは足元からなのだということかもね。足元を固めて梯子をかける、ということかな。
【構成・題材】「そうなのだ」からの切り替えがうまい。確かに私たちの反省は、往々にしてこのようになるね。「無駄死に」を認めないというのは、「効果的な死」があると考えるのか!? 本当は戦争で命を落とすなんて、無駄死にの極みなのだと考えなければならないのにね。そう思うと、アメリカの主張する「原爆のおかげで犠牲者数を抑えることができた」というのは、原爆被害者の死を効果的なものととらえていることになる。ここに対してきっちり反論できるだけのことを日本がしていないということは、消極的であれ「効果的な死」を容認しているということに他ならないのだね。蟹の追悼式というのは、何だか笑えるなぁ。こういうひねりは個人的に好みデス(笑)。多くの慰霊祭が、どこかの誰かに(宇宙人とか!?)笑われているとしたら、ブラックだ。
【表現・主題】「戦争とは……」という自作名言はうまいなぁ。過去に対する検証をしっかりしないままでは、それは不幸な未来の始まりにつながる。実際に、そういう事例を私たちはたくさん知っている。単なる慰霊だけでなく「平和を求める強い気持ち」に裏付けられた現実的な行動とは何かということを考え、実行に移さなければならないね。

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