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　　　こう入二日にして依存症へ…　　　まかじろう

「えー！！　二十五歳！！　ショック……。」
　僕の家族は，毎年大晦日に，恒例で伊集院のおじいちゃんの家に泊まる。そこで，おせち料理やオードブルや，焼き肉，刺身などを食べる。だが，今回の年の越し方は，例年とはひと味違った。料理はさして変わった点はなかった。しかし，その後の行動が違った。ウィーフィットをしたのだ。
　年越しそばを家族みんなで味わってから部屋を整理して，万全を期して遊んだ。みんなが興奮しながらその時を待っていた。どうして興奮していたかというと，そのウィーフィットは，なんと大晦日にやって来たからである。お父さんと僕の二人で初期設定を行った。そして，待ちに待ったウィーフィットを始めた。まずは，家族全員の身体年齢測定をした。おじいちゃんとおばあちゃんを含めた家族六人の測定を行ったから，少し大がかりな作業だった。その測定結果に，僕とお母さんだけしばし呆然としていた。というのも，僕とお母さんだけ結果が劣悪だったのである。他は，おじいちゃんと妹が年相応，お父さんとおばあちゃんが実際の年齢より若くなったのだ。そう，僕とお母さんだけが実年齢よりも年を取っていたのだ。ちなみに，僕の現在の年齢は十一歳で，身体年齢は二十五歳という，その差十四歳の惨たんたる結果だった。まるで，玉手箱を開けてしまった浦島太郎のような心地だった。その結果にショックを受けてしまったので，体のバランスを調えるという目標を立てた。そして，それぞれにアドバイスなどを受けて，トレーニングがスタートした。まずは，お父さんが遊んだ。ヨガ，筋トレ，有酸素運動，バランスゲーム，トレーニングプラスの五つの種類があり，その中に多種多様の項目がある。それを一つやっては交代するという仕組みでやっていた。そして，
「そろそろ終わろう。」
というお父さんの鶴の一声で決まったので，片付けを開始した。その時の時間がなんと，二千十年一月一日午前零時五分。すでに年が変わっていたのだ。これにはみんなが驚きの声を上げた。我を忘れてウィーフィットにみんなで没頭していたのだ。次の日も，午前中はおよそ二時間，ずっとウィーフィットをした。ウィーフィットには，たくさんのおもしろいトレーニングゲームがあるので，ウィーを開発した任天堂の人がうらやましいと思った。
　過去の大晦日，元旦はどうだったのであろうか。過去をさかのぼりし過ぎると，事件などの記憶が少ないので，去年のことを紹介する。去年の年越しは，かつてない大事件がぼっ発したのだ。そのため，年越しをするのにもひと苦労であった。どうしてかというと，お母さんが年越しそばも食べずに寝てしまったからである。理由を今年の初食事のとき，つまり元旦の朝食で聞いたのだが，アルコール飲料の飲み過ぎだったらしい。それでよいつぶれて寝てしまったのだ。年越しそばは，年が明けるまでに食べないと，金運がなくなるという話をどこかで聞いた。去年一年間は，それが当たっていたのかもしれない。
　僕は，テレビで年越しカウントダウンを見ながら年越しをするという手段以外にも，ウィーフィットというゲームで年を越すのも悪くはないということが分かった。僕の家に初めてやって来たウィーフィットが恋しくなってしまい，「ウィーフィット，ウィーフィット」とこう入二日目にしてウィーフィット依存症に感染してしまった。

　　　講評　　　arare