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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   制御すべき欲望   カエル

「ほしがりません勝つまでは」という言葉の裏には、欲しいけれども我慢をしますという意味がこめられている。戦時中なんかは特に食べるものもなく、飢餓に苦しんできた。戦時中に限らずとも最近まで私たち人間は、食べ物に飢えて生きてきた。そのため、食べ物でも何でも量を求めて生きる必要があったのだが、最近ではダイエットなどが流行り、少ない量でどれだけ満足できるかという制御の時代となった。私たちは今まで飢餓と戦ってきたが今度は自らの欲望と戦うことになってきている。世界はそんなパラダイムへと変容している。それなのに、いまだに量が大切であると盲信している社会には問題があると思う。(社会問題の主題)
まず第一の原因として、人類が今まで苦しんできた食料において「質より量」という考えがまだぬぐいきれていないからである。(複数の原因一)あるテレビ番組で「なぜ、人は甘いものを食べてしまうのか」という話をしていた。それは甘いものがたべられるようになったのはごく最近で今までは食べることが出来なかったため脳が甘いものを見ると勝手に出来るだけ入れておくようにと命令をするのだそうだ。そのため頭で理解はしていても本能を制御することはできない。ちなみに、「別腹」という言葉があるがあれは人間の本能で甘いものを見たら胃が食べ物をどけて甘いものを入れることの出来る状態にするため、「別腹」という考え方もあながち間違えてはいないらしい。そういったことからもわかるように今まで人間は、甘いものをずっと欲していた。元来人間には食べる量を増やしカロリーを多く摂取することがセッティングされてきたのである。
そして二つ目の理由として、欧米諸国に追いつけ追い越せという時代が長かったからである。(複数の原因2)今まで日本は、欧米諸国を目標として先進国の仲間入りをするためにいろいろな努力をしてきた。当時は、「制御をすること」なんかを気にしていられなくてとにかく量が必要だった。進化のためには、公害があろうとも生産し続けなければならなかったのである。それは、自然界にも言えてダーウィンという生物学者が提唱した「進化論」もその一例である。ダーウィンは「進化論」の中で現在まで生き残ってているさまざまな動物は変化発達し、その時代についていけなかったものが滅びていったとしている。動物というのは自らが子供を選ぶことは出来ないため、進化の為にはとにかく個体数を増やし、それで変化していくしかなかったのである。(自然科学実例)自らが生き残るためにとにかく量を大事にしてきたのである。
確かに、世界には量の不足に悩むものも地域もあって、そのせいでこの瞬間にも失われている命もある。(反対意見への理解)しかし、本当に大切なのは「生産することでも、制限することでもなく分け合うことである」(自作名言)
今、世界は二極化してしまっている。「先進国と途上国」である。先進国は進化のために制御を怠り、地球環境に悪影響を及ぼし、そして途上国は今同じ過ちを犯している。人間のエゴによって破壊されてゆく世界は、最終的に人間に牙を向くであろう。私は占い師でも未来が見えるわけでもないが、それぐらいの予想はたやすい。それが人間にとってよい選択であるはずはない。だからこそ今先進国も途上国も手を取り合って分け合い地球のために取り組んでいくべきなのだ。
もうすでに人間と人間の作った人工物との戦いは始まっている。いまこそ、「欲しがりません勝つまでは」という精神を見習うべきではないだろうか。

   講評   mae

 「量」的な物が満たされている現代は、むしろ、その「量」をコントロールしなければならない。考えてみると贅沢な課題のような気もしますが……
 二段落で書いていた甘い物の話。甘い物は別腹、とよく言われますが、これには根拠があるというとなのですね。赤ちゃんが最初に味覚で覚えるのも「甘さ」だと言います。餓えと隣り合わせの時代の方が長かった人間は、甘いものを優先して摂取しようという本能が働く……、「質」より「量」を求める時代が長かったのですから、現代もその考えが色濃く残っているというのは当たり前なのかもしれません。
 三段落、「欧米に追いつくためには、とにかく量が必要だった」という展開は説得力があります。公害があろうとなかろうと、ひたすら生産に次ぐ生産を重ねてきた……、そのツケは未来に回ってしまうのですね。
 四段落、本当に大切なことは、地球のために先進国も途上国も手に手を取り合い、分け合うこと。制御すること以上に大切なことがあるという、一歩進んだ次元にまで話題を展開できました。素晴らしいですね。
「欲しがりません、勝つまでは」という言葉を結びにも使いますが、加工するのも一つの工夫。たとえば、

「欲しがりません、勝つまでは」ではない、「分け合いましょう、勝つために」。これが、これからの私たちのキーワードだ。

のようにするとおもしろいですよね。


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