対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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飽きる意味 いへゆ
人間は惰性化する存在でありながら、惰性的でありつづけることも出来ない。しかし、この同じ状態を永くつづけることができない人間のいたたまれなさは、動かしがたくみえる生き方を転換し、不可避とみえる袋小路を打開する力さえもっている。
一つのことを飽きて、新しいことをする。これを繰りかえし、右へいったり、左へいったりして発展、成長していく。しかし、今、飽きて、新しいことを次々していくことは少ない。このことによって、人は成長するチャンスをなくしてしまうのは問題だと思う。
そうならない対策として、やり直しが認められる社会をつくることだ。今は、一つのことをし続ける事が賢明と考えられていて、中断したり、進路を変えたりすることは好まれない。一度やめてしまうと、やり直すことが困難だからだ。たとえば、日本では大学を卒業したら、すぐに就職してその会社を定年するまで続ける。これが普通だ。卒業した後に、就職せずに旅にでたり、会社をやめて違う仕事をしたりすることは難しい。しかし、海外では様々な仕事を体験した人や、就職せずに旅をしている人はたくさんいる。一つの仕事を続けなくても生活できているのは、転職することが日本ほど難しくなく、何歳からでも意欲があれば働くことにできる環境が整っているからだ。日本でも、やり直しがしやすい環境をつくっていくべきだ。
もう一つの対策として、自分の考えをしっかり主張していくことだ。日本の人たちは物事に飽きて新しいことをはじめたいと思っても、周囲の目を気にして、それを主張しない。飽きるということが良くないことだと考えられている。それに、飽きた状態は続けているうちに解消されると思っている。そのうち何か新しいことが始まるだろうと、受け身の態勢で物事を待っている。しかし、物事は勝手にやってこない。自分が主張しないかぎり、飽きた状態は終わらないのだ。
たしかに、新しいことをする機会は限られている。時間は有限だし、自分が出来る物事にも限りがある。しかし、「井の中の蛙、大海を知らずという言葉は、広い世界を知らないという意味ではなく、自分の可能性を知らないという意味だ。」私は、社会の仕組みや人々の思い込みによって、いろいろな体験が出来ず、自分を成長させる機会を逃しているのは問題だと思う。
講評 huzi
よく書けています。同じ状態を長く続けることができないという人間の性質を、独自の視点で捉えた意見文、なかなか説得力があるなあ。
たしかに、効率のよさを求める現在の社会では、迷って試行錯誤することに対してマイナスイメージが強いですね。
【対策】は、電話で話したことをうまく文章化できました。海外の事情を説明材料として使っているね。何歳からでも意欲があれば働ける社会は、人間の多様性を認める豊かさがあるのでしょうね。
また、日本人の生き方を「受身」的であると分析した点も鋭いです。「飽きている」のを認めつつ、「それが当たり前」だと自分を納得させながら過ごすと、積極的成長は難しいでしょう。
【自作名言】、可能性という表現が効果的。さまざまな経験をして知るのは、広い世の中ではなく、自分自身の可能性ということですね。
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