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森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか  2022年9月13日  No.4530
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https://youtu.be/PukRruOGJ6Y

 思考語彙とは、考える力を評価するものでした。
 森リンは、この思考語彙のほかに、知識語彙、表現語彙という面も評価しています。

 知識語彙とは、密度の濃い文章が書かれているかという評価です。
 わかりやすく言うと、難しい言葉もある程度使って書いてあるかということです。
 ある程度というのは、難しい言葉を使いすぎると文章が重くなり、かえってバランスの面で点数が低くなるからです。

 この難しい言葉を書く力というのは、書く人の語彙力とも言えます。
 難しい本を読んでいる人は、自然にそういう言葉を使えますが、本をあまり読んでない人は、日常会話的な言葉しか使えません。

 小6までは、複数の実例という書き方をしますが、中学生になると、複数の理由とか、複数の方法とかいう構成を重視した書き方になります。
 すると、理由や方法のところで抽象的な言葉が出てこないために、そのまま実例を書いてしまう人も多いのです。

 例えば、「宿題はよいか悪いか」というテーマで、複数の理由を書くときに、「宿題はよくないと思う。その理由は、この前、出された宿題は、面白くない上にとても時間がかかり……」などと実例をそのまま書いてしまう人が意外に多いということです。

 語彙力のある生徒は、「宿題はよくないと思う。その理由は生徒が自主的に勉強する姿勢を持てなくなるからだ。例えば……」と、「自主的」「姿勢」などという抽象的な理由のあとに具体的な実例を書くことができます。

 この知識語彙を増やす方法は、根本的には、問題集読書や説明文の読書をすることですが、作文の上だけで工夫することもできます。
 それは、調べた実例を引用することです。

 見本の作文では、「嬉しかったプレゼント」というテーマで、第二段落に、「賢者の贈り物」を引用しています。
私はオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」という物語を読んだ事がある。ある夫婦がクリスマスにプレゼントをしあうお話だ。妻のデラは長くきれいな髪の毛が自慢だが、夫のジムへのプレゼントのために髪の毛を売ってしまう。そのお金で買ったのはジムの金時計によく似合う鎖だった。だが、ジムはデラの髪に似合う宝石の櫛を買うために時計を売ってしまったのだ。すれ違ってしまった2人のプレゼントだが、私はこのお話が大好きだ。このお話では2人とも心のこもったプレゼントをしたからこそ、心温まる結末になったのではないかと思った。相手のことを考えて買ったものだからこそ、特別嬉しい気持ちになるし、相手のことも大好きになる。そんな物語が「プレゼント」という存在でできているのだと感じた。


 この引用は、それほど難しい言葉が使われているわけではありませんが、引用する話題によっては、知識語彙が増えるようになります。
 また、引用に、データとしての固有名詞や数字が入ると、文章の説得力を増す効果があります。

 高学年の生徒は、自分の作文にあった話を、両親などに取材をするとともに、適宜、インターネットで調べた話などを引用して話題を広げて書いていくといいと思います。

 ちなみに、この作文で、森リンが評価した知識語彙は次のようなものです。
【知識語彙】()内は語彙のウェイト。
プレゼント
(5.95)
13存在
(0.38)
1習慣
(0.65)
1家族
(0.47)
1真心
(1.28)
1金時計
(5.95)
1感謝
(0.62)
1裏紙
(5.95)
1自慢
(0.79)
1感情
(0.54)
1
旅行
(0.65)
1立派
(0.65)
1物語
(0.63)
1賢者
(1.39)
1姫差
(5.95)
1人間
(0.2)
1成長
(0.47)
1意見
(0.4)
1時計
(0.75)
1・ヘンリー
(5.95)
1
クリスマス
(5.95)
1宝石
(0.96)
1結末
(1.01)
1手段
(0.65)
1似顔絵
(1.22)
1意味
(0.33)
1言葉
(0.24)
1共感
(0.8)
1誕生日
(0.8)
1夫婦
(0.96)
1
正直
(0.68)
1個人
(0.61)
1特別
(0.62)
1相手
(0.38)
1程度
(0.7)
1


森リン点の解説(1)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(2)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(3)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(4)――高得点の作文はどのようにして書くか
森リン点の解説(5)――高得点の作文はどのようにして書くか

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森リン(103) 

 コメント欄

森川林 20220913  
 森リンは、大学入試の小論文を評価するために作られています。
 だから、小学生の生活作文よりも、中学生や高校生の意見文の評価に向いています。
 難しい言葉を使って書くほうが点数は高いのですが、社会人の書く文章に求められるものは、できるだけ平易な言葉でわかりやすく書くことです。
 難しい言葉が多すぎると、文章全体の印象が漢字で黒っぽくなってしまうからです。

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