国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

これまでの全記事
1月の森リン大賞(中1-中2)  2010年2月20日  No.793
ホームページの記事は→793

 1月の清書をもとにした森リン大賞です。

 代表作品はもちろんですが、上位に入っている生徒以外の作品も力作がそろっています。


※ 中1の1位の作品は優れていましたが、項目のキーワードと要約の部分が多く含まれていたので、代表作品としては掲載しませんでした。
 次回から、清書にする際は、要約は省略するか、自分の言葉に直して説明する形にしておいてください。(^o^)/

1月の上位入賞者(中1の部77人中)


家の価値
hikari

 産業革命以来、私達は機械が、工学的なものの考え方こそが、正しいものだと信じて疑わなかった。しかし、最近になって、それが反省されつつある。生物本来の持つ良さ、生物的嗜好というあいまいなものの見方見直されてきているのだ。私も工学的な、整理された空間よりも生物的嗜好な、多少はごっちゃりとした空間の方が良いと思う。

 私がそのように思う第一の理由としては、整い過ぎた空間より、慣れ親しんだ環境の方が使い勝手が良いからである。「あたりまえだけどとても大切なこと」という本で(というより教育の世界で)有名な、ロン・クラーク先生は、本の中で、次のようなことを書かれていらした。『私の机の上は、非常に汚い(生徒が間違って机にぶつかったら、雪崩が起きてしまうらしい)が、○○を出せと言われれば、○○をすぐに取り出せる。』私は初めてこの文章を読んだ時、唖然としてしまった。自分で作り上げてしまった山の中の内、何処に何があるのかを把握しているだって?そんな馬鹿な。けれども、よくよく考えてみれば、分らない話でもない。自分のテリトリーについて熟知すれば、つまり何度も、いや何十回、何千回も利用していれば、それは造作のない事となる。よく学校の先生方は、
「整理整頓!それこそが、よい生徒の姿でなければならないのだ!」
と豪語している。けれど、それはあくまで先生方にとって模範的で素晴らしい生徒の規定である。でも、もうすこし見解を変えて、
「自分で何処に何があるのかが分るのなら、常識の範囲内で、自分のしたい様に管理してもいいかもね。」
となっても良い様な気がしてくる。まあ、とはいえ実状では、そんな器用なことをできるのは、たった一部の人に限られているのだが。

 第二の理由としては、厳か、というより、一種の緊張感があると、落ち着けないからである。「女性が一人で行きづらいところ(日本経済新聞・二〇〇三年一月二十五日付)」ナンバーワンは、高級レストランだという。ちなみに二番は、海外旅行となっているそうだが、確かに、高級レストランには「おひとりさまでは行きにくいかな…」というのも分るような気がする。何故って、まだ私は大人ではないが、一般庶民にとってはお財布のヒモが、自然と締まってくることは私にだって分る。かといって、「ファミレスに一人でって…」という方は、さほど多くはないと、私は察する。いわゆる、「高級レストランは何か嫌だけど、ファミレスなら…まぁいっか」的な感じの方が、大半ではないかと思うのだ。その根拠としては、一種の緊張感が、高級レストランにはあるからだ。ファミレスとは、正式名称が「ファミリーレストラン」であるだけに、家族で気軽に行くことができる。けれど、高級レストランは、あくまで「高級」という、厳粛で心情的に負担のかかる場所だ。たまにはいつもとは少し違った風に挑戦してみたい…という方や、私には高級な方が、どうも肌に合うようで…と、少しばかり気取られた方もいるだろう。が、私には、どうやらご近所さんのファミレス辺りが、最も性に合っているようである。

 確かに、ある程度の清潔さが無いと、近年話題のゴミ屋敷にもなりかねない。しかし、「家の批評ができるのは、建築家ではなくそこに住む人である」という名言にもあるように、家の快適さこそが、そこで住む人にとって最重要であり、また、その人にとっての快適さにもつながるはずだ。人にとって大切なもの、それを日本人は、『衣・食・住』とする。その中の一つ、『住』。当たり前かもしれないが、そこには「家」が当てはまる。それくらい、家というものは、私達には無くてはならないものなのだ、と、私はつくづく思うのである。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1日本に合った生活スタイルピプリー911217627784100
2家の価値hikari90151964718592
3自分からやめようなまず大使88124958788486
4正月のあり方本因坊86139359819486
5ポイ捨てひよこ86135457848990
6地球の明日を決めるものまーくん86128458768884
7重い罪の軽い言い方えらる84127056566692
8工学的、生物学的チョコ83116454658184
9世間と個人たけたけ82131666556677
10未来の機械パダワン81111453698584



※ 中2の1位の作品は要約の部分がありましたが、分量が比較的少なく全体の得点も高かったため代表作品としました。
 次回からはできるだけ要約部分は省略するか、自分の言葉による説明に直して書いておくかしてください。(^o^)/

1月の上位入賞者(中2の部73人中)


反省と対策
ハーマイオニー

 毎年8月になると、太平洋戦争の犠牲者に捧げる慰霊祭が行われる。広島、長崎、靖国の光景がメディアに取り上げられるのを目にする。そのたびに政治家や官僚の挨拶があり、「……みなさまの尊い犠牲のうえに今の平和があることを決して忘れず……」という言い回しがよく聞かれる。犠牲がなければ今の平和がなかったというのだろうか。誰でも同胞の死を無駄だとは思いたくない。しかし、無駄と認めないのは、自分たちの愚かさを糊塗しているのにほかならない。覚悟の犠牲ではなく無念の死であったという前提から考えないかぎり、また同じことが繰り返されることにはなるまいか。

 確かに、戦争の悲惨さを後世に語り継ぎ、反省することは大切だ。慰霊祭など、パフォーマンスに過ぎないと考えることもできるが、平和を求める象徴的な意味もあろう。過去の過ちを後悔し、二度と繰り返さないと誓う心情に嘘はないであろうし、死者に対する哀悼の意も人間としてきわめて自然なものだ。加えて、政治家や官僚の表層的な言葉は別としても、実際の被爆者が体験を語る言葉には胸を打たれるものがある。可能であるなら永久に語り続けてほしいと感じるのは、恐らく私だけではないはずだ。また、それを伝え続けていくことは後に残る人間の役目であると、強く思う。

 私自身も個人的に後悔や反省をすることはもちろんある。今年度開始直後の4月、友人のクラスで放課後、携帯電話でメールをしているところを先生に見つかり、没収されてしまったことがある。私の学校では携帯電話を所持することは許可されているが、学校で使用することは禁止されている。だがそのときはつい油断してしまった。(笑)学校から自宅に連絡が行き、その日は土曜日だったので、翌週月曜日まで返却してもらえず、非常に不便な思いをするし母には叱られるしで、散々だった。もう二度と見つかるようなミスは犯すまいと決意した。

 そうなのだ。「反省」するだけでは不十分である理由の一つは、その反省のポイントが、しばしば、このように「もっと上手くやればよかった。」というところに向かいがちだからということだ。戦争の場合においても「勝つ戦争」「良き戦争」をすればよかったという「反省」になっていないだろうか。その証拠に戦勝国は「戦争をしてしまった反省」などしない。「あれは必要な戦争であった」、「我々は正義を守った」と言うのである。

 それゆえ、どうしたら戦争にならないかを歴史的検証のもとに論理的に考え、その対策を立てることがより重要だと言えるのではないか。昔話の『さるかに合戦』においても、猿の口先三寸に騙され母を失った蟹の兄弟が、協力者を得てそれぞれの特技を生かし、綿密な計画を立てたうえで猿に勝利することが出来た。これが、毎年蟹が母の死を悼んで冥福を祈り、臼も蜂も参列して追悼しましたとさ、では話にならない。具体的に行動を起こし、団結して立ち向かったからこそ、猿を戒めることができ、問題の解決に繋がったのである。(但し、これは平和的解決とは言い難いかもしれないが。苦笑)

 確かに、過去の戦争を反省することは大切である。また、それ以上に戦争を回避するための努力をすることは大事だと言える。しかし、戦争とは過去の過ちであるだけでなく、未来の脅威でもある。今私たちに最も重要なことは、「知識がはしごを作ったのではなく、二階に上がりたいという熱意がはしごを作ったのだ」という名言があるように、平和を求める強い気持ちを持ち続けることである。その精神が、相手を憎む心や征服したいという欲望に勝ることが、戦争を無くし、平和を実現するための条件となることであろう。単なる慰霊ではなく、この強い気持ちに裏付けられた現実的な行動とは何かということを考え、実行に移さなければならないときが来ているのではないか。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1反省と対策ハーマイオニー94157173899295
2戦争回避おむふ9117657210411287
3平和への道のりポチト86107461808386
4「富」と「幸」の違いファラオ86121964607484
5本当の幸福おのそ85129864617383
6物と心疾風84118256708997
7過ちを繰り返さないためにはAIRIOKA83103152717596
8一九四五年を語り継ぐマンゴーミルク83115654577189
9彷徨う個性音楽大好き少年82108853667790
10一度きりの人生嵐ちゃん81120356679084




 次回は中3以上。

森リンの丘

2010年01月の清書記録
2009年12月の清書記録
2009年11月の清書記録
2009年10月の清書記録
2009年09月の清書記録
2006年9月-2009年8月までの清書記録

233-0015 233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9063
 
 同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森リン(103) 子供たちの作文(59) 

 コメント欄
コメントフォーム

1月の森リン大賞(中1-中2) 森川林 20100220 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。 お名前(ペンネーム):

 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

受講案内の郵送(無料)をご希望の方は、こちらをごらんください。
(広告規定に基づく表示:受講案内の郵送を希望される方はご住所お名前などの送信が必要です)

電話通信の無料体験学習をご希望の方は、こちらをごらんください。
(無料体験学習をお申し込みの方に、勉強に役立つ小冊子をお送りします。)

Online作文教室 言葉の森 「特定商取引に関する法律」に基づく表示」 「プライバシーポリシー」