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 言葉の森の暗唱と他の教室の暗唱との違い(その3) 作文検定 | 言葉の森 | 作文教室【公式】
 
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言葉の森の暗唱と他の教室の暗唱との違い(その3) as/390.html
森川林 2009/02/17 10:53 
修 削
 暗唱の目的を記憶と考えることからいくつかの問題点が出てくることを書いています。
 第一は、記憶することを優先するために、記憶術のようなテクニックを使いすぎてしまうということです。記憶術は役にたつ技術ですが、低学年の時期はまだそういう技術に頼らない方がいいと思います。
 第二は、記憶する対象を文化と考えることから、教育よりも文化を優先し、有名な文章や古くからある文章を使うことが当然のように考えられていることです。現代にはもっと現代という時代にふさわしい文章があるはずです。
 ここまでが前回の話です。

 問題点の第三は、教材に頼りすぎる傾向があるということです。つまり、限られた有名な文章を使うことで、その限られた少数の文章を歌やイメージによって、何しろ早く覚えるということが優先されていることです。
 これは逆に言えば、教材がなければ勉強ができないような勉強の仕方をしているということになります。従って、教材に依存せざるをえないので教材が高額になるという問題も出てきます。
 言葉の森の暗唱の仕方は、どんな文章でも、CDやドリルのような教材なしでできるやり方です。勉強するのに便利なように、音声や印刷物の教材は作っていますが、その教材は無料です。なぜこのようにしたかというと、勉強は、本来独学で進めていくものだと考えるからです。勉強は、わからないところだけをよく知っている人に聞くのがいちばんいいやり方で、自分がわかっているところもわからないところもすべて含めて、最初から他人に教えてもらうというのは無駄の多いやり方です。方法と素材だけを教えてあとは各人が自由に行えるというのが理想的な勉強です。細かい手順や道具や材料をすべて与えると、勉強は複雑になり、かえってひとりで行えないようになってきます。

 問題点の第四は、暗唱の過程ではなく、暗唱の結果を大事にしすぎている点です。暗唱を料理のようなものと考えると、暗唱の結果は料理そのものです。大事なのは、料理の仕方、つまり暗唱の覚え方を身につけることであって、出された料理を食べること、つまり暗唱がうまくできること、ではありません。
 暗唱の結果そのものを目的とすることから、歌やイメージによって、暗唱する対象を早く能率よく覚えることが暗唱の目的のようになっています。これが、暗唱の対象を文化と考えることと結びついて、百人一首を覚えたり、有名な短歌を覚えたり、県庁所在地を覚えたりするという暗唱のスタイルになっています。このような暗唱の結果を数多く知っているということは、単にクイズ番組に出る知識をたくさん知っていることと変わりません。そのような知識は、学年が上がり勉強上の必要や生活上の必要に迫られてから覚えれば十分です。
 もちろん、暗唱の方法は暗唱の対象と不可分に結びついていますから、暗唱の対象を何にするかということも重要です。しかし、ここで大事なのは、暗唱の対象を、先の学年で出てくる勉強の知識を先取りするもののように考えることではありません。暗唱の対象は、人生を豊かにする知識を身につけるという方向で考えていくべきです。
 例えば、もし覚えることそのものを重視するのであれば、日本語の持っているいろいろな色の名前を覚え、微妙な色合いの差を子供のころに感じ取れるようにするとか、野山の植物の名前を覚え、雑草にも親しみを感じられるようにするとかいう方向で考えていくといいのです。それらは、今の受験勉強には役立たないとしても、その子の生活に大きな潤いを与えると思います。
 しかし、いちばん大事なのは、覚える対象ではなく、覚える方法を身につけることです。覚える対象は、それぞれの人が自由に選べるようにした方が勉強に広がりが出てきます。

 問題点の第五は、暗唱が、覚えることを目的としているために、やりやすい方法として、聴くだけで覚えるというような方法がとられることもあるということです。
 何度も聞いて覚えるというのは、覚える勉強というよりも、単に何度も聞いたことに適応したという、人間の持つ適応力の一つに過ぎません。「門前の小僧習わぬ経を読み」という言葉があります。それは決して無意味なことではありませんが、そのことによって小僧が立派なお坊さんになるかというとそうではありません。成長には、主体的な意思が必要で、ただ環境になれることで成長するというものではないのです。
 また、聴くだけで覚えるというのは一見便利なようにも見えますが、逆に聴くために作られた教材がないと勉強ができないという問題にもつながります。教材を必要としない暗唱の仕方は、自分の口で言って自分で聴いて覚えるという方法です。この「自分で言って自分で聴く」というのが、記憶力の本質に近い方法で、また特別な教材が不要になる方法です。
 言葉の森でも速聴のページを作っています。しかしこれは、通常の暗唱の方法では敷居が高くて難しいと感じる子供たちを挫折させないための便宜的な方法です。本当は、ただ人に録音してもらったものを聴いて覚えるというな覚え方ではなく、自分で何度も口で言って覚えるというな覚え方をしていった方がいいのです。
 ですから、速聴のページを利用する人は、ただ聴くだけでなく、できれば、聴いたあと何度かは自分の口で言ってみるという覚え方をするといいと思います。

 言葉の森の暗唱の主要な目的は、記憶することでも記憶力を育てることでもありません。いちばん大事なのは、読解力と表現力を育てることです。それに付随するものとして、記憶力や記憶した結果があります。

 通信クラスでも通学クラスでも、毎週しっかり300字を暗唱してくる子が増えています。10分間暗唱はいったん軌道に乗れば、続けやすいものです。
 軌道に乗せる一つの方法として、朝ご飯を食べる前に10分間暗唱と決めておいてもいいと思います。記憶は夜寝る前に行う方が定着しますが、寝る直前に10分間、暗唱の時間をとるというのは、かえって忘れがちになり習慣化しにいという家庭も多いと思います。それぞれの家庭の生活の時間帯の中で、いちばん例外の少ない時間帯を10分間暗唱の時間にあてていくといいと思います。

(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)



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