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 日本の文化における勇気、知性、愛、創造―知のパラダイム(その7) 作文検定 | 言葉の森 | 作文教室【公式】
 
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日本の文化における勇気、知性、愛、創造―知のパラダイム(その7) as/1138.html
森川林 2011/01/24 11:38 
修 削


 無の文化を、教育の分野にあてはめて考えてみましょう。

 教育の中で、育てることが共通して期待されている人間の資質は、勇気、知性、愛、創造だと思います。これらのそれぞれに、有の文化的な考え方と、無の文化的な考え方があります。

 以下の説明は、わかりやすく図式的に書いているので、現実には多くの例外もありますが、基本は変わりません。

 有の文化における勇気とは、我慢の勇気です。人間という主体が、障害物や外敵という対象に遭遇したとき、それらの外部の対象に負けないようにがんばるということが有の文化の勇気です。

 これに対して、無の文化における勇気とは、「葉隠」の「武士道とは死ぬことと見つけたり」という無私の勇気です。自分を、自分よりも大きいもの、名誉や主君や祖国や仲間のために投げ出すことが無の文化の勇気です。

 有の文化における知性は、論理の知性です。Aという対象とBという対象がどのような論理でつながっているかという関数の知性です。

 これに対して、日本の無の文化の知性は言挙げしない非論理の知性です。それは、ある対象が、その対象をとりまくすべての世界、つまりその対象にとっての無とつながっていることを静かに観照する観察の知性です。

 有の文化における愛は、合理主義の愛です。愛が、結局は、自分にとっても相手にとってもプラスになると判断した上での愛が最初にあり、それを「最後の審判」という評価によって天国の世界にまで拡大したものが有の文化における愛です。もちろん、イエス・キリストに見られるような無償の愛もありますが、このような愛はむしろ例外的なものだと思います。

 これに対して、日本の無の文化における愛は、共感の愛です。自分が、自分以外のものによって生かされているように、相手もまた相手以外のものによって生かされていると考え、自分も相手も味方も敵も、更には人間も動物も、等しく全体の一部だと考えるところから来る共感の愛です。

 有の文化における創造とは、ビジョンの創造です。主体である人間が、人間をとりまく世界に対して、自己を主張するビジョンを打ち立てるというのが欧米の創造です。

 これに対して、日本の無の文化における創造は、すべては既に完全なものとしてあるという世界観を前提にしています。その完全なものを発見し、模倣し、それを人間の生活に合わせて微調整することが、無の文化における創造です。日本人が、革新的な大発明よりも、小さな改良的発明が得意なのは、創造というものに対する文化が違っているからなのです。(つづく)



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