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日本的なシェア文化で作る新しい作文教育 as/1286.html
森川林 2011/07/04 19:09 
修 削



 シェアという概念が広がっています。所有から共有へという考えは以前からありました。しかし、それが社会生活のさまざまな分野に広がり、新しい経済活動を生み出すまでになったというのが現代の特徴です。

 シェアのひとつの例として挙げられるのが、カー・シェアリングです。カー・シェアリングは、当初の予想に反して、アメリカで急速に広がりました。



 ところで、これまでのシェアの概念は、個人の所有に基づいた共有の概念で、一種のギブ・アンド・テイクでした。

 これに対して、日本に昔からあったシェアの概念は、お裾分けという言葉で表されるもので、テイクを期待しないギブでした。それは、譲り合い、分かち合い、助け合いという考えに近いもので、英語ではそれに該当する言葉はありませんでした。お裾分けを漢語で言い換えると、譲与になりますが、この譲与も、英語にはぴったり該当する言葉がありませんでした。



 では、共有と譲与は、どこが違うのでしょうか。

 譲与の前提になっているものは、私的所有ではなく余剰です。(ダジャレのようですが)。つまり、譲与とは、自分のところに、誰かからもらいすぎたか、何かが取れすぎたかしために、ありあまっているものがあるので、それを周囲の人に分け与えるという言葉です。

 共有の前提になっているものが私的所有で、譲与の前提になっているものが余剰だとすると、その余剰を生み出しているものは創造です。「畑でトマトがたくさん取れすぎたから、近所の人にお裾分けする」。これが、日本的な感覚のシェアです。



 資本主義は、私的所有に基づいて富を奪い合うシステムでした。資本主義の発展期には、この奪い合うことが動機となって、科学技術も経済も発展しました。しかし、今、それが環境の面でも、金融システムの面でも、行き詰まりつつあります。奪い合うことでは、これ以上豊かにならないということがわかってきたのです。

 共有というシェアの考え方が、この資本主義の枠内で資本主義に改良を加えていく考えだとすれば、譲与というシェアの考え方は、資本主義の先にある、資本主義を超えた考えだと言っていいでしょう。資本主義の先にある社会は、創造に基づいて富を与え合うシステムです。



 創造というものの最もわかりやすい形は、農業生産です。トマトは、太陽と水と空気だけで食べられる赤い実をつけます。農業の本質は、植物の持つ創造性の利用です。

 では、工業の本質とは何でしょうか。工業は、例えば、これまで人間が手作業で丸一日かかって織っていた布を、機械の力で数分で織ってしまうということです。それは、科学技術という方法が持つ創造性を利用したものです。

 工業と農業に共通するものは、この「方法」です。トマトの創造性とは、トマトが太陽と水と空気で光合成をして実をつけるという方法だからです。

 なぜ、人類が過去から未来に向けて、たえず豊かになってきたかというと、方法は、作り上げるまではコストがかかるが、いったんできてしまえば永久に無料で利用できるという性質を持っていたからです。

 そして、この方法が、農業、工業から、人間に向けて作られつつあるのが、これからの社会です。人間の持つ創造性を発揮させる方法が教育であり、その新しい教育が、これから日本的なシェア文化の中で作られつつあるのです。



 言葉の森では、今、次のような計画を考えています。それは、教材をオープンソースで作ってシェアし、課題や解説や指導法をシェアし、発表や交流をシェアするというシステムです。この場合のシェアは、もちろん所有を共有し合うことでではなく、創造を譲与し合うことです。

 言葉の森では、これらの新しいシェアをfacebookの中で作るとともに、それを地域社会の中にリアルに広げる仕組みを作っていきたいと考えています。




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