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本を繰り返し読むことの大切さ(2)――数多く読むよりも繰り返し読むことで理解力が深まる as/3090.html
森川林 2017/11/11 06:28 


【前回までの記事】

 「葦編三絶」という言葉は、孔子が「易経」という書物をとじ紐(ひも)が三度も切れるほど繰り返し読んだという故事から来ています。
 なぜ三度も繰り返し読んだかというと、その内容が理解できなかったからではなく、理解が浅かったと思ったからです。

 一般に、難しい本を読む場合の理解は、何層にも分けて考えることができます。
 1回目に読む場合、理解するところは、自分が既に何らかの形で理解しているものに近いところに限られます。
 2回目に読むと、自分の理解が1回目より進んでいるために、もう一段深く新しいことを理解することができます。
 3度目に読むと、さらにもう一段深く理解ができるようになります。

 このように繰り返し読めば、それだけその本の内容の理解が深まります。
 しかし、1回目に呼んだだけでも一応自分なりに理解したつもりにはなっているので、自分の理解が浅い理解だという自覚がないのが普通です。

 本を繰り返し読むことが大切なのは、繰り返し読むことによって理解を深めることができるからです。
 子供が同じ本を繰り返して読むときも、同じような理解の深化があります。
 だから、本をたくさん読む子よりも、同じ本を繰り返して読む子の方が、理解力も語彙力も増えてくるのです。


 次は、私(森川林)が繰り返し読む場合の具体的なやり方です。
 参考になるかどうかわかりませんが、こういうやり方もあるということで見ていただければいいと思います。

 私の場合、1回目は、本に傍線を引きながら読みます。
 借りた本の場合は、小さい付箋をつけながら読みます。
 付箋として使っているのは、「コクヨ タックメモ 付箋超ミニサイズ 25x7.2mm 100枚x4本 ミックス メ-1097N コクヨ(KOKUYO) ¥258」です。
 長さが2.5cmだから、かなり小さく使いやすいと思います。

 最近は、kindleも線を引けるようになり、それがクリップに残されるようになっています。
 しかし、クリップはいい機能なのですが、私の場合は線を引くところが多すぎるのでクリップに入りきらずあまり役には立っていません。

 また、kindleには、線を引いた箇所にメモを取ることもできるます。
 これは、特に優れた機能だと思いますが、Kindle Paperwhiteではまだ音声入力に対応していないので、この機能は今のところ使っていません。

 スマホのkindleアプリなら使えるのでしょうが、スマホの場合、表の明るいところで読むには画面が見にくいので、読むのはもっぱらKindle Paperwhiteです。
 音声入力をするようになったら、Lineも、携帯メールも、すべて音声で書くようになってしまったのでキーボード以外に指で打つことはほとんどなくなってしまいました。

 さて、繰り返し読む話の続きです。
 傍線を引いた本は、2回目にはその傍線を引いた箇所だけを読み直します。
 そして、そのときに、さらにもう一度傍線を引きたくなる場合は二重に線を引いておきます。

 kindleの場合は、二重の傍線機能がないのでこれは使えません。
 スマホのkindleアプリの場合は、色を変えて引くことができると思います。

 2回目に読むと言っても、最初から最後まで全部読むわけではなく、自分が1回目に傍線を引いた箇所だけを読むということです。
 ですから、かかる時間はせいぜい15分程度です。
 2回目に読むために、1回目に傍線を引いておくということです。

 普通は、2回読んで終わりですが、参考になると思った本は3回以上読みます。
 3回目には、1回目と2回目に線を引いた箇所を中心にノートに書き出します。
 ノートに書き出している間に、いろいろなことを考えつくので、それも一緒に書いていきます。

 ノートに書くときのやり方は、ちょうど構想図を書くときのように、散らし書きでA4のノートのおもて面がいっぱいになるように書き出します。
 普通、横書きノートには、上から下にというひとつの方向で書いていくことが多いと思います。
 しかし、この書き方だと、余白ができて無駄があるので、複数ページにわたって書くようになる場合が出てきます。
 ノートに書き出す意義は、書いたものが一覧できることですから、できるだけノートの1ページの中にすべてが盛り込めるように書けるといいのです。
 一覧できるのがなぜいいかというと、最初の方に書いたことと、最後の方に書いたことが同時に目に入るので、全体像がつかめるからです。

 以前は、私も上から下にという一方向で書いていましたが、ノート1ページに収める書き方を考えているうちに、矢印を使って四方八方に書くような書き方になりました。
 これは、マインドマップの書き方に似ていますが、マインドマップの場合は中央から周辺に一方向に広がる形なので、その形に制約されて自由に話を広げることができないと自分では思っています。

 3度繰り返し読み、さらに書き写した本であっても、4度目、5度目に読めば必ずまた新しい発見があります。
 しかし、そこまでやると時間がなくなるので、よほどの本でないかぎり繰り返し読むようなことはありません。

 このように、何度でも繰り返して読むような本は、座右の書というものになります。
 こういう座右の書を見つけることが、読書の一つの到達点ではないかと思います。
 


 創造と発表の新しい学力
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コメント欄

森川林 2017年11月11日 6時52分 1 
 大人になって、座右の書と言われるようなものがある人は幸福だと思います。
 私はまだ、それに近いものはありますが、そういう本はありません。
 
 本は、いくらたくさん読んでも、自分がわかることしか読んでいないので、あまり考えが深まることはありません。
 繰り返し読むことによって、初めて自分がわからないことも読むようになり、そこで考えが深まっていくのだと思います。
 
 と、ちょうどそんなことを考えていたとき、「にんげんクラブ」2017年12月号に出ていたKan.さんの記事を読んだら、本物がわかるようになるためには、専門書を読むといいと書いてありました。
 ここで言う専門書とは、難解で1ページや2ページ読むのにも苦労するような本で、それを最後まで読む経験をするということです。
 
 繰り返し読む本に出合うということと、難しい本を読むということは、自分を超える読書という点で同じだと思いました。
 
 ちなみに、私が20代のころ初めて読んだ難しいと思った本は、サルトルの「存在と無」でした。
 そして、それよりも難しいと思ったのは、ヘーゲルの「精神現象学」でした。
 一応読み終えたものの、99パーセントぐらい理解できませんでした(笑)。
 そのあと、イポリットの「精神現象学の生成と構造」を読んだら、やっとヘーゲルの言っていることがおぼろげながらわかってきました。
 
 これ以上難しい本には、その後会っていません。
 会っても読まないと思いますが。


nane 2017年11月11日 7時2分 1 
 うちの子2人が、熱中して繰り返し読んでいたのが、漫画の「スラムダンク」でした。
 漫画は一度読んだら目につかないところにしまうとしていたのですが、「スラムダンク」だけは例外でいつでも読めるところに置いておくことにしたからです。
 どのくらい繰り返し読んだかというと、ひとつのシーンの背景の観客席の人の表情まで覚えていて話してくれるぐらい深く読んでいたのです。
 勉強では、こういうことはありませでしたが。


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