ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 コミュニケーション・ラーニング(その1) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 1105番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/8
コミュニケーション・ラーニング(その1) as/1105.html
森川林 2010/12/24 09:24 



 「あのブドウは、すっぱい」という文を理解するためには、何が必要でしょうか。この文を理解するためには、知識と経験の裾野が必要です。ブドウとはどういうもので、食べるとはどういうことで、すっぱいとはどういうことかという経験や知識がなければなりません。

 しかし、たとえ一部に知らない知識があったとしても、それ以外の経験や知識の裾野が豊富であれば、内容を類推することはできます。例えば、ブドウという既知の単語ではなく、自分の知らないフルフルという単語が使われていて、「あのフルフルは、すっぱい」という文を見たとしても、自分のこれまでの経験から、「フルフルとはたぶん食べ物のことで、すっぱいときもあるが、本来すっぱくない状態で食べるものだろう」と見当をつけることができます。

 文を理解するとは、自分の持っている知識と経験の裾野の広さに応じて、より高い山頂をきわめるということです。裾野の広がり具合によって理解の度合いが規定されるということは、同じ理解でも、浅い理解と深い理解、ある方向からの理解と別の方向からの理解があるということで、これが国語の理解の特徴です。

 これに対して、算数数学の理解は、論理のつながりに基づく理解です。このため、算数数学は、わからなくなったら前の単元に戻り、論理のつながりを回復することによって理解するという方法をとります。

 その論理のつながりの最初の出発点は、物理的世界に対する身体的感覚です。例えば、3つのリンゴと2つのミカンを合わせると5つの果物になるという足し算の場合、3つのリンゴと2つのミカンは、物理世界に属しています。同様に、長さや角度や時間や形という物理的世界も、算数の論理の出発点になっています。

 裾野によって理解する国語と、論理によって理解する算数数学の違いは、もっと複雑な文を考えてみるとよくわかります。

 例えば、「民主主義は教科書に書かれていない」という文です。この場合、知識や経験の裾野として、民主主義という言葉、教科書という言葉、書かれるという言葉を知っていることは当然必要ですが、それとともに、民主主義というものが自主性、自立性、創造性に結びついた概念で、教科書というものが他者依存、ありきたり、お仕着せなどに結びついた概念だという理解がなければ、この「民主主義は教科書に書かれていない」という文を正しく理解することにはなりません。

 国語力における理解は、論理のつながりを回復するという理解の仕方ではなく、裾野を広げることによってより高い山頂をきわめるという理解の仕方です。ここから、国語のセルフ・ラーニングの特徴が出てきます。

 国語のセルフ・ラーニングは、経験と知識の裾野を広げる学習です。高学年になって国語の問題の出来が悪くなったときに、その前の学年に戻って国語の問題を解いても力はつきません。その高学年に応じた知識と経験の裾野を広げることが力をつける方法になるのです。(つづく)


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

コメント欄

コメントフォーム
コミュニケーション・ラーニング(その1) 森川林 20101224 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ぬねのは (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ぬねのは」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 
コメント1~10件
優しい母が減っ 森川林
 娘さんの友達から怖がられているというお母さん、コメントあり 3:12
優しい母が減っ 娘の友達
娘は中3。私は自称甘い母親です。世の中の厳しい先輩ママたちか 5/7
学習グラフのペ 森川林
言葉の森の今後の方針は、デジタルなデータをアナログで送信する 5/6
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
マスクしない、 森川林
マスクしない、ワクチン打たない、消毒しない。 人類は、何十 5/7
まだ夜なのに、 森川林
まだ夜なのに、小鳥が鳴いている。 元気がよくていいや。 5/7
夜の山道を車で 森川林
夜の山道を車で走っていると、なぜか左側が暗い。 降りてみる 5/7
競争から創造へ 森川林
競争で勝つということは、負ける相手がいるということだ。 大 5/6
人はみな、未来 森川林
人は皆、未来に生きている。 親がレールを敷こうとしている未 5/4
Re: 読会検 森川林
 千個というのは、立方体のことなので、例えば、1辺が1ミクロ 5/3
なぜ、作文クラ 森川林
なぜ、作文クラスを作文個別より優先するのか。 それは、言葉 5/3
釈迦は言った。 森川林
釈迦は言った。 ――自灯明(じとうみょう)―― 人間は、 5/3
読会検定4月  あかそよ
問題3 Bが〇だと思いました。なぜなら、五段落目の一番最後 5/1
近所のローソン 森川林
毎日新聞を見たけど、記事はまだ載っていまでした。 4/25

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン