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自治に生かす(facebookやgoogle+と教育6) as/1329.html
森川林 2011/08/09 17:48 
修 削



 facebookやgoogle+を作文の勉強に生かすという話の最終回です。

 最初は作文の話から始まりましたが、それが教育全体の話になり、教育以外の生活の話にまで広がりました。そして、今回は自治の話です。いわば、日本の新しい国づくりの話と言ってもいいと思います。

 なぜ、そういうところまで話を進めるかというと、今、日本を含め世界全体が政治的にも経済的にも危機の一歩手前にあるように思われるからです。

 これは、たまたまやり方が悪かったからうまく行かなかったのではありません。欧米の文化から始まった近代の世界自体が行き詰まっていることの反映なのです。

 この行き詰まりを打開することのできる文化を持っている国は日本です。日本は、欧米とは全く異なる文化圏で、江戸時代の300年間、豊かで平和で高度に発展した社会を作ってきました。江戸時代の日本の社会は、欧米よりもさまざまな面で優れた特徴を持っていました。

 ただし、欧米の文化から離れていたために生じた弱点もありました。一つは、民主主義が不徹底だったこと、もう一つは、近代科学が未成熟だったことです。しかし、社会の底流では民主的な運営が行われていましたし、生活の中には科学的なものの考え方が広がっていましたから、いったん欧米の文化に遭遇すると、急速にそれらの政治制度や科学技術を自分たちの文化に移植することができたのです。

 明治以降の日本の歴史は、欧米に追いつくための歴史でした。しかし、政治的にも経済的にも、欧米に追いついたころ、日本が直面したのは、欧米文化の限界でした。

 今日、限界はさまざまなところで現れています。当面の第一の問題は、世界のほとんどの国で経済が行き詰まりを見せていることです。アメリカの経済には、もう自立して回復する力はないようです。今は、裏付けのないドルを印刷してお金を回していますが、借金を増やして時間かせぎをしているだけのように見えます。ヨーロッパも、ギリシアのあとに予想されるイタリアやスペインの破綻を救う余力はもはやないようです。日本もまた、毎年、展望もなく税収をはるかに上回る支出を続けています。

 どこかの国が、「もうこれまでの借金は返せない」と言い出せば、そこから世界中のすべてのお金の動きが停止する可能性があります。

 しかし、そこで破綻するのは、際限のない軍事費など無駄な支出を重ねてきた国家であって、個人としての国民ではありません。ほとんどの個人は、収入の範囲で支出をするという健全な生活を営んでいたのです。

 だから、国の経済が破綻しても、個人が地域の中で協力する仕組みさえ作ることができれば、かえって国家が余計なことをしない分、ずっと暮らしやすい社会ができます。

 そして、その社会は、暮らしやすいだけでなく、これまでなかったほど文化が豊かに花開く社会になるのです。

 なぜでしょうか。これまでのグローバルな分業化された個人がばらばらに消費者であるような社会では、消費者のニーズは観念的に考えられた架空のものでした。自治的に運営される社会では、ニーズは、個人個人の真の要望に根差したものになるからです。

 例えば、食品会社は、現在、最も安く仕入れることができる生産地から大量の原料を集め、輸送費をかけて運び、保存料で長持ちするようにし、着色料で見た目をよくし、広告宣伝費をかけて消費者に売り、売れ残ったものは廃棄します。(そうでないところももちろんありますが)

 このとき、消費者のニーズは、安くて見た目がよくて長持ちするものをセンスのいいコマーシャルにつられて買うところにあると思われています。この架空のニーズに基づいて生じる、輸送費、着色料や保存料の費用、広告宣伝費、廃棄にかかる費用などすべてがGDPを押し上げています。

 しかし、ここで豊かになったものは、お金に換算された売上や利益だけであって、見方を変えれば多くの人は逆に貧しくなっているのです。着色料や保存料の会社で働く人は、本当はそんなことのために働きたくはないはずです。広告宣伝会社で働く人も同様です。みんな、本当は相手が喜ぶことをして働きたいのに、分業化された社会の中では、往々にしてその反対のことをしなければお金が回ってこない仕組みになっているのです。

 ところが、自治的な社会で、相手の本当のニーズがわかる中で仕事をするようになれば、だれもが相手が喜ぶようなことを自分の仕事の中心にするはずです。しかし、衣食住の直接的なニーズは、今の人類の生産力からすればすぐに埋められますから、多くの人は文化的に相手を喜ばす仕事に向かうでしょう。こうして、江戸時代がそうであったように、さまざまな文化が花開く豊かな社会になるのです。

 世界の経済が破綻することは、これまでの無駄の多い社会の無駄の部分に乗っていた人にとっては大きな脅威になります。しかし、地道に働いていた人にとっては、地域で助け合う仕組みができれば、国の経済破綻は何の脅威でもありません。むしろ、新しい社会に移行するちょうどいいきっかけになるぐらいです。

 しかし、そのためには、地域の自治の受け皿ができている必要があります。だから、日本の社会にとって今いちばん大事なことは、江戸時代のような地域自治の文化を作り出すことなのです。




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