ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 家庭学習をどのように進めるか 3(算数・数学) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 1584番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
家庭学習をどのように進めるか 3(算数・数学) as/1584.html
森川林 2012/07/19 20:17 


 算数・数学は、できるとできないの差が大きくつく勉強です。だから、入試の主要科目として利用されているという面があります。

 しかし、差がつくというのは、それが人為的な勉強だからであって、決して頭のよしあしに基づくものではありません。算数・数学の勉強は、その学年で習う教科書レベルの問題が百パーセント完璧に解けるというのが第一の目標です。それがまだできていない場合は、1冊の問題集をできないところがなくなるまで繰り返し解く練習をすることです。できない問題が残る原因は、前の学年で習ったことが不十分であるためなので、前の学年に戻って、やはりその学年の問題が百パーセント解けるようにやっていくことです。

 家庭学習の基本は、この教科書レベルの問題をすべて、ほとんど考えずに解けるか、考えずに解き方を思いつくかできるようになるまで勉強することです。もちろん、これだけでは受験用の問題には対応できません。

 しかし、入試問題についても、勉強の仕方の基本は同じです。1冊の入試用の問題集で、できないものがなくなるまで繰り返し解くことです。

 教科書レベルの問題が確実にできていれば、受験用の問題は、高校入試では約2か月、大学入試では約6か月で、最難関校に合格するレベルまで得点を引き上げることが可能です。

 ひとつの例は、私(森川林)の経験で、中3の子供の高校入試の数学の問題を見るために試しに自分でやってみたところ、最初はほとんど0点でした。しかし、夏休みの40日間、子供が質問する問題をそのつど解法を見て説明しているうちに、夏休みの終わりには国立の難関高の入試問題でもほとんどできるようになりました。

 もうひとつの例は、「小学校からの東大入試戦略」の著者、渡辺由輝さんの体験談です。渡辺さんは、浪人時代、東大合格者が毎年数百名というマンモス予備校に通うことにしました。しかし、その授業が全くわかりません。高校時代は数学にある程度自信があったものの、予備校の入学当初の模試では、後ろから数えた方が早いような順位でした。

 そこで、1か月も通わないうちに予備校の数学の授業はやめ、自宅で参考書を1種類にしぼり、その参考書に出てくる問題なら1題残らず解けるように繰り返し練習しました。2学期の中ごろにようやくその練習が終わり、予備校の模試を受けてみると、数千人の受験者中ベストテンに入っていたそうです。

 このような例は、たまに聞くことがあります。しかし、あまり一般的でないのはなぜでしょうか。それは、1冊の問題集をすべてできるようになるまで繰り返し解くという勉強法を徹底できない人が多いからです。ほとんどの人は、1冊の問題集が大体できたら次の問題集に移るというような勉強の仕方をしています。だから、なかなか成績が上がらないのです。

 逆に言えば、受験前の一時期に、受験用の問題集を1冊繰り返し練習し、その問題集でできない問題がなくなるまで徹底すれば受験の得点力は急速につきます。だから、それまでの普段の家庭学習では、難問にあたって時間をかけるよりも、教科書レベルの問題が百パーセントできるようにしておけば十分なのです。

 さて、数学では、できない問題に遭遇したときのやり方で、勉強の能率は大きく変わります。問題を見て解き方を考えて、よくわからない場合はすぐに答えを見ます。そして、解法の流れを自分なりに理解します。理解できない場合は、親や先生に聞きます。問題全体を聞くのではなく、解法の流れの一部を聞くだけですから、聞かれる人はそれほど負担にはなりません。この反対に、できない問題をできるまで考えるというやり方をする人が多いのです。

 解法を見て理解できた問題は、理解できた気がするだけで、日を置いてもう一度やるとやはりできないのが普通です。そこで、また解法を見て理解します。しかし、また日を置いてやってみると、またできません。このように、2回も3回もできない問題を繰り返して勉強するというのは、本人にとってはかなり苦痛です。解ける問題をやっていると気分がいいのですが、解けない問題ばかりをやっているとうんざりしてきます。このため、1冊の問題集を百パーセントできるようにするという勉強法は、口で言うのは簡単ですが、実行するのはかなり強い意志がないとできないのです。しかし、できない問題も、4回ぐらい繰り返すころには不思議とできるようになります。1回や2回繰り返すだけではできるようにはなりませんが、4回から5回繰り返すようになると、急にできるようになってくるのです。(つづく)


 次は、英語の家庭学習の話です。


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

コメント欄

コメントフォーム
家庭学習をどのように進めるか 3(算数・数学) 森川林 20120719 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
こさしす (スパム投稿を防ぐために五十音表の「こさしす」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
家庭学習(92) 
コメント1~10件
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
読会検定4月  あかそよ
問題3 Bが〇だと思いました。なぜなら、五段落目の一番最後 5/1
テスト送信3 森川林
総合学力クラスの体験学習――能率のよい勉強で学力の基礎を作り 4/30
テスト送信 森川林
創造発表クラスの体験学習――AI時代には、知識の学力よりも 4/29
近所のローソン 森川林
毎日新聞を見たけど、記事はまだ載っていまでした。 4/25
毎日新聞に言葉 森川林
 しばらく前に、毎日新聞の人が取材に来ました。  そのとき 4/24
テスト送信 森川林
https://www.mori7.com/za2024d0 4/24
4月保護者懇談 森川林
シラン ●今後の「森からゆうびん」の学習デ 4/22
マスクにしても 森川林
マスクにしても、ワクチンにしても、消毒にしても、 自分たち 4/21
イエスも釈迦も 森川林
イエスも釈迦も、理想の社会を築きたいと思っていた。 しかし 4/21
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン