ログイン ログアウト 登録
 未来の教育4「新しい知のフロンティア、ハイパー日本語」 言葉の森 | 作文国語教室【公式】
 
言葉の森 | 作文国語教室・サイト 言葉の森 | 作文国語教室
記事 1974番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/11/4
未来の教育4「新しい知のフロンティア、ハイパー日本語」 as/1974.html
森川林 2013/11/05 06:42 
修 削


 これからの教育で重要になるのは、創造性を育てる教育です。
 では、これからの時代に創造性を必要とする知的なフロンティアはどこにあるのでしょうか。
 IT技術や金融工学には、もう新たな開発の余地はあまり残っていません。ロボット作りは、これからの新しいフロンティアになるでしょう。しかし、それ以上に新しい創造の分野は、実は日本語の中にあるのです。

 日本語は、もともと教育性の高い言語です。日本人の平均的学力が高いのは、教育の成果だけでなくそれ以上に日本語という言語の成果です。
 だから、将来の世界的な言語は、伝達のための英語が次第に機械翻訳などに置き換えられるとすれば、教育性を基準にした日本語になっていくと思われます。
 この日本語の教育性を、今後は日本語の創造性に発展させていく必要があります。それを仮にハイパー日本語と呼びます。ハイパー日本語とは、概念の密度を高めた日本語です。

 日本語は、自然描写や心情描写の語彙を豊富に持つ言語です。しかし、抽象的な概念の語彙はあまり持っていませんでした。それは、日本の文化が、議論や論争のような言挙げをしない文化だったからです。

 日本語の概念言語の多くは、海外からもたらされました。例えば、矛盾という語彙は、盾と矛の故事から来ています。もし、誰もが正直な商売をする社会があるとしたら、そこでは矛盾という語彙や概念は生まれにくかったでしょう。助長という語彙は、植物が伸びるのを助けるために根を引っ張ったという故事から来ています。もし、誰もが植物の気持ちを考え不自然なことをしないという社会だったら、そこでは助長という語彙や概念はやはり生まれにくかったでしょう。
 日本で概念的な語彙が発展しなかったのは、日本の社会が基本的に平穏な共感度の高い社会だったからです。

 その平穏な社会が海外の文化との接触の中で概念語彙を受け入れるときに、漢字の造語力が役に立ちました。この造語力が、近代の欧米文化の流入の際にも発揮されました。エコノミー、フィロソフィーなどの欧米にある概念が、経済、哲学などの新しい漢語として日本語の中に組み入れられたのです。
 欧米の表音文字で新しい概念を作るには、ギリシア語やラテン語の素養が必要だと言われています。日本語では、その役割を漢字の持つ表意性が担いました。

 しかし、日本語と結びついた漢字の力にはそれ以上のものがあるのです。
 それは漢字の表意性による概念形成力を更に発展させた漢字の概念圧縮力です。

 日本語には、言葉を短縮して使うようになった語彙が数多くあります。例えば、ワードプロセッサならワープロ、デジタルカメラならデジカメ、電子卓上計算機なら電卓という具合です。
 この言葉の短縮を概念の圧縮として使うことができます。
 例えば、「鶴の恩返し」という民話があります。このストーリーの持つ概念は、読み手によって何層にも読み取れますが、この多層的な概念のひとつを「鶴恩」という言葉で表し、その概念を多くの人が共有すれば、それが概念の圧縮となります。宮沢賢治の「注文の多い料理店」という童話があります。この童話の持つ多層的な概念も、「注料」という言葉で表すことができるかもしれません。

 人間の思考は、言葉を使って行われています。その言葉を組み合わせる力のもとになっているものは短期記憶です。ところが、短期記憶は一度に7つぐらいのまとまりしか同時に操作することができません。だから、小さい子供は、長い文の話をなかなか理解できません。それは概念の圧縮度がまだ低いからです。逆に言えば、長い文に接することによって、子供の思考力は伸びていくとも言えます。

 大人の場合でも、ランダムな文字や数字は7つぐらいまでならそのまま保持できますが、それ以上になるとメモなどをしないかぎり保持できなくなります。
 概念も同じです。人間がものを考えるときは、複数の概念を組み合わせながら思考を進めます。そのときに、一つ一つの概念が高密度に圧縮されたものであれば、思考の速度は何倍にも上がります。
 この日本語における漢字の概念圧縮力を新しい日本語の可能性として発展させるものがハイパー日本語です。別の言い方で言えば、日本語の高密度の運用法です。

 日本語は、将来日本人だけでなく、世界に広がる可能性を持っています。それは、日本語を使うことによって知識の習得や理解が速まるという教育性があるからです。この日本語の教育性に加えて、更に日本語の創造性を発展させたものがハイパー日本語です。

 言葉の森では、オープン長文作成プロジェクトと結びつける形で、このハイパー日本語プロジェクトを提案していく予定です。

 「弁証法」「限界効用」「即自対自存在」などの語彙には、その背後に大きな概念があります。しかし、これらの概念を身につけるには、その語彙が使われている本を読まなければなりません。辞書でわかるのは、主に小さな概念語彙です。大きな概念語彙は、辞書的な意味を知るだけでは、思考の道具として使うことはできないからです。
 しかし、読書でも辞書でもない概念語彙の習得の仕方として、ひとまとまりの文章を繰り返し読む方法があります。繰り返し読むためには、その文章の内容が優れているとともに、表現も美的に優れている必要があります。それをオープン長文として作成していきます。

 このオープン長文プロジェクトの仕組みは次のようなものになります。

 まず、最初の作者が作った長文のタイトルを、例えば、「○○」バージョン1とします。その長文を改良(換骨奪胎)して新しく長文を作った人がいれば、それは「○○」バージョン1.1になります。更に別の人も、元のバージョン1を改良すればそれは「○○」バージョン1.2になります。そのバージョン1.2を改良した人がいれば、それは「○○」バージョン1.2.1です。そして、元の作者が、それらの改良をふまえてバージョン1を改良した場合、それは「○○」バージョン2になります。
 このようにして、オープンな参加でよりよい長文を作っていくのです。



コメント欄

コメントフォーム
未来の教育4「新しい知のフロンティア、ハイパー日本語」 森川林 20131105 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
そたちつ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「そたちつ○」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード)
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
未来の教育(31) オープン教育(24) 
コメント1~10件
【重要】在籍生 森川林
各種検定リストを追加しました。 暗唱検定 https 11/3
記事 5599番
音声をテキスト 森川林
ICレコーダーで文章を書く人のためにアドバイスすると、 u 11/1
記事 5596番
勉強なんて、誰 森川林
四行詩という新しいジャンル。 何か考えたいことがあって、文 10/31
記事 5591番
10月から読解 森川林
読解検定は、生徒の書いた解説に対して、もっと詳しいコメントを 10/31
記事 5592番
2026年10 森川林
「アオキ差すトド」って覚えやすい(笑)。変だけど。 10/31
記事 5593番
読解力、思考力 森川林
言葉の森は、作文というマイナーマーケットから、国語というより 10/31
記事 5594番
音声をテキスト 森川林
自分の場合、テキスト温泉は、nottaと同じかそれ以上の性能 10/31
記事 5596番
作文、読書中心 森川林
印刷については次のようにされるといいと思います。 問題文の 10/26
記事 5590番
作文、読書中心 NU
先生ありがとうございます。 会場検定はなくなったとのこと、 10/26
記事 5590番
作文、読書中心 森川林
 NUさん、ご連絡ありがとうございました。  10月から、 10/22
記事 5590番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
推薦図書リスト 森川林
推薦図書リストに「佐賀のがばいばあちゃん」を追加しました。 11/2
読書の森
Re: 万年筆 森川林
SMART-CLIP スマートクリップ (パイロット PIL 11/1
森川林日記
帰り道 森川林
 夕方、日限山から野庭団地に上り、  坂道を下って港南台に 11/1
森川林日記
万年筆 森川林
 ふと昔を思い出して、パイロットの万年筆を買った。(PILO 10/30
森川林日記
Re: 題名( 森川林
届いているメールアドレスをご連絡ください。こちらで消去いたし 10/28
森の広場
登録解除 スギモト
【承認待ち】 10/27
森の広場
メールまたはお 森川林
メール登録の解除は、届いているメールアドレスをお知らせくださ 10/27
森の広場
Re: 題名( 森川林
登録解除しました。 お手数をおかけしました。 10/27
森の広場
登録解除はお名 森川林
登録解除はお名前かメールアドレスをご連絡ください。 > 10/27
森の広場
登録解除 スギモト
【承認待ち】 10/27
森の広場

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン