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 モノクロの旧社会からカラフルな新社会へ(その4) 言葉の森 | 作文国語教室【公式】
 
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モノクロの旧社会からカラフルな新社会へ(その4) as/2094.html
森川林 2014/02/25 06:13 
修 削


 今後、米国がデフォルトすれば、アメリカがこれまで担ってきた世界に対する購買力は大きく低下します。また、中国の民主化に向けての圧力が強まれば、中国のバブルはいったん崩壊し不良債権の山が経済を長期間停滞させるでしょう。
 これらの影響は、当然日本にも及びます。その影響は、第一に物が売れなくなることです。そして第二に、財政再建のためにリストラが行われ、更に物が売れなくなっていくことです。

 世界規模のデフォルトが相次ぐことで、結局返せない借金は、徳政令のような形で無理やり収束されることになるでしょう。(あるいは、人類はもっとよい方法を考えつくかもしれませんが。)
 そして、皆の預金や現金が吹き飛んだあとに、それでも特に誰も餓死することもなく、貧しく不便ながらも世界は回っていることに多くの人が気づきます。
 仕事をしている人がほとんどいないのに、最低限の生活に必要なものは、とりあえず供給されるほど、人類の生産力は豊かになっていたのだと多くの人が気づくのです。

 物が売れなかったのは、お金がなかったからではなく、もう既に物があったからです。だから、これからは、互いにあり余ったものを売り合うよりも、真に価値あるものを作り出し、それを与え合うようにすればいいのだと、皆が自然に思うようになります。
 真の価値は、人間の創造です。それは、最初は、子供の教育から始まります。子供たちに基礎学力をつけ、創造的学力を育て、文化の伝承をすることが、子供の教育を通した価値の創造です。
 これからの社会では、受験勉強は不要になります。限られた定員の中で、そこに合格するために競争する勉強ではなく、誰でも希望すれば入れる無制限の枠の中で、新しいものを創造するための勉強が求められるようになります。そのために必要なものは、幅広い基礎学力と深い思考力です。

 そして、やがて価値の創造の分野は、子供の教育から発展して、大人の学習に進んでいきます。その学習の目的は、個性的な人格の創造です。
 これまでの社会における学習は、没個性的な利益の追求によって引き起こされる他者との競争に勝つための学習でした。しかし、これからの社会では、自分の個性的な人格を向上させ、新しい価値を創造し、それによって社会に貢献することが学習の目的になります。

 そういう新しい社会に真っ先に移行するのが日本です。日本の文化には、もともと競争よりも共感を重視する面があるからです。
 世界が、経済的な破綻の中で混乱しているときに、日本が最も早く安定した社会を回復します。その事実によって、日本が将来の世界のモデルを提供することになります。
 だから、教育は、単に子供の教育にとどまらず、また単に自分の向上にとどまらず、世界をよりよく変革するための強力なツールにもなります。
 日本では、これから英語教育に力を入れようとしていますが、それは、日本人が英語を使えるようになるためではなく、日本人が英語圏の人に日本文化を伝えるための英語教育になります。

 ところで、そのような時代の勉強は、もはや机上の学問ではありません。受験のための学問ではない創造のための学問は、その成果を現実社会の中で実践するという面を持っています。そういう知恵が、これから求められる本当の知恵になります。
 では、実践のための知恵とは何でしょうか。

 これまでの没個性的なモノクロの利益追求型の社会では、知恵は、利益を生み出すための知恵でした。それは、コスト(インプット)よりも大きな利益(アウトプット)を作り出す知恵であり、その知恵が中心になって社会が動いていました。
 初期の工業生産では、ベルトコンベア式の生産に見られるように、労働者をまるで機械の一部であるかのように使うことが利益を上げるための知恵でした。
 しかし、今はもう、人間はそういうところでは動きません。

 これからの社会では、給料を得ることは、仕事の必須条件ではありません。なぜなら、世の中は、お金では動かないようになってきているからです。どんなに高い給与を提示しても、皆がその仕事では働きたくないと思えば、その仕事はもう成り立ちません。
 利益と給与で回っていたサイクルが、未来の社会では、別のサイクルになります。それは、個性的な人格の向上と創造と貢献という人間の新しい生き方と結びついたサイクルです。

 未来の世の中は、モノクロの利益と給与で動くのではなく、カラフルな創造と貢献と、相手とのつながりの中で動くようになります。ちょうどフリーなオープンソースの産物であるLinuxやApacheやMySQLが、有料で豊富な資金力に裏付けされたソフトやシステムを超えてしまったのと同じことが、これからの社会のあらゆる分野で起こってきます。

 一部の人だけが、独立してお金を稼げるプロで、大多数の人が単なる消費者となり、被雇用者として企業から与えられる給料でその消費生活を送るという時代は、もう過去の時代になります。
 未来は、すべての人が、自分の個性的な人格において創造する独立したプロとなれる社会です。
 もちろん、今の大人の大多数はまだ、そういう準備ができていません。しかし、人間は必要に迫られればすぐに変容できる力を持っています。そして、その出発点となる国が日本なのです。



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