ログイン ログアウト 登録
 読書と対話と暗唱 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 1336番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/4/29
読書と対話と暗唱 as/1336.html
森川林 2011/08/23 19:40 



 読書力には、二つの面があります。ひとつは、読む力、もうひとつは理解する力です。

 小さい子供は、文字を目で見ても理解しにくいので、いったん声に出しその声を耳で聞くことによって、耳から言葉を理解します。これが、幼児期や低学年における音読しながら読む読書です。

 しかし、文字を目で見るだけで理解できるようになると、次第に読む力がつき黙読になってきます。



 ところで、この音読→黙読という読む力のあとに育つのが理解する力です。

 文章とは、もともと現実に存在するものを文章という形で表現したものです(ちょっとややこしい言い方ですが)。

 その文章が表している現実が単純なものであれば、文章を読んだだけですべてが理解できます。しかし、その文章が複雑な現実を表していた場合は、文章を読んだだけでは、理解できないことがあるのです

 そして、学年が上がるにつれて、読む力よりも、この理解する力の方が重要になってきます。



 易しい文章を読むよりも、難しい話を聞く方が考える力がつくのはこのためです。ここに、長文をもとにした家庭での対話の意義があります。

 子供に、難しい文章を読むようにと言っても、言うことを聞く子はまずいません。しかし、子供に、課題の長文を読んでその内容を親に説明してくれるようにと言えば、多くの子は喜んでやると思います。



 さて、難しい文章を理解しようとしているとき、人間の頭の中ではどのようなことが起きているのでしょうか。

 理解とは、いくつかの単語を文法的に組み合わせてひとつの文として理解し、その文を更に組み合わせて文章になったものを総合的に理解するというように積み上げ式に進むものではありません。

 自動翻訳がなかなか進まないのは、このような線形的な発想で文章の翻訳を行おうとしているからです。

 人間の頭の中では、単語や文法よりも、まず文というひとまとまりの現実を理解し、その現実を組み合わせて、より大きな文章という現実を理解するという流れが進行しています。

 つまり、最初に単語の理解があるのではなく、最初に大きなひとまとまりの意味を持つ文の理解があるのです。



 では、この理解力を高める方法はあるのでしょうか。それがあるのです。



 人間の短期記憶は、7つぐらいまでをひとつのまとまりとして把握する力があります。その7つというのは、単語ではなくチャンクというかたまりです。だから、50文字ぐらいの文であれば、一度聞いただけで復唱することができますが、100文字ぐらいになると、一度聞いただけではすぐに復唱することができなくなります。100文字では、チャンクの数が7つを超えてしまうことが多いからです。



 ところが、言葉の森で300字の暗唱をしたり、900字の暗唱をしたりするとき、この短期記憶はどうなっているのでしょうか。

 実は、暗唱した文章においては、チャンクのひとまとまりが大きくなっているようなのです。例えると、普通ではせいぜい10文字ぐらいしか入らないチャンクというバケツのサイズが暗唱によって大きくなり、ひとつのバケツに100文字ぐらいを入れられるようになっているのです。



 暗唱の練習が、文章の理解力を育てるのは、こういう事情があるからです。ただし、大人の場合、暗唱の効果は、理解力よりも発想力が豊かになるという形で表れてくるようです。



 また、これに関連して、家庭での親子の対話も、短い断片的な文ではなく、長い複雑な文として話した方が、子供の理解力が育ちます。

 しかし、そういう対話は、日常生活の中ではなかなか出てきません。日常の対話は、「あれ、とって」「はい、これ」というような短いやりとりで成り立っている場合がほとんどだからです。

 ところが、課題の長文をもとにした対話をすると、自然にそういう長い文章による対話をするようになるのです。



 読書も対話も、ある程度の量をこなすことは大事です。しかし、いちばん大事なのは、その質です。たくさん本を読んで、たくさんお喋りをしたから理解する力や考える力がつくというのではありません。どういう本を読み、どんな話をしたかということが大事なのです。



コメント欄

コメントフォーム
読書と対話と暗唱 森川林 20110823 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
となにぬ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「となにぬ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 読書(95) 対話(45) 
コメント1~10件
なぜ公立中高一 森川林
 志望校の過去問に特化した受験対策を進めるためには、まず「春 4/28
記事 5498番
作文検定のプレ あお
お返事ありがとうございます。暗唱検定が早くできてほしいです。 4/9
記事 5493番
作文検定のプレ 森川林
 日本語教育で、簡単なのは会話で、次が読書で、最後が作文です 4/8
記事 5493番
作文検定のプレ あお
日本語作文検定は、日本語を学ぶ外国人のための作文教育にも対応 4/8
記事 5493番
【合格速報】東 ふつ
合格おめでとうございます。 毎週真剣に取り組み、どんどん上 1/7
記事 5403番
国語力、読解力 森川林
読検の解答は個別れんらくでお送りください。 12/29
記事 4331番
国語力、読解力 すみひな
本日の読解検定を受け忘れてしまいました。回答をどちらに送れば 12/27
記事 4331番
森リン大賞が示 森川林
作文力を上達させるコツは、褒めることでも直すことでもなく、書 12/13
記事 5398番
作文コンクール 森川林
 子供たちの教育で大事なのは、知識の詰め込みではなく、読書と 12/10
記事 5395番
読書と作文が子 森川林
 小学生時代は、勉強よりも読書。  中学生以上は、勉強と同 12/9
記事 5394番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 読解検 森川林
 これは、その言葉があるかどうかではなく、文脈として読み取る 4/28
国語読解掲示板
読解検定小5の みきひさ
読解検定 小5 4月について3問教えてください。 どうぞよ 4/27
国語読解掲示板
茨木のり子さん 森川林
 茨木のり子さんが晩年に書いていた言葉、 「倚(よ)りかか 4/27
森川林日記
軽くて意味のな 森川林
軽くて意味のない広告の文面を書いていたのでくたびれた。 嘘 4/27
森川林日記
Re: 例えば 森川林
 この歌の本質は、「言えない」又は「言わない」というところに 4/27
森川林日記
例えば、敷島の 森川林
 本居宣長の「敷島の大和心を人問はば朝日ににほふ山桜花」は、 4/27
森川林日記
AIに文章を直 森川林
 AIに文章を直してもらうと、  詩的な文章が散文的になる 4/27
森川林日記
雨は龍のメッセ 森川林
 雨は龍のメッセージ。  晴れは太陽のメッセージ。  ど 4/27
森川林日記
五月の薄曇りの 森川林
 五月の薄曇りの空の下をゆっくりと歩く。  自分の心の中に 4/27
森川林日記
走水神社 森川林
 走水神社に行ってきた。  神社の横の山の途中に、弟橘媛( 4/24
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン