◆◆学校に行く必要性を感じなくなった子供たち
現在、不登校の生徒が増えている理由のひとつに、子供たちが学校に行く必要性を感じなくなってきていることもあると思います。
子供たちはまだ、世の中の大きな流れというものはわかりませんが、漠然と学校に行かなくても特に困ることはないと思いつつあるのです。
そしてその分、学校の魅力のなさがより大きく感じられるようになってきているのだと思います。
◆◆私も学校が退屈だった
私自身の子供時代を考えてみても、その当時は学校に行かないという選択肢は頭からなかったので、毎日仕方なく学校に行っていました。
しかし、授業中は退屈で仕方がないので、教科書のほぼ全ページに落書きを書いていました。真似しないでね(笑)。
そして、窓の外を眺めて、校庭で遊んでいるスズメたちを見ては、「スズメは自由でいいなぁ」と思っていたものです。
毎日、学校に行く動機を作るために自分が工夫したのは、「クラスにかわいい直子ちゃんがいるから、その子を見るために学校に行くのだ」という理由付けでした。
学校で気を紛らわせることのできるのは、図工の時間と体育の時間とテストの時間でした。
いずれも自分の意思でやることができるので、その時間は退屈しなかったのです。
このように、私が子供時代に考えた「学校に対する魅力のなさ」は、いまはさらに進化しているのではないかと思います。
◆◆受験と競争が教育の中心になっている
なぜそのような教育が行われているかというと、教育が子供たちを成長させるという目的よりも、受験に勝つことをより大きな目的にしているからです。
子供は、世の中の動きや自分の人生などは考えませんから、真面目で素直な子ほど、親や先生の言うとおりに行動しようとします。
しかし、それは子供にとって魅力的なものではないので、親や先生は子供たちを競争によって意欲付けようとします。
だから、真面目で素直で学力の高い子ほど、親や先生の求める詰め込み学習で競争に勝つことを目的とした勉強に時間を取られてしまうのです。
◆◆読書、作文、発表を学校教育の日常に
この状態を打破する方法はあります。
それは、国数英などのそれぞれの教科の学力はもちろん大切ですが、教科の学力以外に、読書と作文と発表の時間を学校教育の中で確保していくことです。
教科の学力が、詰め込みと競争で進められるのに対して、読書、作文、発表の教育は進めにくいものです。
それは、教科の学力が点数として表示されるのに対して、読書、作文、発表の学習は点数で表示できないからです。
そのため、点数での競争に便利な教科の学力だけが突出して行われるようになっているのです。
◆◆数値による評価と個性の評価
これを解決する方法は2つあります。
第一は、読書も作文も、その生徒の達成した結果を数値で表せるようになることです。
しかし、発表はまだ数値として表すような仕組みはありません。
そこで大事なことのもうひとつは、点数として表せるような数字とは別に、発表する個性を評価する仕組みを作ることです。
読書、作文の学習が数値化されれば、読書と作文の教育がより日常的に行えるようになります。
そして、読書と作文には、数値で表されるものとは違う、その生徒の個性が表されます。
例えば、読書であれば、読書紹介やその読書に対する感想や対話の中に、その生徒の個性が現れます。
作文は、もっと直接的に個性の表れる学習です。
数値の評価とは別に、個性の評価があるということが、子供たちの読書と作文の学習を魅力のあるものにします。
◆◆発表で大事なのは「知りたいこと」より「したいこと」
発表も、同じです。
発表の学習は、発表の内容そのものが個性の発表になります。
しかし、発表の学習で大事なことは、自分の知りたいことを調べて発表するようなものにはできるだけしないということです。
知りたいことを調べて発表をするだけであれば、それは参考書の書き写しであったり、AIで調べたことをそのままコピーしたりすることであったりするでしょう。
では、どうしたらいいかというと、その生徒が知りたいことを調べて発表するのではなく、その生徒が自分のしたいことをAIと相談しながら発表するのです。
発表で大事なのは、「知りたいこと」ではなく「したいこと」なのです。
◆◆AIを「調べる道具」から「創造する道具」へ
たとえば、探検や冒険に興味のある生徒がいたとします。
「知りたいことを調べる」だけであれば、アムンゼンの経歴やエベレストの登頂の記録など、調べる資料はいくらでも手に入ります。
しかし、「したいことを調べる」のであれば、「現在の社会で新しい探検や冒険をするとしたらどういうことが可能か」ということをAIに相談できるのです。
そして、AIが出してくれたいくつかの提案をもとに、さらにそれを深めて、自分だけの探検の案を作り上げるという形で話を進めることができます。
◆◆知識の詰め込みから、思考力と創造力の教育へ
このように、作文と読書の評価を数値化すること、発表学習を行動に結びつけること、という方法で、子供たちの学習は知識の詰め込みから、思考力と創造力を生かす個性的なものになっていきます。
このような教育を進めるために、言葉の森では、作文検定や図書検定という仕組みを作っています。
点数を取るために学ぶ教育から、自分の人生を作るために学ぶ教育へ変えていく必要があります。
作文検定、図書検定が、すべての学校教育で日常的に行われるようになること、そして発表学習の時間が確保できるようになること、それがこれからの教育が目指す大きな方向なのです。