ログイン ログアウト 登録
 日本の未来と、創造性を育てる教育 1 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 1580番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/4/4
日本の未来と、創造性を育てる教育 1 as/1580.html
森川林 2012/07/14 18:22 



 今、先進国の経済は行き詰まっています。それは、単に新興国が追い上げているからではありません。先進国が進む道を探しあぐねて停滞しているところに、後ろから新興国が迫ってきているからです。つまり、問題なのは、先進国がこれから進むべき新しい道を見出していないことなのです。

 しかし、その道は、従来の工業社会の道とはかなり違ったものです。工業の時代は、不足の時代でした。道路も、橋も、カラーテレビも、クーラーも、自動車も不足していたから工業化が要求されていました。その工業化の本質は、より少ないコストで、より付加価値の高い製品を作り出すことでした。そのコストの大きなものは人件費でした。だから今、新興国が追い上げている背景には、低賃金の労働力という要素があるのです。

 ところが、人件費とは、それを受け取る側から見れば給与です。今の工業化社会の行き詰まりは、特にほしい工業製品がなくなってきたということもありますが、それ以上に、工業生産の本質的なところから生まれています。それは、作る人はいるが、買う人がいないという構造です。

 工業社会の究極の姿は、ほとんど労働者のいない無人化された工場で次々と低コストの工業製品が生産されていくことです。しかし、それを買うだけの所得を労働から得られる人もまたいなくなっているのです。

 工業社会から新しい社会に移行するときの重要な条件がここにあります。新しい産業社会は、低コスト・低賃金・高付加価値のパラダイムから脱却して、低コスト・高賃金・高付加価値の仕組みをもとにしなければなりません。未来の産業とは、できるだけ多くの雇用を生み出す産業です。更に言えば、できるだけ多くの生産者を生み出す産業が未来の産業なのです。

 消費者が単なる消費者にとどまるのではなく、生産者にもなりうるような消費とは一体何でしょうか。それが創造文化産業です。一人一人が自分の個性を生かして、個性という主観的な価値を創造性という普遍的な価値にまで高めていくことが未来の産業の土台となるのです。

 では、そういう社会で、人間の労働が果たす役割は何でしょうか。それは、低賃金で長時間従順に働くことではありません。そういう働き方はそれなりに美徳でしたが、もともとそれらの労働は、機械によって代替されるべきものでした。人間にしか果たせない役割とは、新しい価値を創造することです。

 これまでの社会における教育は、英数国理社すべてに満点が取れるような人間を育てることを目標にしてきました。それは、もちろん悪いことではありません。しかし、それがゴールであった時代はもう終わりました。これからは、その先にある、自分にしか作れない新しい価値を創造できる人間を育てることが教育の目標になります。

 今の大人の世代は、工業時代の価値観の中で成長してきたため、新しい個性的な価値を創造することが得意ではありません。日本が新しい産業社会に向けて離陸するには、創造的に生きることの大切さを学んだ子供たちが成長していくことが必要になります。今日の教育に求められている最も重要な課題は、創造性を育てる教育をしていくことなのです。



コメント欄

コメントフォーム
日本の未来と、創造性を育てる教育 1 森川林 20120714 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
かきくけ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「かきくけ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
【合格速報】東 ふつ
合格おめでとうございます。 毎週真剣に取り組み、どんどん上 1/7
記事 5403番
国語力、読解力 森川林
読検の解答は個別れんらくでお送りください。 12/29
記事 4331番
国語力、読解力 すみひな
本日の読解検定を受け忘れてしまいました。回答をどちらに送れば 12/27
記事 4331番
森リン大賞が示 森川林
作文力を上達させるコツは、褒めることでも直すことでもなく、書 12/13
記事 5398番
作文コンクール 森川林
 子供たちの教育で大事なのは、知識の詰め込みではなく、読書と 12/10
記事 5395番
読書と作文が子 森川林
 小学生時代は、勉強よりも読書。  中学生以上は、勉強と同 12/9
記事 5394番
子どもの文章力 森川林
今の受験は知識の詰め込みの勉強になっています。 考える問題 12/8
記事 5392番
作検研究。森リ 森川林
作文は、褒められても注意されても、そこに客観的な基準がなけれ 12/7
記事 5391番
「作文検定」「 森川林
 今は、AI社会の前夜。  昔は新聞やテレビが中心だった。 12/7
記事 5390番
AI時代に子ど 森川林
AI時代には、先生の役割は「教えること」ではなくなります。 12/6
記事 5389番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
今日の四行詩 森川林
遠くの空は、 どこまでも青い。 明日を考えながら、 歩 4/3
森川林日記
中川昭一さんの 森川林
すべて明らかになったということだ。 https://www 4/1
森川林日記
知識偏重の教育 森川林
知識偏重の教育から思考力重視の教育へ――AIと独自アルゴリズ 3/31
森川林日記
Re: 2月分 森川林
2月分の問1と2は合っているので、どの月のどの問題のどこがわ 3/27
国語読解掲示板
ChatGPT 森川林
ChatGPT、最近頭が悪くなったみたい。  最近、 3/25
森川林日記
2026年3月 森川林
●低学年、中学年は勉強よりも読書と対話。  小学校 3/23
森の掲示板
そういう未来が 森川林
 自分には、そういう未来が見える。 >  子犬がいつも 3/14
森川林日記
子犬がいつも楽 森川林
 子犬がいつも楽しく走り回るように、  人間も、生まれてか 3/14
森川林日記
AIの可能性と 森川林
 AIの可能性と限界とは、裏返せば人間の可能性と限界というこ 3/14
森川林日記
Re: 2月分 森川林
 お返事遅れて失礼。 問2のAが×なのは、 「……助 3/7
国語読解掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン