ログイン ログアウト 登録
 作文の哲学と「言葉の森」という名前 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 833番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/12/19
作文の哲学と「言葉の森」という名前 as/833.html
森川林 2010/03/19 11:05 



 前回は、作文における四つの方向、内側、外側、過去、未来ということを書きました。

 今回は、その続きです。これは、趣味の哲学の分野の話なので、具体的なことでは何の役にも立ちません。忙しい方は、読まずに飛ばしてください。(^^ゞ


 作文の本質は何かということを考える場合、そもそも世界にある存在するもの、つまり存在物とは何かということから考える必要があります。

 どのようなものであれ、存在物を見てみると、「ある」ということが常に「ない」ということとの関連で成り立っていることがわかります。スピノザは、「すべての規定は、否定である」と述べました。つまり、「○○である」は、「○○以外のものではない」という定義と同じだということです。「○○以外のもの」が、その存在物にとっての境界を形成しています。その境界から向こう側をその存在物にとっての無と考えると、存在物は常に外に向かって無と隣接していることがわかります。

 つまり、石は、石の表面から外に向かって常に石でないものを否定することによって石であり続けているということです。チャップリンの、「バラはバラらしくあろうとして、岩はいつまでも岩であろうとしてがんばっている」という言葉を思い浮かべる人も多いと思います。

 だから、石がガラスにぶつかると、ガラスを打ち壊すことによって自身が石であることを貫徹します。しかし、石がそれよりも硬い壁にぶつかれば、はねかえされるか壊されるかすることによって自身が石であることの否定に直面します。

 このように存在物は、外に向かう無と常に共存して成り立っているということができます。これを、外部に対する無化と呼びます。同じように、存在物は、内部に対しても無と共存しています。これが、内部に対する無化です。また、存在物は、常に過去を無化し、未来を無化することによって現在であり続けようとしています。(長くなるので省略しますが)

 この存在物の本質がより鋭く現象化するのが生物です。生物の場合は、石のようなものよりもよりはっきりと、外への無化、内への無化、過去への無化、未来への無化ということが表れます。

 その生物存在を更にはっきりと現象化させたものが、人間という意識存在です。

 そして、その意識の外化したものが言葉です。

 人類が最初のころ発していた音声による言葉は、直接的な意識でした。言葉は当初、話す人と聞く人がその場にいなければ成り立たない音声の言葉として成立していました。しかし、その言葉がやがて文字として更に外化していきます。

 言葉は文字、そして文章として外化することによって、ひとつの作品としての完結性を持つようになりました。そこで、この完結性を持った文章である作文にも、存在物の四つの側面が反映されているのです。

 ですから、作文を樹木になぞらえるということは、単なる思いつきではなく(といっても、やはり思いつきですが)、作文も樹木も同じ存在物だということを根拠にして言えることなのです。

 では同様に、作文を、樹木ではなく、花や虫や小動物になぞらえることもできるのでしょうか。それは、もちろんできますが、そうすると、言葉の森という名前を、言葉のお花畑とか、言葉の昆虫王国とか、言葉の動物園などと変えなければなりません。

 「さあ、今学期でアザラシの課題が終わったから、次はインドゾウの山だ」なとどいうのもあまりぱっとしません。もっとかわいそうなのは、昆虫の場合で、「やっとゲジゲジの山が合格したと思ったら、今度はゴキブリの山だよ」とか「今週の課題は、フンコロガシの3.4週だ」などということになりかねません。

 そうならないように、言葉の森は、植物の名前で、「アカシア」「イバラ」「ウツギ」「エニシダ」などという課題の名称をつけているのです。



コメント欄

コメントフォーム
作文の哲学と「言葉の森」という名前 森川林 20100319 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ほまみむ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ほまみむ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文教育(134) 
コメント1~10件
森リン大賞が示 森川林
作文力を上達させるコツは、褒めることでも直すことでもなく、書 12/13
記事 5398番
作文コンクール 森川林
 子供たちの教育で大事なのは、知識の詰め込みではなく、読書と 12/10
記事 5395番
読書と作文が子 森川林
 小学生時代は、勉強よりも読書。  中学生以上は、勉強と同 12/9
記事 5394番
子どもの文章力 森川林
今の受験は知識の詰め込みの勉強になっています。 考える問題 12/8
記事 5392番
作検研究。森リ 森川林
作文は、褒められても注意されても、そこに客観的な基準がなけれ 12/7
記事 5391番
「作文検定」「 森川林
 今は、AI社会の前夜。  昔は新聞やテレビが中心だった。 12/7
記事 5390番
AI時代に子ど 森川林
AI時代には、先生の役割は「教えること」ではなくなります。 12/6
記事 5389番
【合格速報】順 森川林
Rさん、合格おめでとう!! よくがんばりましたね。 受験 12/4
記事 5387番
森リン大賞9月 森川林
 従来の作文評価は、小学校低学年では「正しい表記ができている 11/9
記事 5382番
作文の学習で大 森川林
 「何でも自由に書いてごらん。いつでも褒めてあげるから」とい 11/7
記事 5381番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
3I/atla 森川林
日本にはかつて穏やかに何万年も続いた縄文文明があった。そのよ 12/12
森川林日記
Re: 11月 森川林
 これは、解き方の問題ではなく、読む力の問題です。  読解 12/5
国語読解掲示板
Re: ICレ 森川林
 ChatGPT、あまり文章うまくないなあ(笑)。  音声 12/5
森川林日記
ICレコーダと 森川林
AI時代に子どもが伸びる――全科学力クラスという新し 12/5
森川林日記
noteのペー 森川林
https://note.com/shine007 12/4
森川林日記
11月分 4  あういと
問題7と問題8が分かりません。 キーワードはわかるのですが 12/3
国語読解掲示板
Re: 森川林
 字がきれいだったのは、そのあとの日記の内容を見ると、弟が葛 11/30
国語読解掲示板
Re: 11月 森川林
 お返事遅れて失礼しました。  易しい国語問題は、「同じ言 11/30
国語読解掲示板
ともとも
小5の11月の読解検定のBの問題が誕生日だから字が綺麗だと思 11/28
国語読解掲示板
2025年11 森川林
△ムラサキシキブ ●作文検定スタート  学校 11/26
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン