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勝つための勉強、力をつけるための勉強 as/428.html
森川林 2009/03/23 15:22 
修 削
 スポーツのような競技では、勝つための練習と力をつけるための練習は分かれています。
 勝つためには、自分の得意を表に出し、苦手を出さないようにすることが大事です。柔道などで、立ち技が得意で寝技が苦手なら、立ち技だけで攻めるようし、寝技に持ち込まれないようにするのが勝つための方法です。
 ところが、勝つための練習だけしていると、苦手はいつまでも苦手のままです。力をつけるためには、負けてもいいから苦手を克服する練習をしたり、新しい得意技を作ったりする練習が必要になります。

 スポーツと同じように、勉強でもつい勝つための勉強に眼を奪われてしまうことがあります。「時間切れになりそうだったら、何しろわからなくてもいいからマスを埋めてこい」というのは、試験に勝つための方法です。力をつけるための方法は正反対です。「わからない問題だったら、自分がわからなかったことをはっきりさせておくために曖昧な答えを書かない」というのが力をつけるための方法です。

 アメリカの製造業が衰退したのは、株主の利益を優先するあまり、短期間で業績を上げなければならなかったからです。勝つための経営をしていたのです。それに対して、日本の企業の多くは、短期の業績よりも長期の業績、つまり力をつけることを大切にしてきました。短い期間では、アメリカのやり方の方が合理的に見えました。しかし、長い目で見ると、力をつけるための経営をしてきた会社の方が業績も上がっていったのです。

 子供に勉強をさせるとき、今のような競争社会では、つい勝つことに目を奪われてしまいます。テストの点数が気になるというのは、意識が勝ち負けにしか行っていない証拠です。子供はそれでもやむをえません。しかし、大人は一歩上の立場にいて、勝つための勉強ではなく力をつけるための勉強を教える必要があります。テストが返ってきたら、点数を見るのではなく、どういう問題でどう答えたかを見るのです。

 またスポーツの話に戻りますが、ゲームのような練習は、ランニングやパスだけの練習よりも面白いものです。しかし、ゲームでは勝ち負けの勘はつかめますが、力はつきません。力がつくのは、やはりランニングやパスの単調な練習なのです。

 この類推で言うと、問題を解く勉強はゲーム的な勉強です。問題集でどんどん問題を解いていくと面白く勉強ができます。しかし、力がつくのは、問題を解いたあと、できなかった問題だけをできるようになるまで繰り返し解く練習です。
 数学の問題などで、できなかったところだけを何度も繰り返し解くというのは、子供にとっては苦痛で退屈です。それよりも、新しい問題集を解いた方が面白いというのは当然です。しかし、できなかったところを反復して練習し、1冊の問題集で百パーセントできるようにすることが力をつける勉強になるのです。

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頭をよくするもの悪くするもの(その4) as/427.html
森川林 2009/03/22 05:20 
修 削
 頭をよくするというのは、思考力をつけることであって、条件反射的な知識や技能を身につけることではありません。知識や技能は勉強の材料や手段として必要なのであって、それ自体が勉強の中身ではありません。しかし、小学校の低中学年のころは、そのような材料や手段を身につけることが勉強の中身です。それは、小学校低中学年のころは、まだ思考力を本格的に育てるような年齢ではないからです。
 思考力は、言語能力と不可分のものです。だから、本を読むことが思考力を育てるいちばんの近道です。小学生のころは、勉強よりも読書を優先するというのは、こういう意味なのです。
 勉強が忙しくて本を読む時間がとれないという子がよくいます。しかし、その忙しい勉強の内容が条件反射的な勉強であれば、その勉強をすればするほど頭は悪くなります。
 百マス計算や漢字書き取りは勉強の基礎力をつける点で価値のある勉強ですが、そういう勉強をやりすぎることは、頭の使い方を勘違いしていることになります。点数やスピードを競うことは、集中力をつけますが、それもある程度以上になると意味のないことになります。
 ここで大事なのは、試験に勝つための勉強と、実力をつけるための勉強は違うということです。受験などの試験に勝つためには、ある程度反射的な勉強に慣れておく必要があります。そのために、読書の時間がなかなか取れなくなるということは、やむをえません。しかし、将来のことを考えると、試験に勝つための勉強ではなく、実力をつけるための勉強を優先しておく必要があります。つまり、重要度から言えば読書が第一で、勉強が第二です。しかし、試験ということを考えた場合の緊急度から言えば、勉強が第一で、読書は番外です。
 この区別を、人生経験の豊富な親がしっかり把握しておき、ともすれば反射的な勉強に流されがちになる子供の生活の軌道修正を行っていく必要があるのです。

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