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未来の職業と勉強―作り出す勉強としての作文 as/1516.html
森川林 2012/04/11 19:03 



 神田昌典さんの「2022-これから10年、活躍できる人の条件」を読みました。神田さんは、もうすぐ会社はなくなる。世の中は大きく変わる。これまでの社会でいいと思われていたことはかえって悪いと思われるようになる。社会が百八十度転換するということを述べています。これは、多くの人が漠然と感じ始めていることではないかと思います。これまでの価値観の延長ではやっていけないと多くの人が思い始めているのです。やっていけないどころか、今の社会でいいと思われていることが、未来の社会ではかえって足を引っ張ることになる可能性もあるのです。
(以下は、神田さんの本から離れて考えた話です)


 今の世の中を支えているものは、会社(企業)です。その会社がなくなるというのは、なぜなのでしょうか。それは、会社というものが、もともと限りなく人件費を少なくする方向に進化していくものだからです。今、世の中にある仕事の中で、人間でなければできないものはそれほど多くありません。人間でなければできない仕事とは、つきつめればその人の個性を生かして創造するような仕事です。しかし、今の仕事のほとんどは、ほかのだれかに肩代わりできるもので、更に言えば、人間そのものを必要としない仕事なのです。

 会社の進化する究極の姿は、無人の工場、無人のサービス業です。産業は、常に無人化の方向に進化しています。サービス業では触れ合いが大切だと考える人がいるかもしれませんが、人間は仲間どうしの触れ合いがあれば、それ以上にサービスを提供する仕事の中に触れ合いを求めるような必要は感じません。

 これまでの社会は、会社があり仕事があるということを前提にして成り立っていました。いい会社に入るため、いい仕事につくために、いい学校に入る必要があり、そのために勉強をするというのが勉強の目的になっていました。その前提が大きく崩れつつある現在は、勉強のあり方も大きく変化していく必要があるのです。


 では、これからの仕事はどうなるのでしょうか。これからは、会社に勤めるとか、資格を取るとかいう形で、社会に既に用意されている役割をこなすような仕事はなくなっていきます。あらゆる仕事は、必要悪のようなものと見なされ、さまざまな分野で機械化、自動化が進行していきます。そして、人間のかかわりが必要な仕事については、サービス業や役所の仕事としてではなく、家庭や地域で自主的に処理していくものとなっていくでしょう。

 そういう時代に生き残る仕事とは、人間がその個性を生かして新しい価値を世の中に創造していくような仕事です。個性的で創造的な学問、芸術、技術、表現、発明、発見などが、人間の仕事の中心になっていきます。しかし、そういう仕事をする力を身につけるために必要な第一のものは時間です。創造的な個性は、お金で買えるものではありません。また、学力だけで達成できるものでもありません。ある人が、自分の関心のあるものに長い時間取り組むことによって次第に身についてくるものです。

 未来の社会では、人間の生活の中心は、この時間をかけること、つまり修行のようなものになります。創造的な個性を持つ師匠を見つけ、その技を習い、やがて自分もその技に自分の個性を加味して使えるようになり、今度は自分が師匠として弟子に教えていく、というようなサイクルが人間の一生のサイクルの基本になってくるのです。


 このような社会では、勉強の性格も大きく変化します。これまでの勉強は、学力をつけることを目的としていました。学力はそのまま成績として評価され、入学試験の選抜の基準となり、志望校に合格できれば、それで勉強の目的は達成されたと見なされました。

 しかし、これからの社会ではそうではありません。これからの仕事は、いい学校に入ったり、会社に入ったり、資格を取ったりすることによって手に入るものではなく、長い修行の中で自分の個性を創造的に高めていく中で手に入るものになるからです。だから、勉強の目的は、自分の個性を発揮する土台を作るということになってきます。

 学力が三角形の底辺で、個性が三角形の高さだとすると、これまでの社会は、底辺の長さだけで評価を済ませていた社会でした。これからはそうではありません。学力の底辺は、個性という高さと組み合わさって初めて意味あるものになります。この勉強の性格の違いが、勉強のあり方にも大きく影響してきます。

 幅広い学力をつけるという点では、これまでの社会もこれからの社会も変わりません。しかし、これからの社会では、そこに自分の個性を生かすという目的が加わってきます。個性を生かすとは、自分の好きな分野を見つけ、そこで時間をかけて修行することです。個性を価値ある創造性にまで高めることが修行です。従来の学力をつける勉強に加えて、この修行をすることがこれからの勉強の大きな柱になってくるのです。


 では、そこで作文の勉強はどういう意味があるかというと、作る勉強としての意義がはっきりしてくるということです。従来の勉強のほとんどは、吸収する勉強でした。与えられたものを理解し吸収し再現できることが、勉強の大きな目標になっていました。しかし、これからの仕事は、自ら作り出す仕事になります。この作り出す仕事に対応する勉強が、作り出す勉強としての作文になっていくのです。


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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