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 知能を高める教育(その2) 言葉の森 | 作文国語教室【公式】
 
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知能を高める教育(その2) as/179.html
森川林 2007/08/20 15:40 
修 削
 勉強には、成績をよくするための勉強と、頭をよくするための勉強とがあります。
 成績をよくするための勉強とは、知識を追加する勉強です。頭をよくするための勉強とは、考える力をつける勉強です。
 しかし、入学試験に限って言えば、それが高校入試であっても、大学入試であっても、○○資格試験であっても、すべて知識の勉強でカバーすることができます。なぜかと言えば、出題範囲が決まっているからです。範囲が決まっている分野で、点数の差をつけるためのテストをしようとすれば、問題はどうしてもパターン化されます。テストに出される内容は、平凡で大事なことよりも、例外的で点数の差がつきやすいことが主流になってきます。(これが、現在のテスト中心の勉強の最大の弊害です)
 平凡で大事なことであれば、普通に勉強していれば十分です。しかし、例外的で差のつく勉強では、テクニックが必要になります。そのテクニックとは、現代の入試では、出そうな問題のパターンに慣れることです。
 ですから、逆に言えば、テストに合格するためのいちばん役に立つ勉強法は、過去問に当たることです。高校3年生で、よく、「過去問は実力がついてからやってみます」と言う人がいます。そうではなく、実力がないうちから、過去問に答えを書き込んで読んでおくのがいい勉強法なのです。
 さて、入学試験までは、このように過去問中心の成績をよくする勉強で間に合わせることができます。しかし、世の中には、過去問のない問題が次々と登場します。過去問も、予備校も、模擬試験もなく、突然目の前に新しい問題が登場するのが普通です。そのときに、成績をよくするための勉強しかしてこなかった人は、途方に暮れてしまうのです。
 考える力のある人は、新しい問題についても、自分なりに考えることができます。それが、抽象的な思考力です。つまり、問題を、それが問題となっている次元ではなく、一つ上の次元から考えることができるのです。
 仏陀は、ある村で、子供を亡くした母親から、「子供を生き返らせてほしい」と頼まれます。仏陀には、それができるかもしれません。しかし、子供を生き返らせたところで、問題は根本的に解決するわけではありません。世界中の子供を生き返らせ続ける展望がなければ、解決は場当たり的なものにならざるを得ないからです。そこで、仏陀は、「これまで一度も死んだ人を出したことのない家からケシの種を三粒もらってきなさい」と言います。ここに、「生き返らせる」「生き返らせない」という次元を超えた、当時可能だった最善の解決策があったと思います。
 第一次南極観測隊の西堀栄三郎は、南極に着き、いざ基地を建築する段になって、日本から釘を持ってきていなかったことに気がつきます。「基地を作ることを諦めるか」「日本まで釘を取りに帰るか」などという次元の選択肢を超えて、西堀氏は、並べた板に水をかけ、凍った水で基地を建設するというやり方を提案します。
 いずれも、具体的な低い次元の話では解決できなかったことが、より抽象的な次元では解決できたのです。抽象的な考えとは、「人間とはそもそも……」「釘とはそもそも……」という考え方です。
 この「○○とはそもそも……」と考えるためには、「○○とは」という抽象的なものを考える力が必要です。(つづく)



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