ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 国語力は忘れたころについてくる Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 3039番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/20
国語力は忘れたころについてくる as/3039.html
森川林 2017/09/15 06:05 


 国語の勉強で、すぐに成績を上げる方法はあります。
 それは、読解問題で、解き方のコツを理解するという方法です。

 こういう理屈ではっきりわかるような勉強法は、現代人には好評で、多くの人がこの確実に成績が上がるやり方を評価してくれます。

 しかし、理屈で理解できる技術をもとにした勉強法は、実は根の浅いもので、本当の国語力は技術的な方法で身につくものではありません。

 例えば、読解問題の解き方のコツで成績を上げた子も、読む文章が難しくなると、そこで成績の上昇が止まってきます。
 技術でカバーできる範囲は、限られているのです。

 では、国語力を本当に上げるにはどうしたらよいかというと、それはかけた時間なのです。
 もっと正確に言えば、勉強した時間というよりも、勉強した日数に比例して国語力はいつのまにかついてくるというものなのです。

 小学校高学年の生徒で、作文力は普通で、特に上手でも特に下手でもないという子がいました。
 真面目な子で、毎日の音読の自習をきちんと続けていました。
 しかし、毎日やっていても、その成果はもちろんすぐには作文に出てきません。

 ところが、毎日の音読の自習と、毎週の作文のよくできたところを褒める指導を続けていて、半年ほど経ったある日、気がついてみると作文が前よりもずっとリズミカルでめりはりのあるものになっていたのです。

 作文力の上達は、こういうものです。
 優れた先生が、優れた添削をして、すぐに上手になるというものではありません。
 少なくとも、すぐに上手になる部分は、根の浅いものなのです。

 もう一つの例は、小学校低学年の生徒です。

 思考発表クラブで、毎週、それぞれの生徒に読んでいる本の紹介をしてもらっていますが、低学年の子は、本のあらすじをぼそぼそと言うような紹介がほとんどです。
 その子も、毎週そういう紹介をしていました。

 しかし、その生徒は、毎日の自習として読書と音読を続けていたのです。
 もちろん、毎日音読をしていても、目に見えるような成果は出てきません。

 ところが、やはり半年ほどたったある日、気がついてみると、いつのまにかとても的確に本の内容を紹介できるようになっていたのです。

 現代の勉強法は、「こういう方法でやれば、こういう結果が出る」という理屈で理解するようなものがほとんどです。
 社会全体が、そういう理屈で納得するような勉強観を持っているのです。

 しかし、江戸時代の寺子屋の勉強法は、そうではありませんでした。
 毎日の素読のような、平凡な繰り返しの勉強が中心だったのです。
 その名残りが、今の九九の暗唱のような勉強法です。

 欧米では、九九の暗唱ではなく、掛け算の一覧表を目で見て覚えて、テストで評価するという方法が主流です。
 どちらが、本当の掛け算の実力になっているかと言えば、日本の単純な繰り返しの勉強法の方だというのは異論がないと思います。

 この日数をかけて上達する方法というのは、やっている生徒の方も見ている親や先生の方も張り合いがありません。
 何日もやっているのに成果があるのかないのかわからないという日が、何週間も、何か月も、時には何年も続きます。

 そこで、ほとんどの人は、そういう単純な繰り返しの自習をいつの間にかやめてしまいます。

 ところが国語力というものは、この毎日のわずか数分の積み重ねでいつのまにかついてくるというものなのです。


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

コメント欄

森川林 2017年9月15日 6時12分 1 
 勉強観には、その時代の文化が反映されています。
 現代人の多くは、分析主義的な考え方を無意識のうちにしていて、勉強についても、できないことがあると、できるようになる方法を教えてもらえば、できるようになると思ってしまいます。
 しかし、本当は、日数をかけることでしかできないことがあり、国語力・作文力については特にそのかけた日数というものが大事になってくるのです。

nane 2017年9月15日 6時21分 1 
 国語力は、ある程度難しい文章を繰り返し読むことでついてきます。
 だから、問題集読書の音読を毎日続けるのがいちばんいいのです。
 しかし、子供はこういうあてのない勉強を嫌がり、問題集を解いて○や×をつけるような勉強を好みます。
 だから、世の中には、そういう教材が溢れています。
 しかし、国語の成績のいい子は、そういう国語の問題を解くような勉強はまずしていません。
 そこで、言葉の森では、問題集読書を家庭でも続けられるようにするために、オンラインの自習指導を始めたのです。


コメントフォーム
国語力は忘れたころについてくる 森川林 20170915 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
よらりる (スパム投稿を防ぐために五十音表の「よらりる」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 音読(22) 問題集読書(33) 
コメント1~10件
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
【合格速報】東 森川林
 T君、いつも椅子に腹ばいになってずっと本を読んでいたものね 3/11
1月の森リン大 森川林
 小1から高3までの作文が並ぶと、学年に応じて、みんなの考え 3/11
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7
タイマー勉強法 森川林
 勉強も、家事も、仕事も、やらなければならない細かいことがた 4/2
人間の役割 森川林
うちの子が1歳か2際のとき、 車で30分ほどの三浦海岸につ 4/2
舞岡のシラサギ 森川林
舞岡八幡宮に行ったら、帰りにシラサギがいた。 3/29
身体や物理的現 森川林
身体や物理的現実は、時間や空間に限定されているが、意識はそれ 3/29
メジロとか、ヒ 森川林
メジロとか、ヒヨドリとか、スズメとか、ヤマバトとかが、毎日わ 3/28
批判と創造 森川林
人を批判することはたやすい。 大事なことは、批判ではなく創 3/27

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン