ログイン ログアウト 登録
 未来の社会と教育(その2) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 446番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/3/23
未来の社会と教育(その2) as/446.html
森川林 2009/04/08 03:41 
 現在の教育は、テスト中心の教育です。そのテストに対応する形で勉強の努力が行われます。しかし、みんなができるようになると、その努力を上回るようなテストの問題が作られるようになります。なぜなら、テストの目的は、差をつけることにあるからです。もちろんこれは選抜テストの場合です。世の中には到達度を評価するという目的のテストもありますから、そういうテストの場合は、全員ができるようになることが目的になります。
 選抜を目的としたテストの場合、努力に応じて難しくなったテストの問題に対応するために、勉強の技術が生まれます。しかしその技術が普及すると、やがてその技術をいかにこなしたという努力の差がテストの差になってきます。この場合の努力とは、勉強にかけた時間に換算される努力です。つまり、テスト、技術、努力の三つの要素がお互いに影響し合いながら、らせん状に学力を高めていくという仕組みが現代の教育を特徴的な姿です。現代社会に生きていると、教育のスタイルはこういう形でしか考えられませんが、歴史的には教育はさまざまな形で行われていました。明治維新前の若者たちの勉強は、テストのためというよりも、純粋な向上心によるものだったと思います。長い歴史で見ると、テストのための勉強という時代はむしろ少なく、ほとんどが自分自身の知的好奇心や向上心からの勉強だったでしょう。
 選抜テストが目指す教育の目標と、社会が求める必要な人材の方向は、大体において一致していると考えられます。しかし、テストは、評価の方向が人為的に作られているので、社会が求める人間像からしばしば逸脱してきます。中国の科挙などは、社会体制を維持するための試験制度でしたが、その試験制度が有為な人材を社会の重要な役割につけていたとは言えませんでした。なぜなら、科挙によって成り立っていた中国の社会は、近代化の波に大きく乗り遅れ、その後の中国の植民地化を招いたからです。それに対して、同じ時代の日本の青年は、テストのための勉強ではなく、自らの向上心による勉強に取り組み、その青年たちが、日本の近代化を大きく進めました。つまり、社会が本当に求める人材と青年たちの自主的な勉強が一致していたのです。
 さて、明治維新のような激動の時代でない平和な時代では、社会とはその時代の身分制社会をあらわしています。身分制などというと、それは江戸時代までの士農工商の話であって、現代の社会にはあてはまらないと考える人もいますが、必ずしもそうとは言えません。現代もこれからも、社会の背後には、ある一定の上下関係を維持しようとする力が働いています。これが広い意味の身分制です。日本は比較的平等な社会ですが、世界にはまだ独裁制や貴族制の社会が数多くあります。また、表面は民主主義と平等の社会であっても、人種や宗教による隠れた身分制が存在している社会もあります。それらの社会によって構成された国際社会では、さらに国際的な力関係があります。G8、G20、常任理事国、非常任理事国の差は、国際的な身分の差です。こう考えると、身の回りでは民主主義が成立しているように見えても、社会の基調は身分的な上下関係で成り立っているというのが現実に近い見方です。しかし、それは、必ずしも身分制が悪いということではありません。もともと集団生活を営む性質を持つヒトという種は、グループを形成して生活するのが一般的で、そのグループの中では必ず身分的なものが生じてくるからです。つまり、身分というのは、純粋な力関係ではなく、ある力関係を維持する方向に働く仕組みなのです。
 さて、こういうことばかり書いていると、教育の話が出てこないので、次回は勉強に関連する話を書きます。
(つづく)



コメント欄

コメントフォーム
未来の社会と教育(その2) 森川林 20090408 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
にぬねの (スパム投稿を防ぐために五十音表の「にぬねの」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
【合格速報】東 ふつ
合格おめでとうございます。 毎週真剣に取り組み、どんどん上 1/7
記事 5403番
国語力、読解力 森川林
読検の解答は個別れんらくでお送りください。 12/29
記事 4331番
国語力、読解力 すみひな
本日の読解検定を受け忘れてしまいました。回答をどちらに送れば 12/27
記事 4331番
森リン大賞が示 森川林
作文力を上達させるコツは、褒めることでも直すことでもなく、書 12/13
記事 5398番
作文コンクール 森川林
 子供たちの教育で大事なのは、知識の詰め込みではなく、読書と 12/10
記事 5395番
読書と作文が子 森川林
 小学生時代は、勉強よりも読書。  中学生以上は、勉強と同 12/9
記事 5394番
子どもの文章力 森川林
今の受験は知識の詰め込みの勉強になっています。 考える問題 12/8
記事 5392番
作検研究。森リ 森川林
作文は、褒められても注意されても、そこに客観的な基準がなけれ 12/7
記事 5391番
「作文検定」「 森川林
 今は、AI社会の前夜。  昔は新聞やテレビが中心だった。 12/7
記事 5390番
AI時代に子ど 森川林
AI時代には、先生の役割は「教えること」ではなくなります。 12/6
記事 5389番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
2026年3月 森川林
●低学年、中学年は勉強よりも読書と対話。  小学校 3/23
森の掲示板
そういう未来が 森川林
 自分には、そういう未来が見える。 >  子犬がいつも 3/14
森川林日記
子犬がいつも楽 森川林
 子犬がいつも楽しく走り回るように、  人間も、生まれてか 3/14
森川林日記
AIの可能性と 森川林
 AIの可能性と限界とは、裏返せば人間の可能性と限界というこ 3/14
森川林日記
Re: 2月分 森川林
 お返事遅れて失礼。 問2のAが×なのは、 「……助 3/7
国語読解掲示板
ChatGPT 森川林
少し大きな話になりますが、かなり現実的な話として書きます。 3/6
森川林日記
Claudeに 森川林
作文検定が成功する確率は何%ぐらいだと思う(笑) (笑 3/6
森川林日記
今後の政治経済 森川林
 Claudeがいちばん自分の考えにぴったり合っていた。 3/6
森川林日記
故障が3件 森川林
 朝、ICレコーダのスイッチが故障した。  オリンパスに問 3/4
森川林日記
AIにふりがな 森川林
●内容(ないよう)には点数(てんすう)をつけませんが、次(つ 2/26
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン