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勉強の拠点は家庭 as/71.html
cynthia 2006/05/09 19:47 
 日本の小学校教育は明治以来の長い伝統があるので、教える内容はそれなりに充実しています。しかし同時に長年、学校という閉鎖された社会の中で教育が行われてきたために、教育の本来の目標からはずれた無駄な部分も数多く生まれています。

 そのひとつは、授業よりも行事が優先されがちな姿勢があるということです。児童や父母の声よりも、内部の関係者どうしの声のほうが反映されやすい仕組みになっているので、行事を滞りなく消化することが仕事の中心のようになり、授業は行事の間にやるもののようにとらえられています。また、その行事も行事の目標よりも形式が優先されるので、自然と前例が踏襲されるようになり、年々形式的に手間のかかるものになっていくようです。一度、学校の行事をすべて洗い出し、外部からの声も取り入れて不要なものを大胆に削除する試みをする必要があるように思います。

 もうひとつは、授業の内容が総花的で、どうでもいいものと重要なものが同じような割合で教えられていることです。小学校の勉強の中心は読む力をつけることで、それ以外は乱暴に言えばやってもやらなくてもいいものです。せいぜい加減乗除がきちんとできるようにしておくぐらいで、ほかの教科は数分の一に圧縮しても支障はないと思います。しかし、学校や教育関係者の内部からは、そういう声は出てきません。学校は重要な問題を内部で調整して決めることができません。学校の改革は、学校を超えた視点からしていく必要があります。

 これらの学校の限界をカバーするのは、塾ではなく家庭です。しかし、子供たちが家庭で勉強のために費やせる時間はせいぜい1、2時間です。したがって、家庭での教育は重点をしぼって行なう必要があります。その重点とは、ひとことで言えば読む力をつけることです。漢字の書き取りや計算ドリルや意味のよくわからない宿題に時間をさくよりも、まず第一に学年に応じた文章を読む力をつけることを家庭学習の中心に置くことが大切です。。学年に応じた文章が十分に読めれば、さらに上の学年の文章を読む力をつけていけばいいのです。

 こういう家庭学習をするためには、子供部屋はかえって邪魔になります。勉強は親が見ている前でするもので、子供部屋は趣味と遊びのために使う部屋と位置づけておく必要があります。これは、中学生になってからもそうです。中高一貫教育の私学で中だるみ現象のあることがよく指摘されますが、これは中学生になると親が勉強を見ずに本人まかせにしてしまうからです。どんなに難しいことをやっていると言っても中学生の勉強ですから、親が日曜日にでも参考書を読みかえせば、子供たちのやっている勉強の中身はじきにわかります。子供たちがやっている勉強は、外見は立派そうですが、よく見ると弱点だらけです。

 中学受験は親の受験だと言われます。つまり小学生の子供たちには自力で勉強を進めていくだけの意志も見通しもまだないということです。しかし、こうした小学生の子供たちが、中学生になったとたんに自立して勉強していくと考えるのは、大きな誤解です。幼稚園時代に子供にたっぷり読み聞かせをしてあげていたお母さんが、子供が小学校に上がったとたんに「もう小学生なんだから自分で読みなさい」と突き放して子供を読書嫌いにさせてしまったというケースは数多くあります。同じように、小学校時代に手取り足取り勉強を見てあげていたお父さんやお母さんが、子供が中学生になったとたんに子供部屋を与えて「もう中学生なんだから自分で勉強しなさい」と突き放して、子供の学力を低下させてしまう例も数多くありそうです。自立は時間をかけて少しずつ行なっていくものです。小中学生の勉強の拠点は家庭で、その勉強には親が深くかかわっていく必要があると思います。



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