ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 学力を高める出発点は、家庭学習 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 995番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/27
学力を高める出発点は、家庭学習 as/995.html
森川林 2010/08/18 15:07 


 現代の日本の社会における子供たちの学力低下は、次のような流れで起こっていると考えられます。

 まず、家庭教育の機能が低下していることです。そのため、子供たちの勉強力格差が拡大しました。その結果、学校教育の一斉授業が効果的に行われないようになり、学力の格差が更に拡大しました。そこで、低学年からの私立学校化志向が生まれました。そのため、勉強の内容が、学力をつけるための勉強から、受験に勝つための勉強に変わっていき、その傾向が低年齢化していきました。勉強が受験という目標に絞られた結果、学ぶ喜びを感じられない勉強をする子が増え、そういう子供たちがそのまま成長するという仕組みになっているのです。

 高校生のころになると、だれでも、勉強の中で自分が向上するという喜びに目ざめるようになります。ところが、低学年から勝ち負けの勉強に適応していると、高校生になってもその延長で勉強というものを考えてしまいます。勉強は苦しいけど、やらないと競争に負けるからやむを得ずやるという考えです。

 楽しいから勉強するという子と、苦しくても我慢して勉強するという子とどちらが伸びるかといえば、楽しみながら勉強できる子の方です。今の日本の社会は、楽しいから勉強するという子が減り、苦しいけど勉強するという子が増えているのです。



 こう考えると、いちばんの土台となる家庭教育の足場をしっかりさせることが、学力を回復させる鍵になります。

 学力テスト上位県の特徴は、学校で宿題を出すことが当然のようになっており、家庭学習がその宿題に対応して行われていることです。つまり、家庭で毎日何を勉強するかということがはっきりしているので、親が迷わずに子供に家庭学習をさせることができます。

 これ対して、学力テスト下位の主に都会の県では、親が家庭学習とし子供に何をさせるのかというよりどころがありません。そこで、通信教育の教材や通学の塾などに頼るようになります。ところが、これらの教材や塾は、学力をつけることよりも、子供たちが取り組みやすいこと、点数という結果が出やすいことに力点が置かれがちです。

 そのような勉強で子供たちに意欲を持たせようとすれば、競争や褒美に力を入れるということにならざるを得ません。こうして、勉強はますます学ぶ喜びから遠ざかったものになっているのです。

 家庭教育は、市販の教材や塾に頼らずに、真に学力のつく教育として取り組むことが大事です。それが何かということをひとことで言えば、豊かな日本語の力を育てるということです。それは、学力の本質が日本語力だからです。

 例えば、近代日本を切り開いた勝海舟、福沢諭吉、西郷隆盛、坂本竜馬などは、今の小中学校にあたる年齢のときに、今で言う英語や数学などの勉強はしていませんでした。勝海舟や福沢諭吉が外国語を勉強したのは成人してからです。この時代の日本人全体の学力の基盤は、日本語の読み書き以外にはありませんでした。その日本語の読み書きの力をしっかりつけることで、その後の新しい勉強の土台ができたのです。

 では、豊かな日本語力はどのようにしてつくののでしょうか。

 日本語の学習は、質、量、密度の三つの点から考えられます。日本語の質と量は、生活の中で自然に身につくものです。例えば、毎日の読書や対話を、少し難しく、しかし楽しく、したがって数多く経験していくことです。また、密度に関しては、同じものを繰り返すことです。対話においては同じ話題、読書においては同じ本を繰り返し味わうことが日本語力の土台になっていくのです。(つづく)


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

コメント欄

コメントフォーム
学力を高める出発点は、家庭学習 森川林 20100818 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
きくけこ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「きくけこ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
近所のローソン 森川林
毎日新聞を見たけど、記事はまだ載っていまでした。 4/25
毎日新聞に言葉 森川林
 しばらく前に、毎日新聞の人が取材に来ました。  そのとき 4/24
テスト送信 森川林
https://www.mori7.com/za2024d0 4/24
4月保護者懇談 森川林
シラン ●今後の「森からゆうびん」の学習デ 4/22
マスクにしても 森川林
マスクにしても、ワクチンにしても、消毒にしても、 自分たち 4/21
イエスも釈迦も 森川林
イエスも釈迦も、理想の社会を築きたいと思っていた。 しかし 4/21
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習