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記事 180番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
知能を高める教育(その3) as/180.html
森川林 2007/08/23 16:35 
 では、単に成績をよくするための勉強法ではなく、頭をよくするための勉強をするためにはどうしたらいいのでしょうか。
 それには、やはり簡単な例が参考になります。1を10回加えるときに、1+1+1+……と考える方法と、1×10と考える方法がありました。問題のレベルが低いときは、スマートな掛け算を考えるよりも、1+1+1+……と力技で計算して答えを出す方が早いことが多いのです。そして、日常生活のほとんどの場面は、この力技で処理できます。
 例えば、ある人数をいくつかのグループに分ける必要があった場合、人数が少なければ、だれかが数えて分けてしまうのがいちばん簡単なやり方です。10人を3つのグループに分けるときは、3人ずつ分けていき余った1人はどこかのグループに適当に入れれば済みます。
 しかし、百人を3つに分けるときに、これと同じ方法が取れるでしょうか。千人ではどうでしょうか。1万人ではどうでしょうか。人数が多くなったときにグループ分けする方法は、もっとスマートに考える必要があります。例えば、こういう方法です。
「それでは、1万人のみなさん。みなさんの誕生日を3で割って、余りが1の人はAグループ、余りが2の人はBグループ、余りが0の人はCグループに行ってください」
 こういう方法であれば、3万9千人の人を7つのグループに分けるなどという面倒なこともすぐにできます。しかし、日常生活では、そういう大人数を分ける必要が出てくることはまれなので、抽象的に考えるタイプの人よりも、単純に大声を出して行動力を発揮できるタイプの人の方が活躍することが多いのです。
 ところが、人間は成長するにつれて、だんだん難しい役割を担うようになります。課題が難しくなり守備範囲が広くなるにつれて、単に行動力があるだけの人よりも、思考力のある人の方が仕事ができるようになってきます。
 このように考えると、頭をよくするとは、抽象的な力を高めることだということがわかります。掛け算は、足し算よりも抽象的なので、扱う数が多くなるにつれて便利になってくるのです。
 人生も似ています。その人の生活範囲が狭くて単純なときは、行動力がいちばんです。しかし、複雑さが増すにつれて、抽象的に考える能力が必要になってきます。
 その抽象的に考える能力は、低いレベルの左脳教育ではなく、また、単に左脳の対極にある右脳教育でもなく、より高い次元の左脳教育なのです。

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記事 179番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
知能を高める教育(その2) as/179.html
森川林 2007/08/20 15:40 
 勉強には、成績をよくするための勉強と、頭をよくするための勉強とがあります。
 成績をよくするための勉強とは、知識を追加する勉強です。頭をよくするための勉強とは、考える力をつける勉強です。
 しかし、入学試験に限って言えば、それが高校入試であっても、大学入試であっても、○○資格試験であっても、すべて知識の勉強でカバーすることができます。なぜかと言えば、出題範囲が決まっているからです。範囲が決まっている分野で、点数の差をつけるためのテストをしようとすれば、問題はどうしてもパターン化されます。テストに出される内容は、平凡で大事なことよりも、例外的で点数の差がつきやすいことが主流になってきます。(これが、現在のテスト中心の勉強の最大の弊害です)
 平凡で大事なことであれば、普通に勉強していれば十分です。しかし、例外的で差のつく勉強では、テクニックが必要になります。そのテクニックとは、現代の入試では、出そうな問題のパターンに慣れることです。
 ですから、逆に言えば、テストに合格するためのいちばん役に立つ勉強法は、過去問に当たることです。高校3年生で、よく、「過去問は実力がついてからやってみます」と言う人がいます。そうではなく、実力がないうちから、過去問に答えを書き込んで読んでおくのがいい勉強法なのです。
 さて、入学試験までは、このように過去問中心の成績をよくする勉強で間に合わせることができます。しかし、世の中には、過去問のない問題が次々と登場します。過去問も、予備校も、模擬試験もなく、突然目の前に新しい問題が登場するのが普通です。そのときに、成績をよくするための勉強しかしてこなかった人は、途方に暮れてしまうのです。
 考える力のある人は、新しい問題についても、自分なりに考えることができます。それが、抽象的な思考力です。つまり、問題を、それが問題となっている次元ではなく、一つ上の次元から考えることができるのです。
 仏陀は、ある村で、子供を亡くした母親から、「子供を生き返らせてほしい」と頼まれます。仏陀には、それができるかもしれません。しかし、子供を生き返らせたところで、問題は根本的に解決するわけではありません。世界中の子供を生き返らせ続ける展望がなければ、解決は場当たり的なものにならざるを得ないからです。そこで、仏陀は、「これまで一度も死んだ人を出したことのない家からケシの種を三粒もらってきなさい」と言います。ここに、「生き返らせる」「生き返らせない」という次元を超えた、当時可能だった最善の解決策があったと思います。
 第一次南極観測隊の西堀栄三郎は、南極に着き、いざ基地を建築する段になって、日本から釘を持ってきていなかったことに気がつきます。「基地を作ることを諦めるか」「日本まで釘を取りに帰るか」などという次元の選択肢を超えて、西堀氏は、並べた板に水をかけ、凍った水で基地を建設するというやり方を提案します。
 いずれも、具体的な低い次元の話では解決できなかったことが、より抽象的な次元では解決できたのです。抽象的な考えとは、「人間とはそもそも……」「釘とはそもそも……」という考え方です。
 この「○○とはそもそも……」と考えるためには、「○○とは」という抽象的なものを考える力が必要です。(つづく)

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記事 178番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
長文の音読が難しい as/178.html
森川林 2007/08/20 09:43 
 ときどき、「長文の音読が難しい」という相談を受けます。
 難しいのは、当然です。難しい文章でも読めるようにするための勉強だからです。
 ここで大人が大きく勘違いをしてしまうのが、数回ですらすら読めるようになるのが普通の勉強だと思ってしまう点です。学校では、確かにそのようなスモールステップの勉強をしています。最初は、大きい文字でひらがなだけの勉強です。それから、少しずつやさしい漢字が入り、文章が少しずつ長くなります。そのように、一歩ずつ抵抗なく段階的に進歩させていくのが現在の勉強です。それは、もちろんそれでいいのです。スモールステップで毎日少しずつ長い期間ををかけて気長にやっていくのが学校の勉強だからです。
 ところが、言葉の森の長文音読は、1日十分程度です。このような短い時間の勉強で、子供が最初から楽にすらすら読めるようなものを毎日読んでいても力はつきません。
 最初は、つっかえつっかえで1日で数行読むのがやっとということもあります。そのときは無理をせずに数行でやめて毎日続けていればいいのです。1日の音読時間の目安は10分程度で、勉強の期間は3ヶ月です。3ヶ月で10〜20編の長文を毎日数行ずつでも読んでいれば、3ヶ月の終わりごろには、驚くほど楽に読めるようになっています。
 そのときに、いちばん大事なのは、親の笑顔です。子供がつっかえつっかえ読んでいるのを聞いて、横でにこにこしていられる親はまずいません(笑)。それぐらい、子供がたどたどしい読み方をするのを聞くのは、親にとっていらいらすることなのです。そこを、忍耐強く、毎日「よく、読めたねえ」と褒めてあげるのが親の勉強です。低学年の長文音読は、子供の勉強である前に、親の忍耐力の勉強なのです。

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記事 177番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
知能を高める教育 as/177.html
森川林 2007/08/20 08:58 
 先日も紹介した苫米地英人さんの本「頭の回転が50倍速くなる脳の作り方」を読んで、関連して考えたことを書きたいと思います。

 小学校低中学年のころは、親が勉強をさせれば、子供の成績はよくなります。この理由は単純で、このころの勉強は表面的なものなので、与えればその分知識は増えるからです。
 もちろん、勉強をさせて成績をよくする方が、勉強をさせずに成績を悪くするよりもずっといいことは確かです。しかし、それ以上に大事なものは、成績をよくするのではなく、頭をよくする勉強をさせることです。
 頭をよくする勉強というのは、抽象的な能力をつける勉強です。例えば、1を10回加えるときに、1+1+1+……と計算させていくのが、成績をよくする勉強法だとすると、1×10という考え方を教えるのが頭をよくする勉強法です。正確に言えば、「考え方を教える」のではなく、そういう「考え方ができることを教える」のが、頭をよくする勉強法です。
 この成績をよくする勉強法と頭をよくする勉強法の違いは、学年が小さいころには出てきません。頭をよくする勉強法をしている子は、むしろ成績があまりふるわないのが普通です。ところが、学年がだんだん上がるにつれて、頭をよくする勉強法をした子の方が伸びてくるのです。
 と言いたいところですが(笑)、実は大学入試のころまでは、その差はまだそれほどはっきりしません。大学入試ぐらいのレベルの勉強では、成績をよくする勉強法に根性で取り組んでいる子の方が、やはり成績はいいのです。その理由は簡単です。今の入試では、頭のよくなる勉強を1時間しかしない子よりも、成績のよくなる勉強を10時間する子の方が、成績がよくなるような試験内容になっているからです。
 本当に差がはっきりしてくるのは、大学入学後です。学校を卒業して、社会で仕事に取り組むようになると、勉強の内容は、1を10回加えるような簡単なものから、もっと複雑なものになってきます。そのときに、抽象的に処理する能力を身につけた子は、次々と出てくる難問に取り組んでいくことができるのです。
 では、その抽象的な能力とは、何でしょうか。(つづく)

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記事 176番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
「○○しないと○○にならない」から「○○すると○○になる」へ as/176.html
森川林 2007/08/06 17:08 
 夏休みは、子供に注意することが多いと思います。そのときに、つい言ってしまうのが、「○○しないと○○にならないよ」という言い方です。例えば、「勉強しないと、遊びに行けないよ」です。
 否定的な言葉で言った方が強い印象を与えるので、急いでいるときに、大人は、ついそういう言い方をしてしまいます。
 しかし、もっといい言い方は、「○○すると○○になるよ」という言い方です。例えば、「勉強すると、遊びに行けるよ」という言い方です。更にいい言い方は、「勉強して、遊びに行こう」です、「遊び」の方に重点が置かれているからです。
 なぜ、このような言い方がいいかというと、否定的な言葉を聞くと、子供は暗い気持ちになるからです。暗い気持ちが背景にあって勉強したことは、すぐに忘れてしまいます。生き物は、嫌なことや苦しいことは忘れるという性質があるからです。
 大人でも、小学校のころの思い出で、ある学年のところだけぽっかり記憶がないということがあると思います。それは、そのときの担任の先生と相性が悪かったか何かで、そのころの記憶が薄れてしまっているからです。当然、そのころに勉強した内容も薄れています。
 注意するときは、一呼吸置いて、その注意を聞く子が明るく聞けるような工夫をしていきましょう。

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