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記事 430番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
プログラミングと数学と国語に見る勉強の本質(その1) as/430.html
森川林 2009/03/25 09:20 
 勉強の本質は似ています。それをプログラミングと数学と国語について説明します。
 多くのプログラミング言語で最初に覚えるのは、「Hellow World!」という表示です。この言葉が表示できて嬉しいとなるのが、どの教科書でも最初の方に載っています。わけのわからないコマンドの列が、このように具体的な形となって表れるというところに、小さな感動があるのです。
 プログラミングでは、やがていろいろなコマンドを使うようになります。プリントという命令や、「もし……ならば……する」という命令や、ループするというような命令です。
 これが数学の場合は、計算の仕方や初歩のルールを覚えることに相当しています。
 国語の勉強では、漢字を覚えたり単語を覚えたり基礎的な熟語を覚えたりするような段階がこのレベルです。この段階を、まるで自分の手足を動かすように自由に使えるように習熟することが小学校教育の目的になると思います。

 やがてプログラミング言語では、さまざまなコマンドを組み合わせた関数を使えるようになります。これは、複数のコマンドを組み合わせてひとまとまりの命令を実行するという機能です。
 例えば、長い文章からある特定の文字列を抽出してそれを他の文字列に置き換えるというような関数です。この関数を覚えることで、関数とルールを組み合わせるプログラミングができるようになります。プログラミングの世界では、「自分で車輪をつくる必要はない」ということがよく言われます。つまり、自分で関数という部品を作るのではなく、すでにある部品をうまく利用して、目的とする仕事をすることが大事だということです。
 数学の場合は、この関数が公式や定理というものに相当します。計算の初歩のルールさえ知っていれば、そこから自分で公式や定理を考えだすことは原理的に可能ですが、みんなが独力で三平方の定理を考えだすというようなことでは、人間の文化は進歩しません。すでに考えられた公式や定理をうまく組み合わせて使うというのが数学の中段階の勉強の目標になります。
 国語の世界では、この関数や公式や定理を覚える段階が、思考のパターンやことわざや名言を覚える段階に相当します。
 この段階になると、理解はできるが、十分には使えないというような状態の人が多くなってきます。人間の能力は、だれでもほとんど同じですから、この段階を全然理解できないというような人はいません。時間をかけて説明されればだれでも理解できるが、それを自分の手足のように自由に使うことはできないということが学力の差となって表れてくるのです。
(つづく)
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。

(急いで書いたのでうまくありません)

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記事 429番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
入試は情報戦 as/429.html
森川林 2009/03/24 20:00 
 入試の合格ラインは、65パーセントぐらいというのが大体どこの学校でも共通しています。中には80パーセント以上というところもありますが、数はそれほど多くありません。
 受験する生徒の中には、65パーセントの合格ラインで合格できる学校に80パーセント以上の得点を取って合格する人たちもいます。しかし、大多数の生徒は、合格ラインの65パーセント近辺に集まっています。
 こう考えると、ある学校に合格したと言っても、そのほとんどは65パーセント近くで合格しています。65パーセントの出来具合というのは、実感として「難しくてほとんどできなかった」というところです。よくわからなかったが、運がよかったこともあって合格した人が大多数と考えておけば間違いないと思います。

 大学入試で言うと、個別試験の合格ラインは65パーセントぐらいです。この個別試験に80パーセント以上の確率で合格することを考えると、目標はとてつもなく高いものになってしまいます。平均点が65パーセントぎりぎりまで取れることを目標に勉強していくのが現実的な目標です。
 しかし、今は大学入試で、センター試験を利用するところも多くあります。このセンター試験は、個別試験と違い、実力があれば8割9割の得点を取ることは可能です。また、いずれもよく考えられた問題なので、過去問をもとにしっかり準備すれば、実力相応の点数は取れるようになります。個別試験でコンスタントに何点を取ると考えるのは難しいのすが、センター試験ではある程度得点の予測がつきます。
 そう考えると、センター試験の利用できる大学であれば、早めにセンター試験の過去問をやっておき、そこで高得点を取ることを目標に勉強を進めていくというのも、ひとつの重要な戦略になると思います。

 高校生は、受験する科目数が多いと負担に感じると思いますが、逆に言うと、多くの高校生は受験科目数の少ない受験の仕方を目指しています。勉強すれば確実に得点の見通しがつくセンター試験の勉強にもっと時間を割いてもいいのではないかと私は思います。

 現在の受験は、情報戦になっています。実力の戦いではなく、情報を分析して最適の戦略を立てられることのできる人が有利になるというある意味で不合理な競争になっています。ところが、高校生が独力でそのような情報戦を戦い抜けるかというと、そういうことを最初からできる人はほんの一握りです。しかし、幸い、情報環境は充実しているので、インターネットや模試や過去問を利用すれば、高校生でも自分なりの戦略を立てていくことは可能です。ほとんどの学校は、このような情報戦をバックアップしてくれません。大手の予備校もほぼ同じです。これから高校3年生になるみなさんは、自分の力で受験の戦略を立てるようにがんばっていってください。

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記事 428番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
勝つための勉強、力をつけるための勉強 as/428.html
森川林 2009/03/23 15:22 
 スポーツのような競技では、勝つための練習と力をつけるための練習は分かれています。
 勝つためには、自分の得意を表に出し、苦手を出さないようにすることが大事です。柔道などで、立ち技が得意で寝技が苦手なら、立ち技だけで攻めるようし、寝技に持ち込まれないようにするのが勝つための方法です。
 ところが、勝つための練習だけしていると、苦手はいつまでも苦手のままです。力をつけるためには、負けてもいいから苦手を克服する練習をしたり、新しい得意技を作ったりする練習が必要になります。

 スポーツと同じように、勉強でもつい勝つための勉強に眼を奪われてしまうことがあります。「時間切れになりそうだったら、何しろわからなくてもいいからマスを埋めてこい」というのは、試験に勝つための方法です。力をつけるための方法は正反対です。「わからない問題だったら、自分がわからなかったことをはっきりさせておくために曖昧な答えを書かない」というのが力をつけるための方法です。

 アメリカの製造業が衰退したのは、株主の利益を優先するあまり、短期間で業績を上げなければならなかったからです。勝つための経営をしていたのです。それに対して、日本の企業の多くは、短期の業績よりも長期の業績、つまり力をつけることを大切にしてきました。短い期間では、アメリカのやり方の方が合理的に見えました。しかし、長い目で見ると、力をつけるための経営をしてきた会社の方が業績も上がっていったのです。

 子供に勉強をさせるとき、今のような競争社会では、つい勝つことに目を奪われてしまいます。テストの点数が気になるというのは、意識が勝ち負けにしか行っていない証拠です。子供はそれでもやむをえません。しかし、大人は一歩上の立場にいて、勝つための勉強ではなく力をつけるための勉強を教える必要があります。テストが返ってきたら、点数を見るのではなく、どういう問題でどう答えたかを見るのです。

 またスポーツの話に戻りますが、ゲームのような練習は、ランニングやパスだけの練習よりも面白いものです。しかし、ゲームでは勝ち負けの勘はつかめますが、力はつきません。力がつくのは、やはりランニングやパスの単調な練習なのです。

 この類推で言うと、問題を解く勉強はゲーム的な勉強です。問題集でどんどん問題を解いていくと面白く勉強ができます。しかし、力がつくのは、問題を解いたあと、できなかった問題だけをできるようになるまで繰り返し解く練習です。
 数学の問題などで、できなかったところだけを何度も繰り返し解くというのは、子供にとっては苦痛で退屈です。それよりも、新しい問題集を解いた方が面白いというのは当然です。しかし、できなかったところを反復して練習し、1冊の問題集で百パーセントできるようにすることが力をつける勉強になるのです。

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教育論文化論(255) 

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頭をよくするもの悪くするもの(その4) as/427.html
森川林 2009/03/22 05:20 
 頭をよくするというのは、思考力をつけることであって、条件反射的な知識や技能を身につけることではありません。知識や技能は勉強の材料や手段として必要なのであって、それ自体が勉強の中身ではありません。しかし、小学校の低中学年のころは、そのような材料や手段を身につけることが勉強の中身です。それは、小学校低中学年のころは、まだ思考力を本格的に育てるような年齢ではないからです。
 思考力は、言語能力と不可分のものです。だから、本を読むことが思考力を育てるいちばんの近道です。小学生のころは、勉強よりも読書を優先するというのは、こういう意味なのです。
 勉強が忙しくて本を読む時間がとれないという子がよくいます。しかし、その忙しい勉強の内容が条件反射的な勉強であれば、その勉強をすればするほど頭は悪くなります。
 百マス計算や漢字書き取りは勉強の基礎力をつける点で価値のある勉強ですが、そういう勉強をやりすぎることは、頭の使い方を勘違いしていることになります。点数やスピードを競うことは、集中力をつけますが、それもある程度以上になると意味のないことになります。
 ここで大事なのは、試験に勝つための勉強と、実力をつけるための勉強は違うということです。受験などの試験に勝つためには、ある程度反射的な勉強に慣れておく必要があります。そのために、読書の時間がなかなか取れなくなるということは、やむをえません。しかし、将来のことを考えると、試験に勝つための勉強ではなく、実力をつけるための勉強を優先しておく必要があります。つまり、重要度から言えば読書が第一で、勉強が第二です。しかし、試験ということを考えた場合の緊急度から言えば、勉強が第一で、読書は番外です。
 この区別を、人生経験の豊富な親がしっかり把握しておき、ともすれば反射的な勉強に流されがちになる子供の生活の軌道修正を行っていく必要があるのです。

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記事 426番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/5/2
頭をよくするもの悪くするもの(その3) as/426.html
 2009/03/21 05:40 
 本多静六は、今の高校生のときに家の仕事をしながら四書五経を暗唱しました。今の大学入試に相当する山林学校の入試では、作文の点数が高かったために合格しました。それまでは家の仕事を手伝っていたので勉強はほとんどできず、数学のテストは山が当たっただけというまぐれの合格でした。だから、合格の順位は50人中の50位、つまり最下位でした。
 しかし、作文が得意だったということに見られるように、本多静六には読む力と考える力がありました。この作文力、読解力、思考力が、本多静六の真の実力でした。
 静六は、入学後の数学の試験で赤点を取り、落第し自殺を図ります。しかし、そのあと一念発起して数学の勉強すると、次の年から数学が学年トップの成績になりました。つまり、思考力という真の実力があれば、そのほかの勉強は、あとからいくらでも間に合うということなのです。
 このように考えると、思考力をつける勉強は、ある程度の長さと難しさを持った文章を読むことだとわかります。
 そのような勉強は、学年が上がってから出てきます。小学生よりも中学生、中学生よりも高校生の方が、考える力を必要とする勉強になります。だから、勉強の仕方も、学年が上がるほど力を入れるようにしていく必要があります。言い換えれば、低学年のうちはそれほど勉強には力を入れなくていいということなのです。
 ところが、日本の社会では、低学年のときに勉強をしすぎる傾向があり、中学生、高校生とだんだん勉強をする子としない子が分かれていき、大学生になるとほとんどの子は勉強しなくなるという逆転現象があります。理想の状態は、小学生のときはたっぷり遊び、高校生になってしっかり勉強し、大学生になって自分の好きな学問に目覚めるという形です。
 しかし、反射的な勉強では思考力がつかないように、遊んでいるだけでももちろん思考力はつきません。小学生のときの勉強は、基礎的な知識や技能をつけること以外は、やはり読書です。そして、基礎的な学力をつけるのにはそれほど多くの時間は必要としないので、もっぱら勉強の中心は読書になります。
 今の大人の世代で、小学生のころ、家で勉強をしたり塾に通ったりしていた人はむしろ少数派です。ほとんどの人は、学校から帰ってきたら、すぐにかばんを置いて遊びに行き、夕方の食事まで帰ってこないという生活を続けていたはずです。そして、夕方はテレビやゲームなどの娯楽がないので、本を読むかゴッコ遊びをするかして過ごしていたはずです。中学生のころも、似たり寄ったりで、放課後も塾に行って勉強をするというのは、よほどできない子か、よほど特別なところを受験する子だけでした。しかし、それで今の子供たちよりも学力が低かったかというと、全然そういうことはありません。
(つづく)

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