ゲストさん ログイン ログアウト 登録
 農業革命、産業革命、教育革命 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1027番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
農業革命、産業革命、教育革命 as/1027.html
森川林 2010/09/28 11:49 


 人類の生活は、最初、狩猟と採集から始まりました。

 やがて、狩りの場所が確保されるようになると、生活に一つのサイクルが生まれ、それは牧畜へと発展していきました。しかし、牧畜は広大な土地を必要とするため、集積した文化は発達しませんでした。

 一方、採集文化でも、採集の場所が確保されるようになり、循環する生活ができるようになると、採集文化はやがて、栽培、そして稲作文化へと発展していきました。稲作文化は、狭い場所で成り立つので、集積した文化が成立しました。

 稲作によって増加した生産力の中身は食料で、当時は食料による生存が人間の欲望の中心でした。

 これが農業革命で、日本では弥生時代にこの農業の生産革命が始まりました。そして、これが、日本が国家として統合してゆく出発点になりました。

 当時の動力は、水車、牛馬、人力、そして太陽エネルギーのようなものだけでしたから、生産力の増加には限界がありました。

 ところが、ヨーロッパで動力としての水蒸気が利用されるようになると、内燃機関の発達と呼応して機械工業が発達していきました。

 この機械工業によって大きく増加した生産力の中身は、衣料品などの消費財でした。つまり、この当時の人間の欲望は、食料を求めての生存の欲望から、便利で快適な生活を求めての生活の欲望に変わっていったのです。

 この消費財への欲望が、更に、耐久消費財の欲望や生産財への欲望へと発展していきます。このころから人間の欲望の中身は、単なる便利さや快適さだけではなく、他人よりも優位に立ち、他人を支配することに変化していきました。そして、この欲望が、企業、国家、金融、軍事へと組織化されていったのが現代までの歴史です。

 ところが、現在、エネルギーの分野でフリーエネルギー革命が起きようとしています。エネルギーがフリーで豊富に手に入るようになると、富によって他人を支配するという仕組みが無意味なものになってきます。

 すると、そのあとに登場する人間の欲望は、生存でも便利でも快適でも優位でも支配でもなく、自分自身の向上になっていくと思います。自己向上という財産に対する生産力が飛躍的に増加する、これが今後予想される教育革命の中身です。

 しかし、今はまだ、この教育革命と正反対の状況が見られます。例えば、細分化する個別指導、複雑化するメディア教材、そしてそれらを利用したテストの成績のための教育です。現代は、テストや学歴という外面的なものから、自己の向上という内面的なものへ人間の欲望が進化する一歩手前の時代なのです。


 一方、このような人類の生産革命と並行して進んできたのが、人類の精神革命です。

 直立歩行と道具の使用によって大脳を発達させた人類は、右脳の感覚を共有する時代から、左脳の言葉による伝達の時代へと進化していきました。言葉による伝達は、当初音声による伝達、つまり話す力聞く力が中心でしたが、やがて文字による伝達が生まれ、それが印刷の時代、学校と出版の時代へと進化していきました。そして、現代は、インターネットとブログの時代になり、文字による伝達、つまり読む力と書く力が求められる時代になっています。

 この精神革命における最後の到達点で人間が求めているものは、もっと知りたい、そして考えたい、更に考えたことをみんなに伝えたいという欲望で、この精神革命の到達点が、生産革命における自己向上の欲望へと結びつこうとしているのが現代です。

 現在は、教育における生産革命の萌芽状態にあり、新しい生産のためのツールが登場するのが待たれている時代なのだと思います。


 言葉の森の教材作りを考えるとき、当面の受験に合格するための教材にももちろん力を入れていきますが、それ以上に、自己を向上させる教材ということを念頭に置いていきたいと思っています。

 今回も、またかなり大きい話になってしまいましたが。(^^ゞ


 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

コメント欄

コメントフォーム
農業革命、産業革命、教育革命 森川林 20100928 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
みむめも (スパム投稿を防ぐために五十音表の「みむめも」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
【合格速報】栃 森川林
 おめでとう!  受験勉強中も、硬い説明文の本をばりばり読 3/13
受験作文と入試 森川林
将来の作文入試は、デジタル入力になり、AIで自動採点するよう 3/13
大学入試が終わ 森川林
大学生になっていちばん大事なことは学問に志すこと。 18歳 3/12
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
近所のローソン 森川林
毎日新聞を見たけど、記事はまだ載っていまでした。 4/25
毎日新聞に言葉 森川林
 しばらく前に、毎日新聞の人が取材に来ました。  そのとき 4/24
テスト送信 森川林
https://www.mori7.com/za2024d0 4/24
4月保護者懇談 森川林
シラン ●今後の「森からゆうびん」の学習デ 4/22
マスクにしても 森川林
マスクにしても、ワクチンにしても、消毒にしても、 自分たち 4/21
イエスも釈迦も 森川林
イエスも釈迦も、理想の社会を築きたいと思っていた。 しかし 4/21
日本復活の道筋 森川林
 工業製品を経済発展の原動力をした資本主義は終わりつつある。 4/17
メモ 森川林
https://www.mori7.com/za2024a0 4/16
単なる作業 森川林
勝海舟は、辞書を買うお金がなかったので、ある人から夜中だけ辞 4/8
勉強は、人に教 森川林
勉強は、人に教えてもらうのではなく、 自分で学べばよい。 4/7

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習