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 自習は、「自立する勉強」と発想を変える(その1)(生徒父母向け記事) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
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自習は、「自立する勉強」と発想を変える(その1)(生徒父母向け記事) as/1187.html
森川林 2011/03/05 12:02 



 国語力は、国語の問題集をいくら解いても身につきません。問題を解いたあと、先生の説明を聞いても、その説明を理解する力は、本人のもともと持っている国語力までです。

 では、国語力はどのようにしてつくかというと、それは塾や学校の国語の勉強の中ではなく、日本語の豊かな家庭生活の中でつくのです。これが、国語の勉強が他の勉強と違うところです。国語力は、いろいろな教科の学力の中のひとつの学力なのではなく、あらゆる勉強のもとになっている理解力、思考力のことなのです。

 国語の得意な子は、国語の問題集をしっかりやってきた子ではありません。家庭生活の中で、読書と対話の時間を多く取ってきた子です。だから、国語の勉強は、毎日の家庭での自習としてやっていくという方法がいちばんよいのです。

 そこで、言葉の森では、毎日の自習として、音読、暗唱、読書、問題集読書などをするようにすすめています。

 しかし、この自習というのが子供にとっては飽きるものなのです。問題を解くような形の勉強であれば、新しいプリントをやって、それまでのプリントのやったあとが残りますから、一見やりがいがあるように見えます。しかし、国語はそのようなプリントを解くような形の勉強では身につきません。国語力は、特別の教材がなくても毎日同じようにやれる自習を続けることによってつきます。

 言葉の森の自習の内容を、わかりやすく暗唱と読書に絞って説明します。(年齢的に無理のない自習は、小学校5年生までは暗唱と読書、小学校6年生以上は問題集読書と読書です。また、どうしても暗唱や問題集読書が続けにくいという場合は、最低限の自習として毎日10ページ以上の読書だけを続けるようにしてください)

 まず、自習に対する発想を変えていく必要があります。問題のプリントをやるような自習であれば、ノルマを決めておけば子供はある程度自動的に勉強をするようになります。しかし、暗唱や読書はそうではありません。暗唱や読書は形に残らない勉強ですから、最初の時期は親がそのつど「やりなさい」と言わなければできません。また、形に残らない勉強なので、子供はすぐに飽きてきます。そのために、暗唱などわずか10分でできることを続けられなくなる子が多いのです。

 しかし、小学校低中学年のうちに、この形に残らない勉強を続けるという習慣を育てていくと、それは、将来の勉強に最も必要な自立した持続力を育てることになります。

 子供の本当の学力は、中学生後半から高校生になり自覚して勉強するようになってから急速に向上します。自覚して勉強を始めると、それまでの親から言われてしぶしぶやってきた勉強の数年間分を数ヶ月で取り戻すようになります。

 しかし、この中学生後半からの自覚した勉強であっても、本人の意欲はあるのに勉強が空回りしてしまうということがよく出てきます。それは、決心を持続する習慣が育っていないからです。例えば、英語の教科書を暗唱するとよいらしいという勉強法を聞いて早速始めたとします。ところが、ほとんどの子は数日で飽きてしまうのです。これでは、意欲はあっても実力は伸びません。

 そのときに、小学校低中学年のうちに毎日同じことを同じようにするという勉強習慣をつけていた子は、一度決心したことを成果が出るまで長期間続けていくことができるのです。中学生後半から高校生のときに、自立しした勉強ができるようになっている子は、いったん目標が決まると自分のペースでどんどん実力をつけていきます。一方、自立した勉強の習慣のない子は、高校生になってもあいかわらず塾や予備校で先生から強制される場がないと勉強をすることができません。高校生以上になると、勉強は個人個人の個性の差が大きくなります。志望校の問題の傾向も違うし、生徒本人の得手不得手も違ってくるからです。そのときに、自分のペースで勉強できる子と、他人に強制される場がないと勉強できない子とでは、学習の能率に大きな差が出てきます。高校生になってから学力が伸びる子と伸びない子の差はここにあるのです。

 小学校低中学年の毎日の自習は、単にその勉強をするためだけの自習ではありません。毎日同じことを同じように続けるという自立心をつけるための自習です。だれでも、最初のうちは、親に言われなければ、毎日の暗唱や読書はできません。また、数日、風邪で休んだり、旅行に出かけたりすれば、それまで毎日続けてきた自習の習慣もすぐに消えて、また親から言われなければやらない状態に戻ってしまいます。しかし、そこで親がまた飽きずに自習をさせるということを繰り返します。このようにして、何度も親から言われて続ける期間が長くなればなるほど、子供の心の中に持続する勉強の力がついてくるのです。

 小学校低学年のうちに、毎日の暗唱を1年間続けた子であれば、高校生になったときに、自分が決心した勉強を1年間続けることができます。逆に、小学校低学年のうちに、毎日の自習に飽きて、プリントをこなすような勉強に戻ってしまった子は、高校生になっても、自分が決心した勉強を続けられずに塾や予備校に頼るようになります。

 夏休みは、集中して勉強に取り組むのに最もよい時期ですが、ほとんどの高校生が自分で勉強できずに、塾や予備校の夏期講習に通います。それは、自立して勉強を続ける習慣がついていない子がほとんどだからです。しかし、ごく少数ですが、塾や予備校に頼らずに自分で勉強していける子がいます。こういう子が、高校3年生のわずか1年間で飛躍的に伸び、その後大学生になっても、社会人になっても自分で実力を向上させていける子なのです。

 毎日の自習で親が言わないとやれないということをマイナスに考えるのではなく、親が言わないとやれないような単調な勉強(といっても、暗唱はわずか10分、読書も短ければわずか10分ですから、やろうと思えばすぐにできます)を続けることが、子供の自立心を育てることになるのだとプラスに考えて取り組んでいってください。

 自立心は、国語のプリントを解くような形では育ちません。プリントのように他人から与えられたノルマがないとできないということになってしまうからです。暗唱や読書は、1枚の長文、1冊の本があれば、いつでもどこでもできます。しかも、いくら毎日やっても形に残らない勉強なので、プリントのようにやった結果が目に見えるという満足感がありません。こういう勉強を続けることが、子供たちの自立心を育てることになります。


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