ログイン ログアウト 登録
 無の文化と教育4 言葉の森 | オンライン | 作文教室【公式】
 
言葉の森 | オンライン | 作文教室・サイト 言葉の森 | オンライン | 作文教室
記事 1344番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/10/23
無の文化と教育4 as/1344.html
森川林 2011/09/01 20:21 
修 削



 もし、私たちが今突然、学校も先生もいない中で、もちろんお金もなく、一日中働きながら子供の教育をしなければならなくなったらどうするでしょう。私だったら、自分の頭の中にある文章を、子どもにも同じように唱えさせる形で子供の教育を行っていきます。

 実は、これが古代からどの民族も行ってきた原初的な教育法なのです。古代の民族は、口から口へと伝承を伝える形で子供たちの言語教育、つまり人間として成長するための教育と、民族の文化教育を行ってきました。伝承するテキストは、ひとつはその民族の昔話で、もうひとつは宗教の教典でした。

 有の文化の教育が成立する前は、どこでも自然に無の文化の教育が行われていたのです。

 ところが、有の文化の発想は、反復するという方法よりも、何を反復するかという教材の方に目を向けます。しかも、その教材が宗教の教典になると、教典の内容を覚え理解することが教育の目標のようになってきます。

 そのようにして、世界の無の文化の教育の多くは、有の文化の教育によって駆逐されていきました。しかし、広大なインドや中国の一部と、海によって隔てられた島国の日本には、無の文化の教育がそのまま残っていったのです。



 それでは、無の文化の反復する教育には、どのような効果があるのでしょうか。それは、有の文化の理解し身につける教育よりも効果があるのでしょうか。

 寺子屋時代の教育風景を当時の絵で見ると、子供たちはふざけて遊んでばかりいたようです。教える先生は、自分の好きな本を読んでいるだけで、特に教えたり注意をしたりすることはありません。このような雑然とした教育環境で、素読と手習いという反復学習が行われていました。

 これに対して、当時の欧米の教育風景は、子供たちが真面目な顔をして並び、先生は手にムチを持っています。

 この光景の違いを見ると、欧米では日本よりも教育の仕方が徹底していたように見えます。しかし、実際は正反対で、日本の子供たちの方がはるかに優れた教育を受けていたのです。

 優れたというのは、ひとつは量的にということです。江戸時代の日本人の大多数は読み書きができました。しかし、当時のヨーロッパ人の大多数は逆に読み書きができませんでした。しかし、それとともに大事なことは、日本の教育にはムチが必要なく、どの子も笑顔で教育を受けていたということです。



 同じものを反復するという教育法が、さまざまなものを身につけるという教育法よりも優れているのは、比喩的に言えば、反復の教育が根を育てる教育であるのに対して、理解し身につける教育が花を咲かせる教育だからです。

 反復する教育は、反復して何かを身につけるというところに目標があるのではありません。反復することによって曇りを取るというところに目標があります。だから、反復する教材は、特に固定したものでなくてもよいのです。

 塙保己一は、青年のときに般若心経を千日間暗唱する誓いを立てました。しかし、暗唱する教材は般若心経でなくてもよかったのだと思います。

 空海は、青年期に虚空蔵求聞持法の真言を暗唱しました。しかし、これも実は、暗唱する言葉は何でもよかったのです。

 有の文化の見方で見ると、暗唱する教材そのものに何か意義があるように見えますが、実は暗唱するという方法にこそ意味があるのです。(つづく)



コメント欄

Sogame 2011年9月1日 23時13分  ▽
暗記することだったんですね。暗記するということは、潜在意識に入れるということでしょうか。習うより慣れろという結論でよろしいのでしょうか。

森川林 2011年9月2日 20時13分  ▽
 暗記というのは結果なので、暗記自体が目的ではなかったようです。
 目的は、反復することだったのだと思います。

コメントフォーム
無の文化と教育4 森川林 20110901 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
そたちつ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「そたちつ○」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード)
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
日本(39) 無の文化(9) 
コメント1~10件
作文、読書中心 森川林
 NUさん、ご連絡ありがとうございました。  10月から、 10/22
記事 5590番
作文、読書中心 NU
先生いつも有難うございます。 読解検定への要望をお伝えさせ 10/21
記事 5590番
作文と読解の勉 森川林
 中2でも全く遅くないです。うちのこ2人は、高校生のときもや 10/6
記事 5585番
作文と読解の勉 のみ
いつもお世話になっております。 音読について質問です。 10/5
記事 5585番
作文自動採点ソ 森川林
なっつさん、投稿ありがとう。 でも、ここでは森リンの採点は 8/8
記事 89番
森林プロジェク 森川林
かじかわさんへ、投稿ありがとう。 しかし、もとの記事と関係 8/8
記事 1496番
森林プロジェク かじかわ
改めて考えよう。所得の超過累進課税制による、資本主義と社会主 8/5
記事 1496番
作文自動採点ソ なっつ
母の過去から学んだ      令和の闇に負けない社会   8/3
記事 89番
作文検定で作文 森川林
評価サンプルはこちら。 6/25
記事 5538番
なぜ公立中高一 森川林
 志望校の過去問に特化した受験対策を進めるためには、まず「春 4/28
記事 5498番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
2026年10 森川林
https://youtu.be/AHjq1nN 10/22
森の広場
スピーチ検定の 森川林
 今朝、作業をしたせいで、アクセスできなくなっていました。m 10/15
森川林日記
図書リストの希 森川林
 図書リストの希望、または、問題の希望があれば送ってください 10/13
読書の森
スピーチのテー 森川林
 スピーチのテーマで希望するものがあれば送ってください。 10/13
スピーチの森
ニ代目キャラク 森川林
推薦図書検定のニ代目のキャラクターは、森ゾウの森ファンです。 10/9
読書の森
Re: 経験値 森川林
 ご質問ありがとうございます。  経験点は、自分の行動を表 9/19
森リン掲示板
経験値を高める あこやな
中根先生 いつもお世話になっております。 お陰様で娘 9/19
森リン掲示板
2026年10 森川林
 ウェブからPDFがプリントできるようになっています。 h 9/16
森林プロジェクト掲示版
Google 森川林
 昨日と今日、合計数時間、あっちをいじったりこっちを修正した 9/13
森川林日記
教育改革 森川林
自分の目的は、日本を守り発展させるために、 現在の詰め込み 9/7
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン