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現在の経済情勢と子供の教育4 as/1385.html
森川林 2011/12/28 20:38 



 私の周囲に、いろいろなセミナーに出かけ、そこで資格を取得したり技術を身につけたり、自分でも新たにそういうセミナーを主宰したりするようになっている人がいます。

 物が豊かに溢れる日本の社会では、もちろんまだ欲しい物はたくさんありますが、物よりも心を引きつけるものは、自分を向上させて自分でも何かを始めるという、物以外のものなのだと思います。

 豊かな消費者という目標はもはや過去のもので、消費者としての豊かさをいくら追求しても、大した喜びが得られないと思うようになってきたのです。

 消費の喜びより、もっとわくわくするものは、たとえ小さなものであっても、生産者として自分を豊かにする喜びです。消費者としての豊かさから、生産者又は供給者としての豊かさを求める時代に変わりつつあるのです。

 そして、このニーズがこれからの日本の経済を切り開くエネルギーになっていきます。日本が新しい経済をスタートさせるということは、世界の経済の先に進む方向が明らかになるということです。



 では、それはどのような形で進むのでしょうか。

 例えば、ある家庭の主婦が、ふと思い立ってスピリチュアル系のちょっと不思議な講座を受講したくなったとします。占いとヒーリングと運勢改善の講座です。その内容自体に賛成してくれる夫は少ないと思いますが(笑)、それ以上に、もしその費用が20万円もかかるとしたら、たとえその講座を受講することによって自分もその講座を主宰する資格が得られるとしても、常識ある社会人である夫は、まず頭から反対すると思います。客観的に見ても、その反対意見の方が説得力があります。

 ところが、世の中の半数は女性で、ある女性が関心を持っている何かは、他の多くの女性も関心を持っています。

 その女性が夫を説得し、20万円の講習を受けて、技術を身につけ、自宅でささやかにその仕事を始めたとします。

 ここで大事なことは、価値は、需要から生まれるということです。

 その女性のもとに、同じような関心を持つ女性たちが集まります。すると、当初の金額はわずかであるとしても、それは立派な仕事です。そして、需要が増えれば金額増えるという関係から考えれば、その女性の始めた仕事がこれからどれぐらい発展するかはだれにもわからないのです。



 社会には、いろいろな資格があります。それらの資格を支えているものは、もともとのニーズです。しかし、生のニーズでは不安定なので、資格を独立した形で存続させるものとして、制度や法律や組織ができます。

 会社に入るというのも、大きな意味ではその会社に入るための資格を手に入れるということです。そして、いったん資格が手に入ったら、風邪で休んで仕事ができないときでも、つまり、仕事をするという生のニーズに応えられなくても、報酬は保障されます。しかし、報酬のもとになっているものは、あくまでもニーズです。

 ところが、今の日本の社会では、戦後の歴史の経過の中で、既にニーズのなくなった制度があちこちに残っています。それが、旧体制です。その旧体制のもとになっているものの多くは、物不足の工業時代に生まれた大量消費の価値観に基づくニーズです。

 それらのニーズは、なくなったわけではありませんが、供給する側が圧倒的に増えたために、ニーズとして経済を牽引するパワーをもう持たなくなっているのです。



 昔の物不足の時代には、物を手に入れることはわくわくすることでした。今はそうではありません。

 今生まれている新しいニーズは、自分も生産者として創造に参加したいというニーズです。

 そのニーズを担っているのは、主に、現実の仕事に追いまくられていない女性です。男性の多くは仕事に追われ、自分の本当のニーズがどこにあるか考える時間もあまりありません。しかし、心の奥では、定年になったら自分の力でできる何かを始めたいと思っています。

 仕事に追われていない女性は、もっとストレートに、今、自分のしたいことは何かを創造することだと実感しているのです。

 その最初の出発点は、スピリチュアル系でも、ヒーリング系でも、あるいは、マインドマップでも、速読法でも、記憶術でもいいのです。自分の持っている力で、たとえ女性の起業家というほどではなくても、自分が生産者として社会に参加する機会を作りたいと思っているのです。(つづく)


 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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