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世界最高の識字率を生んだ江戸時代の勉強法を現代に生かす as/1002.html
森川林 2010/08/26 09:06 
修 削


 江戸時代の寺子屋の教育は、一斉指導でも個別指導でもありませんでした。それは、子供たちの自学自習をもとにして成立していました。

 勉強の方法は、先生が何かを教えるという面は少なく、子供たちがある手本を真似することによって自ら学ぶという形でした。

 真似をする学習というものは、その真似がすっかり自分のものになるまではあまり面白い勉強とは言えません。しかし、完璧に真似ができるようになると、その真似を表現することが楽しくなってきます。

 徹底した真似は、初歩的な個性発揮よりもはるかに程度の高いものです。

 欧米が個性と才能と天才の文化だったとすれば、日本の文化は、模倣と技能と熟練の文化だったと言ってもよいでしょう。



 この模倣という方法を学校での作文の勉強にも生かすことができます。

 日本の学校教育における作文指導は、二つの問題点を持っているように思います。

 ひとつは、小学校低学年で作文指導をしすぎるという問題です。読む力がまだ不十分で、作文の書き方(表記)の基礎を身につけていないのに、自由に作文を書かせて間違いを直すというようなところに力が入れられすぎています。小学校低学年のころは、よい文章を繰り返し読んで、読む力をつけることによって書く力の土台を作ることが大事で、書くことをそのものを追求するのは、多くの子供にとって先取りしすぎた指導になっています。

 問題点の第二は、小学校低学年での作文指導のしすぎとは反対に、小学校高学年から中学生高校生にかけての作文指導の不足です。この原因は、作文という生徒の個性を発揮する学習に対して、先生の評価や講評が追いつかないという理由によるものです。この場合も、生徒が模範となる文章を模倣して書き写すという練習を中心にしていけば、文章を書く機会は今よりももっと飛躍的に増やすことができます。

 この手本の模倣というのが、江戸時代の寺子屋教育の中心で、この方法によって日本では当時の世界最高の識字率と手紙普及率が育っていったのです。(つづく)

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受験作文小論文と、反対意見に対する理解 as/1001.html
森川林 2010/08/25 11:49 
修 削


 昨日、突然、高校3年生の子が慶応大学文学部の推薦小論文入試の書き方を教えてもらいたいというのでやってきました。

 そこで、持ってきた過去問の課題を見て、書き方を説明しました。その際に、「結びの意見には、『反対意見に対する理解』を入れていくのがコツだよ」という話をしました。その子は、「何でそんなものを入れるのか」と納得できないような顔をしていましたが、その後実際に書いたものを見てみると、反対意見に対する理解が文章の印象をよくするのにかなり役立っていました。

 受験の作文小論文のコツは、文章をよく見せるだけでなく、書いている自分自身をよく見せることです。ただ自分の考えを述べていればいいというのではなく、こんなに深く考えて述べているということもアピールする必要があるのです。

 もちろん、こういうコツは、ある程度書く力があることを前提としていますから、実力がまだ伴っていない生徒の場合は、実力をつけることをまず最初に優先しなければなりません。

 受験生をおおまかに分けると、まず実力のある子と実力のない子がいます。更に、実力のある子の中に、上手に書ける子と上手に書けない子がいるということになります。


 日本では、中学高校での作文小論文の指導はほとんどありませんが、そのわりには、かなりの子が一定の文章力を持っています。

 話は少し変わりますが、 フランスの調査会社が2010年2月にツイッターで使われている言語を調査した結果によると、英語が50パーセントで第1位で、日本語がそれについで14パーセントで第2位だったそうです。

 日本人がいかに文章を書くことが好きな民族であるかがわかると思います。この原因は、日本語が漢字かな混じり文という視覚的な言語であることが大きな理由になっているように思います。日本語は、喋るよりも書いてみたときの感覚が美しくて楽しいという気持ちを持ちやすいのです。

 この日本語を書く人口が多いということは、これからの日本の社会の可能性を大きく広げています。

 近代の社会では、マスコミが情報を作り出し、一般大衆はそれを受け入れるだけという構造で運営されてきました。ところが、インターネットの普及によって、日本の場合は一般の人が情報を作り出す力があるということが次第に明らかになってきました。

 これまでの工業社会は、今後次第に創造社会に移行すると思われます。このときに、国民ひとりひとりが自ら情報を作り出すことができる日本と日本語は、新しい時代を作るうえで世界の中で最も有利な位置にいると思います。


 さて、言葉の森では、受験作文小論文コースは入試の5ヶ月前からということにしているので、9月から受験作文コースに切り換える生徒が多くいます。

 作文の実力はこれまでの練習の中でつけているので、この受験コースは仕上げという位置づけの勉強になります。つまり、今ある実力の中でどれだけ上手に書くかということを中心にした指導です。このため、講師は生徒に対して、普通の練習では注意していないようなところまで注意します。

 これまでの作文の練習では、生徒の努力を評価していましたが、受験作文小論文の指導では、努力よりも結果を評価します。例えば、いい表現を入れようとして書いているだけでは不十分で、実際にいい表現になっていないとだめだということです。教える方は簡単ですが、書く子供の方は大変です。(^^ゞ

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