今回、インターネットのさまざまなサイトで、貴重な情報を得ることができました。その中の二つのサイトを紹介します。(既にご存知の方も多いと思いますが)
●副島隆彦の学問道場(広報ページの1202番に現場の記事が載っています)
●武田邦彦さんのページ(科学的な裏づけのあるデータが載っています)
また、地域で言葉を交わした何人かの方から、自分たちにできることは祈ることだから心を込めて祈っているという話を聞きました。世界中の心ある人たちが同じように、日本のために祈っていてくれたようです。この人間の想念の力も、現地で給水作業に従事していた人たちと同じように、大きな力を発揮したと思います。
今回の地震原発の事故を通して私があらためて知ったのは、日本には、みんなを守るために自分の生命を投げ出す覚悟を持った人たちが多数いたということでした。最初は少し驚きましたが、すぐに、やはりそうだったのだと納得しました。
これからも困難な状況は続くかもしれませんが、私たちひとりひとりがこの勇気と愛を持ち続けるかぎり、日本は決して滅びないと確信しました。
今回の事故で、最も頼りになったのは、在野で専門的な知識を持ち、国家的な志を持っている人たちの提供する情報でした。
これを、今後の日本の情報環境の再構築に大きく生かすことができます。
第一は、だれでも自由に投稿できる専門分野別の掲示板を設置することです。
第二は、その掲示板の管理者が議論を整理し、わかりやすく専門外の人に伝えることです。
第三は、その管理者は、参加者の民主的な投票によって選出されることです。
このようにすれば、在野の優れた知識を集め、天下り的な情報コントロールのない、自由で知性的な議論が提供できると思います。
個人的なことを言えば、3月11日からこの1週間は、私はかなり絶望的な気持ちでした。日を追うごとに、事故が質的にも量的にも悪化していたからです。
しかし、昨日、東日本を放棄して新しくやり直せばいいと思ってから気持ちが切り替わりました。ちなみに、東日本は、私の住んでいるこの横浜も入ります。
事故は、まだ何の収束の見通しもありません。これから更に大きな事故に発展する可能性もあります。
しかし、いずれにしても最悪の地点を出発点にして、これから新しい日本を作っていけばいいのです。日本人全体の勇気と知性と愛をもってすれば、不可能なことは何もないと思います。
さて、情勢は流動的なので、そのつど客観的に判断していく必要があります。
まず、福島県周辺の地域の住民は、もっと広範囲に避難する必要があります。放射能をふくんだちりが、公式な説明やテレビの報道以上に拡散している可能性があるからです。
関東地方の東京や神奈川などには、まだ大きな影響は出ていません。しかし、北風の日や雨の日には外出しないというのが原則です。
このあと、北東の風が吹けば、関東地方は放射能汚染地域になりますが、その可能性は低いと思われます。しかし、いずれにしても天候次第の綱渡り状態が続きます。
20日、21日の連休に、日本列島は前線におおわれ、東北地方も含めて全国的な雨になります。私は、この天候が原発の冷却と事故の収束に結びつくと期待しています。
いずれにしても事故が収束に向かったあとの今後の対策を考えておく必要があります。
第一は、被災地(の範囲がどこまでになるかは未定ですが)の人々を、全国民の協力で助けていくことです。この点については、日本人の国民性を考えるかぎり全く問題はないと思います。日本の復興のためには、今、日本が持っている使われていない膨大な資産を大規模に投入する必要があります。
第二は、放射能の無害化についての研究を進めることです。このためには、現在の科学ではまだ発見されていない新しい理論と方法が必要になります。放射能無害化の本質は、元素転換です。動植物の体内では、常に、ある元素からほかの元素への転換が行われています。そのために、植物は水と光と空気だけで、葉を茂らせ花を咲かせ実を実らせることができます。ゾウやキリンは、その植物を食べるだけで、あの巨体を成長させています。この原理を人間がコントロールできるようになれば、放射能物質を無害な元素に転換することはできると思います。
第三は、全く新しいエネルギー源の開発を進めることです。かつて日本が戦争に巻き込まれたのも、大きく見ればエネルギーが国内で自給できなかったためです。日本は、今後、石油、原子力にとってかわる安全で自給可能なエネルギー源を開発していく必要があります。そして、それは今の段階でも既に見通しがあります。新しい画期的なエネルギーの開発が進まなかったのは、石油や原子力への依存が大きすぎたためです。国民の総意が新エネルギーの開発に向かうならば、これはかなり早い時期に実現に向かうと思います。
第四は、政治の一元化です。今回の事故とその後の対応を見ても、関係者各人の必死の努力があったことは認めますが、統一的なリーダーシップがやはり不足していたように思えます。リーダーが大局的な立場から方針を出し、組織全体がその方針で動くというのではなく、リーダーが大衆と同じレベルで情勢へのその場の対応に追われているという感じがしたのです。また、国民(というかマスコミ)が、リーダーに、大局的で理性的な方針よりも、感覚的な真剣さととりあえずの行動を求めていたことにも大きな問題があると思います。マスコミの目のつけどころの低さが、日本人全体の知性の低下を生み出しているのです。日本の政治は、軍国主義の復活を予防するという名目で何重にもわたって手かせ足かせをはめられてきました。しかし、今、政治に求められているのは、統一した行動力です。そして、強力な政治と民主主義の両立は、少しの工夫をすれば十分に可能なことなのです
以上、この、災害からの復旧、放射能の無害化、新エネルギーの開発、政治の一元化を、国民の総意として進めていく必要があると思います。
原発の状況については、現在、本当のところは何もわかっていません。内部の様子がわからないまま、とりあえず、炉心溶融まで進まないように冷却を続けているだけです。
今回のような事故は、予測できるシミュレーションの範囲を超えているので、専門家といえども何をどうしたらいいのかわからないというのが正直なところです。
今、具体的に最も起こりやすい被害の拡大は、小規模な爆発が起きることと、風向きによって放射能を含んだちりが関東地方に落ちてくることです。
この場合、外出しないという対策がいちばんですが、このような状態が今後もあり得るということがわかれば、関東地方は今後、恒久的には人が生活できる地域ではなくなるでしょう。
今すぐ大挙して移転をすることまで考える必要はありませんが、計画的、段階的に、東日本の住民が西日本に移住するということを考えていく必要があります。
その際、現在のような政治体制では、統一的な意思決定はできません。利害関係が大きく錯綜する事態については、強力なリーダーシップをとれる政治が必要です。
幸い、日本には、全国民の統合の象徴としての天皇がいます。天皇が元首としての立場から、この国難を担う政治家を任命するというのが今考えられる最も即効性のある対策の出発点になると思います。