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教育における父親の役割は、厳しく明るく叱ること as/1026.html
森川林 2010/09/27 18:06 
修 削


 子供の成長にとって、父親と母親の役割は、それぞれ違う形で重要です。

 父親は主に躾を担当し、母親は主に愛情を担当します。もちろん、どちらにも両方の役割が必要ですが、敢えて役割を分担すればそのようになるということです。もちろん、逆の家庭もあるとは思いますが(笑)。

 教室で、時々次のような子がいます。先生に何かを言われても、すぐに返事をしない。「これをして」と先生が言っても、平気で「いやだ」「やらない」などと言う。一度で言うことを聞かずに、何度か言われて初めて言うことを聞く。

 いずれもかわいい子供たちですが、やっていることがにくたらしいのです(笑)。しかし、これらは、すべて子供たちの問題ではなく、家庭でこれまで子供たちがそういう態度をとっていても、親がそれをそのままにしてきたという問題なのです。

 しかし、子供ですから直すのも簡単です。教室で一度厳しく注意すると、次からはちゃんとできるようになります。

 子供と犬を比較するのは問題がありますが、吠えるなと言っても吠える犬、噛むなと言っても噛む犬、待てと言っても待たない犬、おいでと言っても来ない犬などは、もともとの犬の性質による面もありますが、大部分は人間の躾の仕方によるものです。

 躾の最も決定的な場面は、褒めて直すところではなく、叱って直すところにあります。確かに、いつでも優しく褒めるというのも難しいことですが、もっと難しいのは、肝心なときに、しっかり短く厳しく叱るということです。

 本当は、優しく褒めるだけでいい子に育てばいいのですが、人間の先祖はもともとサルですから(という理由は変かもしれませんが)、たまには叱らないと、やはりいい子にはならないのです。

 肝心なときに叱ることができれば、普段は、子供も親も楽しい関係を保つことができます。しかし、それが、多くの家庭では、逆になっています。つまり、肝心なところで叱っていないから、いつも小言を言うような接し方をして、子供も親も一緒にいるとくたびれるということになるのです。

 肝心なときに叱っていない最大の理由は、主に父親が叱りなれていないということにあると思います。そして、父親が叱りなれていない原因は、それまでに子供を叱る経験があまりなかったことによるものです。

 では、叱る経験を増やすためにはどうしたらいいのでしょうか。

 そのためには、まず小学校低学年のころから、家庭での絶対に守るルールを一つ決めておくことです。例えば、朝起きたらあいさつをする、玄関の靴をそろえて脱ぐ、席を立ったらイスをしまう、家の仕事を手伝うなどです。実行しやすいものをどれかひとつ決めておき、そのことに関してだけは絶対に妥協せず厳しく守るということにします。

 ただし、これは、両親がともに実行できるものでないと徹底しません。お母さんが子供に、「玄関の靴をそろえるのよ」と言っても、お父さんが平気で脱ぎ散らかしていては子供に徹底できません。子供は、何回か叱ればできるようになりますが、大人は何回注意しても直りません。それは互いに人生の価値観が違うのですから仕方ないとあきらめて、両親がともに無理なく実行できるルールを家庭でのルールとして決めておくことです。

 そして、家庭でこのようにルールを決めておき、子供がそれを実行できていないときに厳しく叱るようにします。そのときに厳しく叱る役割は、やはり父親の方が向いています。そのときに、母親は、「そんな強く叱らなくても」などとは言わないことです。これは、叱り叱られる練習をしていることだからです。そのかわり、母親はあとで優しくフォローしてあげればいいのです。間違っても、父親が子供を叱っているときに、母親も一緒になって子供を叱らないことです。

 このように、家庭の中で、やれば当然できるというルールを決め、できていないときは厳しく叱るということにして、それを年齢に応じて少しずつ変えていきます。

 よく中学生や高校生で、母親に乱暴な言葉づかいをする子がいると思います。例えば、母親が何か注意すると、「うるせえなあ。わかったよ」などと言う子です。いるでしょ(笑)。そういうときは、即座に間髪入れずに、「何だ。その言い方は! ちゃんと言い直せ」と叱らなければなりません。

 そういう叱り方ができないとしたら、それは、小学校のころから親が厳しく注意をしたことがあまりなかったからです。しかし、小学校のころに厳しく叱って育てていない子に、中学生になって厳しく叱るというのはまずできません。叱り方も、親が試行錯誤の中で少しずつ身につけていくものだからです。

 ところで、「厳しく叱る」というと、多くの人は「かわいそう」という感じを持つと思いますが、そういう叱り方ではありません。厳しく叱っている最中でも、親は心の中では全然怒っているわけではありません。だから、叱ったすぐあとに、さらりと冗談を言って笑わせるようなこともときどきするといいのです。

 そういう厳しいが明るい叱り方をするというのも、やはり試行錯誤の積み重ねの中でできるようになることだと思います。



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