記事 1139番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2021/1/25
読み書きによって発達する脳力と脳の可塑性
森川林 2011/01/24 16:03 


 人間の脳には、かなり高い可塑性があるようです。脳力は、生まれつきという面ももちろんありますが、その後の教育の仕方で大きく変わる面も持っています。

 生物の成長には臨界期というものもありますが、人間の場合は、その臨界期もある程度修正できるようです。

 「赤ちゃんに読みをどう教えるか」(グレン・ゴードン)という本の中で、いくつかの参考になる実例が挙げられています。

 一つは、脳の生まれつきの障害で、大脳の半球を切除した子供たちのその後の経過です。特別の教育をしたわけではないのに、成長してから平均以上の知力を示した子が何名もいました。また、中には、きわめて高度な知能指数を持つようになった子もいたそうです。

 もう一つは、教育によって、生まれつきの脳障害が著しく改善した例です。生まれながらの重度の脳障害で、2歳のとき、医者から、将来歩くことも話すこともできないだろうと診断された子が、3歳から両親の話しかけ、読み聞かせ、そして文字を読ませる教育によって、5歳になったころには、健常児よりもすぐれた理解力を示すようになり、6歳には普通の子同じように歩けるようになったということです。

 これらの例を見ると、脳は決して能力の貯蔵庫のようなものではなく、一種のアンテナのようなもので、脳の細胞の数に比例して脳の力が決まってくるというようなものではないようです。

 以上は、脳に障害のある子の例でしたが、器質的な障害がある場合にも、その後の教育によって脳の機能が大きく改善し障害を克服できるとしたら、健常児の場合も、教育によって更に大きな進歩があるはずです。
 世間でよく言われる頭のよい子というのも、決して生まれつきのものではなく、読み書きの教育によって成長する能力なのだと思います。

 また、脳の活性化は、子供の教育ばかりではなく、大人の教育や更には老人の介護にも役に立ちます。

 肉体の機能は、使わなければ退化していきます。走る練習をすれは、筋力や心肺機能が鍛えられるように、脳の力も、脳に適した方法で働かせることによって、より鍛えられていきます。

 脳の運動として、最も活発な運動を必要とするものは、やはり、進化的に脳の最も最後になって発達した言語の機能です。

 老人の脳の活性化のために、子供の教育と同じような方法が使えるとすれば、話しかけること、質問すること、読み聞かせをすることなどが脳の運動につながります。

 このような理由で、本を読む生活、文章を書く生活をしている人の脳力は、いつまでも若々しい状態を保っているのです。
 参加フォーム/言葉の森企画
国語力がつく読解検定1月
学校、塾、地域の団体受検もできます。 解き方のコツは、「読解・作文力の本」を参考にしてください。 言葉の森
 

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 

コメント欄

 2020年10月17日 9時38分  
こんにちは

コメントフォーム
読み書きによって発達する脳力と脳の可塑性 森川林 20110124 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
めもやゆ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「めもやゆ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

(za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
新着コメント1~3件
コメントは24時間以内に表示
【合格速報】開 A.K
受験勉強で大変困難な状況だと思います。2 1/18
新年の挨拶―― 森川林
 国語力をつける方法は簡単です。それは、 1/1
新年の挨拶―― 森川林
 約3か月ぶりの投稿です。長い休養期間の 1/1
……次のコメント

オープン教育 1~3件
オープンの川
鳥の村 1~3件
鳥の村
虹の谷 1~3件
虹の谷
過去の記事

過去の1~30件目を表示
■日本の文化における勇気、知性、愛、創造―知のパラダイム(その7) 1月24日
■12月の森リン大賞(中2・中3の部) 1月23日
■少し汚れを残しておく掃除、山頂をめざさない山登り―知のパラダイム(その6) 1月22日
■12月の森リン大賞(小6・中1の部) 1月22日
■笠地蔵の文化―知のパラダイム(その5) 1月21日
■小1から始める作文の勉強が学力を育てる 1月21日
■問題集読書で力のつく子つかない子 1月20日
■中学入試、高校入試の志望理由書の書き方 1月20日
■本物の国語の力をつける言葉の森の勉強 1月19日
■新たな知のパラダイム(その4) 1月19日
■国語力をつける作文 1月18日
■新たな知のパラダイム(その3) 1月17日
■本当の国語力は作文力 1月16日
■作文を通して伝える日本文化とは何か 1月15日
■パソコン入力のときの構成図の入れ方(生徒用記事) 1月14日
■作文で創造力、構成力、表現力をつける―頭をよくする作文の勉強(その5) 1月14日
■毎日の自習で力をつける―頭をよくする作文の勉強(その4) 1月13日
■笑いのある対話と勉強を 1月12日
■頭をよくする作文の勉強(その3) 1月11日
■頭をよくする作文の勉強(その2) 1月10日
■頭をよくする作文の勉強 1月8日
■新たな知のパラダイム(その2) 1月7日
■子どもの将来は「寝室」で決まる 1月6日
■新たな知のパラダイム 1月5日
■対話と表現を生かす作文―コミュニケーション・ラーニング(その9) 1月4日
■日本における表現の文化―コミュニケーション・ラーニング(その8) 1月2日
■明けましておめでとうございます。 1月1日
■絶対語感による理解力―コミュニケーション・ラーニング(その7) 12月31日
■添い寝と語り聞かせの文化―コミュニケーション・ラーニング(その6) 12月30日
■コミュニケーション・ラーニング(その5) 12月29日
……前の30件
RSS
RSSフィード

カテゴリー
全カテゴリー

QRコード


通学できる作文教室
森林プロジェクトの作文教室

リンク集
現在作成中です。
Zoomサインイン
ソースネクスト
FJNBP-1337-6644-8260-5410




 
小学生、中学生、高校生の作文(2007年4月まで)
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。