ログイン ログアウト 登録
 国語力をつける根本的な勉強法 8「対話によって読解力、表現力を育てる」 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 1777番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/12/16
国語力をつける根本的な勉強法 8「対話によって読解力、表現力を育てる」 as/1777.html
森川林 2013/03/28 03:51 


 文章の理解のレベルには、浅い読みと深い読みの違いがあります。それは例えば、次のようなことです。
 人間には、うれし泣きとか、照れ笑いとか、意地っぱりのように、表情や動作と本心が違う場面がときどきあります。浅い読みとは、表面的な表情や動作からの読み取りのようなものです。深い読みとは、その表情や動作の背後にある心情からの読み取りのようなものです。
 浅い読みが単純に間違いというのではないので、深い読みとどう違うかを理解させるのは簡単ではありません。そのときに必要なのが、似た例を知ることによって理解するという方法です。この似た例を話すのに最適な人が、その子供のいちばん身近にいる両親です。

 子供が問題集読書をして、その内容を両親に説明したあと、お父さんやお母さんが自分の体験を通して似た例を話してあげます。これが、子供にとっては、表現の練習にもなり、理解の練習にもなります。
 難しい内容を、そこに書かれている難しい言葉で説明しようとすると、自然にその言葉が自分の表現語彙の中に入ってきます。ただ読むだけでは使える言葉にはなりませんが、口頭で説明しようとすると、それが作文でも使える言葉になるのです。作文に使う表現語彙の増加は、このように口頭での説明を通して身につけていくのが最も自然です。

 両親に長文の内容を説明したあと、両親が自分の体験を通して似た例を話してくれると、子供の理解は一段と深まります。このときに大事なのは、両親が話すのは、できるだけ自分の体験に基づいた似た例だということです。
 子供は、両親の意見や一般的な説明だけを聞いても、読みを深めることができません。実際の体験に基づく似た例を聞いたときに、初めて理解が深まります。意見や説明を聞く場合でも、体験の裏づけをもとにした意見や説明を聞くということが大事なのです。

 入試の作文小論文の課題では、よく「あなた自身の具体的な体験をもとに」という条件がつけられることがあります。こういう条件がないと、生徒によっては、課題の長文の要約がほとんどの文章を書いて済ませてしまうことがあるからです。

 難しいテーマをもとにした、両親など身近な人との対話というのが、国語力をつける勉強の最後の仕上げです。更にその先に、作文力を向上させるという勉強もありますが、大事なのは、作文力をつける前までの準備です。

 これまで説明してきたのは、(1)教育漢字集、常用漢字集で漢字の読みの力をつける、(2)読書で速読力をつけ、問題集読書で難読力をつける、(3)問題集読書や音読長文もとにした家族との対話で読解力と表現力を深める、という流れでした。

 国語力をつけるというのは、ただ国語の問題集を解けばできるようになるというものではありません。また、ただ作文を書いていれば作文力がつくというのでもありません。
 問題集や作文は、国語力の結果です。問題の解き方のテクニックを教えても、そこで身につくのはその生徒のもともとの国語力の範囲までです。作文の添削や講評をいくらくわしくしても、そこで身につくのはやはりその生徒の中にある表現力の範囲までです。

 だから、国語力、作文力をつけるには、国語のテストや作文の結果に手を加えるだけではなく、それらの学力のもとになる漢字力、読解力、表現力を系統的に育てていく必要があるのです。(おわり)



コメント欄

コメントフォーム
国語力をつける根本的な勉強法 8「対話によって読解力、表現力を育てる」 森川林 20130328 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
むめもや (スパム投稿を防ぐために五十音表の「むめもや」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 漢字(17) 問題集読書(33) 対話(45) 
コメント1~10件
森リン大賞が示 森川林
作文力を上達させるコツは、褒めることでも直すことでもなく、書 12/13
記事 5398番
作文コンクール 森川林
 子供たちの教育で大事なのは、知識の詰め込みではなく、読書と 12/10
記事 5395番
読書と作文が子 森川林
 小学生時代は、勉強よりも読書。  中学生以上は、勉強と同 12/9
記事 5394番
子どもの文章力 森川林
今の受験は知識の詰め込みの勉強になっています。 考える問題 12/8
記事 5392番
作検研究。森リ 森川林
作文は、褒められても注意されても、そこに客観的な基準がなけれ 12/7
記事 5391番
「作文検定」「 森川林
 今は、AI社会の前夜。  昔は新聞やテレビが中心だった。 12/7
記事 5390番
AI時代に子ど 森川林
AI時代には、先生の役割は「教えること」ではなくなります。 12/6
記事 5389番
【合格速報】順 森川林
Rさん、合格おめでとう!! よくがんばりましたね。 受験 12/4
記事 5387番
森リン大賞9月 森川林
 従来の作文評価は、小学校低学年では「正しい表記ができている 11/9
記事 5382番
作文の学習で大 森川林
 「何でも自由に書いてごらん。いつでも褒めてあげるから」とい 11/7
記事 5381番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
3I/atla 森川林
日本にはかつて穏やかに何万年も続いた縄文文明があった。そのよ 12/12
森川林日記
Re: 11月 森川林
 これは、解き方の問題ではなく、読む力の問題です。  読解 12/5
国語読解掲示板
Re: ICレ 森川林
 ChatGPT、あまり文章うまくないなあ(笑)。  音声 12/5
森川林日記
ICレコーダと 森川林
AI時代に子どもが伸びる――全科学力クラスという新し 12/5
森川林日記
noteのペー 森川林
https://note.com/shine007 12/4
森川林日記
11月分 4  あういと
問題7と問題8が分かりません。 キーワードはわかるのですが 12/3
国語読解掲示板
Re: 森川林
 字がきれいだったのは、そのあとの日記の内容を見ると、弟が葛 11/30
国語読解掲示板
Re: 11月 森川林
 お返事遅れて失礼しました。  易しい国語問題は、「同じ言 11/30
国語読解掲示板
ともとも
小5の11月の読解検定のBの問題が誕生日だから字が綺麗だと思 11/28
国語読解掲示板
2025年11 森川林
△ムラサキシキブ ●作文検定スタート  学校 11/26
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン