作文に書かれている内容の価値を評価しようとすると、評価は主観的になります。
一つには、内容は出来事の偶然性に左右されるからです。もう一つは、価値は見る人の力量や主観によって左右されるからです。
そこで、言葉の森では、客観的な評価を中心にして指導しています。具体的には、項目指導で、字数や表現や実例や感想を指示して書くという形です。項目指導では作文を書く方向がわかるので、どんな子でもすぐに書き出せるという効果があります。また、本人の努力がそのまま評価されるというのも利点です。
しかし、項目がすべてできたからといって、自動的に価値ある作文が生まれるわけではありません。あらゆる人間的な活動がそうであるように、技術を超えた世界というものが必ずあります。その技術の先にある世界に到達する方法は、意識を向けることです。
よりよいものを書きたいという人間の意識が、内容の価値を作り出します。この意識を育てるものもやはり、よりよいものを評価しようとする人間の意識です。これが心の教育という言葉の意味です。
もちろん、技術の教育の裏づけがなければ、心の教育はひとりよがりのものになってしまうでしょう。しかし、技術の教育だけでは、よりレベルの高い教育には進みません。
これからの指導の重点は、よりよいもの、価値あるもの、面白いものを書こうとする意識を育てていくことです。それは、個性を評価する教育、発表する教育につながっていくと思います。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)