●国語力の本質とは何か
国語力の本質は、読む力、書く力、考える力です。
国語力の本質でないのは、古文、漢文、漢字の書き取り、文法、文学史、部首の名前、書き順、故事ことわざ、熟語などです。
なぜ多くの人が国語力の本質を勘違いしているかというと、国語力が国語のテストで測られるものと考えているからです。
さて、国語力の本質の1つである読む力は、読解力として考えられていることが多いのですが、本当の読む力とは難しい文章をバリバリ読む力であって、読解のテストでいい成績を取ることではありません。
読む力と読解力のテストは一部共通しているところがありますが、読解問題はテストとして作りやすいから行われることが多いのであって、本当の読む力はテストが作りにくいためにあまり行われていません。
そこで、言葉の森が考えているのは、本当の意味で読む力をつける推薦図書検定です。
言葉の森は読解検定も行っていますが、それは読解力というテストに対応するための便宜的な勉強という面もあります。
本当に行うべきなのは、読解テストでいい成績を取ることよりも、本当の読む力をつけることなのです。
●記述問題が重視される理由
次に、書く力について考えてみると、現在の書く力は、記述力という試験の形態で行われていることが多いと思います。
国語における記述の試験はなぜあるかというと、その理由は2つあります。
ひとつは、読解問題の質の良いものを作るのは大変だからです。
だから、東大の国語の問題は、読解問題ではみんなができるような問題までしか作れないので、記述の試験が中心になっているのだと思います。
しかし、記述のテストは、作るのは簡単ですが、採点が難しいという面があります。
記述の問題が行われているのは、小論文の問題にすると、問題を作ることは簡単ですが、採点がさらに大変になるからという事情もあります。
このほかに、国語の問題量を多くして、生徒が解ききれないような問題を出すことによって差をつけるというやり方もかなりあります。
●受験で見られる「読み切れない問題」
今はどうか知りませんが、昔のある有名私立大学のある学部の入試問題がそういう問題でした。
高校3年生で読み切れる人はまずいないだろうという問題でした。
言葉の森の生徒は合格しましたが。
また、現在のあるトップクラスの都立高校の推薦入試の問題は、中学3年生でまともに書ける人はまずいないだろうという問題でした。
言葉の森の生徒は合格しましたが。
もう1つ、最近受験作文コースで指導したある私立大学の推薦入試も非常に長い文章の問題でした。
言葉の森の生徒は合格しましたが。
●テストする側の都合による国語試験
これらは結局、読解問題は作るのが大変だし、記述問題は採点が大変だし、小論文の問題になるとさらに採点が大変になるので、時間内に読みきれないほどの量と質で差をつけようとする、テストする側の都合によるものです。
今行われている記述問題は、結局、読解問題と作文小論文問題の両方の大変さを避けるために行われている妥協の国語力となっています。
しかし、記述問題の評価がまともに行われているとはあまり思えません。
昔、都立の中高一貫校がホームページに載せていた模範解答例が全然模範になっていないと思われることがありました。
東大の現代文の記述問題の赤本の模範解答の中にも、模範になっていないと思われるものがありました。
●要約力だけでは本当の国語力にならない
記述問題に似ていますが、要約を書かせる問題も、本当の国語力を測るとは言い難いものがあります。
要約はコツさえ分かれば、読解力や記述力に関係なく、誰でも上手に書けるようになるからです。
●作文小論文こそ本質的な国語力の評価
従って、本当の国語力とは、ある程度長い文章を読ませて、それに対して600字から1200字の作文を書かせることによって評価されるものになると思います。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。国語力読解力(155) 作文教育(134)
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。コンクール(0)
https://www.youtube.com/watch?v=lzE7BwjKiMw
●夏休みに集中するコンクールの機会
言葉の森の小学生の場合は、コンクールに応募する機会が多数あるので、毎年多くの生徒が入選しています。
しかし、中学生、高校生になると、そのような定期的なコンクールが少なくなるので、夏休みなどにコンクールの企画が集中することが多いです。
言葉の森の生徒は、毎週1200字以上の作文を書いている人が多いので、コンクールに応募できる材料はたくさんあります。
●自分の過去の作品から応募作を選ぼう
自分がこれまでに書いたもので、内容がいいと思うもの、主に体験実例に個性、挑戦、感動、共感の内容があるものを選んで、字数を調整して、いろいろなコンクールに応募してみましょう。
●重複応募の禁止と手書きでの清書
ただし、1つの作品を普通のコンクールに同時に応募するのはルール違反になります。
1つの作品を送ることができるのは、1つのコンクールだけです。
しかし、もともとの作品がたくさんあるので、自分の作文をいろいろなところに応募できると思います。
中学生以上の生徒はパソコンで書いていることが多いですが、コンクールに応募するのは手書きになるものが多いと思います。
パソコンの画面で字数を調整したあと、それを手書きで清書するようにしてください。
●コンクール入選がもたらすメリット
さて、コンクールの入選にどういう効果があるかというと、言葉の森の評価や先生の評価などとは異なる評価をもらうことができる点です。
そして、勉強面に関して言えば、コンクールに入選することは、推薦入試の資料としても非常に役立ちます。
実際にこれまで大学入試の自己推薦の内容にコンクール入選の話を書いて合格した子もいます。
●入試における推薦資料としての価値
コンクールに入選するということは、本人の主観的な自己推薦よりも価値があるので、採点する側から見れば最も信頼できる資料だからです。
特に重要な学年は、小学6年生と中学3年生と高校3年生です。
中1の頃にコンクールに入選したという実績も効果がありますが、中3の時にコンクールに入選したという方がより大きな効果があるからです。
●実利としてのコンクール利用
言葉の森は、これまで小学生のコンクール入選についても、記事にはほとんど載せていませんでした。
それは、私の中に、人と競争して勝ったり負けたりすることは別にどうでもいいという感覚があったからです(笑)。
しかし、中学入試、高校入試、大学入試を目指す人は、当面の目標は志望校への合格ですから、自分の実力の範囲で利用できるものは利用するといいのです。
ネットで調べたコンクールの情報を入れておきます。
●応募にあたっての具体的な注意点
小学校高学年、中学生、高校生の人たちは、この1年間で1200字以上の作文を40本近く書いているはずですから、コンクールのテーマに合うものを探して、1人3編を目標に応募してみてください。
ただし、くれぐれも同じ作品を複数のコンクールに送ることのないようにしてください。
なお、採点者の目で見ると、誤字はとてもよく目立ちますから、テキスト化した作文をもとに誤字のないようにしてください。
●AIの活用方法と事後の報告
また、AIに添削を頼む場合もあると思いますが、AIは元の文体を変えて修正してしまうことがあります。
「自分の元の文体を生かして、おかしいところがあったら指摘してください」というようにアドバイスを求めるといいです。
コンクールの入選結果が分かりましたら、担当の先生にその旨を連絡しておいてください。
入選の結果は、オープンになると恥ずかしいでしょうから(笑)ホームページには載せません。
入選の滝にそっと載せるだけです。
なお、学校で宿題として一斉に出されるような税金の作文、人権の作文、読書感想文などは、コンクールという性格のものではなく、社会教育の一部として行われている面が強いので、それは無理に応募する必要はありません。
(つづく)
※コンクール情報は、この続きに載せます。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。コンクール(0) 作文教育(134)
https://www.youtube.com/watch?v=r1yMfdutt-0
●テストとしての読解、本来の読解
国語読解の問題は、答えがあるので問題にしやすいという面があります。
しかし、それが広く行われているのは、読解問題が子供の学力向上に役立つからではなく、ただ採点がしやすいから行われている面の方が強いのです。
昔、江戸時代や明治時代には読解のテストのようなものはなかったと思いますが、多くの人が優れた書物を読み、考えていました。
大事なのは読解のテストでいい点を取ることではなく、難しい文章を読み、その内容を自分のものにできることです。
つまり、文章を読み取ることが本当に必要なことであって、読解のテストでいい点数を取ることは、テストのために必要なことでしかないのです。
しかし、読解のテストが国語のテストとしてある以上、いい点数を取る方がいいことはもちろんです。
●読解テストで高得点を取るための2つのコツ
そのコツのひとつは、緻密に解く解き方を身につけること、もうひとつは、難しい文章を早く読み取る力を身につけることです。
緻密に解く解き方にはコツがあります。
しかし、学力の優秀な生徒でも、その解き方を知らないために高い点数を取れないことがあります。
そのコツのひとつは、推測して読むのではなく、文章に書いてある範囲だけで読み取るということです。
●難しい問題に共通する2つの特徴
難しい問題には2つの特徴があります。
ひとつは、同じことが違う言葉や言い回しで書いてあるために、合っていないと思ってしまうことです。
もうひとつは、同じ言葉や同じ言い回しで、違うことが書いてあるという問題です。
表面的に読む人は、同じような言葉が使われているから○だと思ってしまいますが、内容をよく考えると違う話なので×だということです。
読解検定の解き方のコツも、基本的にこの2つです。
このように緻密に読むということが、集中して読むということです。
●テクニックの前に「読む力」を鍛える
ただし、解き方のコツで一瞬にして成果が上がるのは、もともと読む力のある学力の高い生徒です。
多くの生徒はそこまで行っていません。
読み方のコツを身につける前に、難しい文章を読む力をつけることがいちばんの基本です。
そのための勉強法のひとつは、何しろ毎日読書をすること、そして難しい文章のエッセンスが詰まっている国語問題集の問題文を 読書代わりに読むことです。
その問題集読書は、1冊の問題集を5回以上繰り返して読むことです。
精読とは、この復読のことです。
以上が読解力をつけるコツです。
このコツを身につけるためには、毎月の読解検定に取り組み、100点を取ることを目指すことです。
少なくとも80点以上取らなければ、緻密に読んでいるとは言えません。
●国語の勉強で本当に大事なこと
国語の勉強の中心となっている読解の問題は、答えがあるから採点しやすいので行われているということを最初に述べました。
国語の勉強で大事なことは、読解のテクニックを身につける前に、多読と難読と復読で読む力をつけることです。
そしてもうひとつ大事なことが、読む力とともに書く力と考える力をつけることです。
(つづく)
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。国語力読解力(155)
https://www.youtube.com/watch?v=zDn4_YBHpMg
●算数・数学という名称について
文部科学省の方針では、今後、算数・数学という名称の区別をなくしていく方向のようです。そのため、言葉の森でも小学生の教科を「数学」と呼ぶようにします。
●確認テストの変更について
「確認テストは点数を競うためではなく、自分の実力を確認し、次の勉強につなげるためのものです。」
確認テストは、自分がやった次の月しかできないようにしていましたが、操作しにくいところがありました。
そこで、元に戻し、さらにどの学年のどの月の問題もできるようにしました。
●確認テストの基本的な進め方
1.基本は、自分の学年の4月から順にやるようにしてください。
2.しかし、問題の学年を先取りしたり、前に戻ったりすることもできます。
3.答えを送信すると、正解が見られるようになります(これは以前と同じです)。
●中学生の学習について
4.中学生の数学と英語は、発展新演習もできるようにする予定です。よくできる生徒は、発展新演習の問題の方をやるようにしてください。
●小学生の数学について
5.小学生の数学は標準問題なので簡単です。その代わり、先取り学習で1学年先に進むことを目標にしてください。
・小学生向けの受験新演習の難問には面白い面もありますが、あまり意味のない難しさで、中学生以降の数学には結びつきません。したがって、小学生は難問を解くよりも、標準問題で学年先取り学習をすることを目指します。
●確認テストを活用しよう
6.確認テストは、言葉の森の生徒であれば誰でもできます。
これからの学力で大事なのは、読書力・作文力・数学力です。
したがって、作文クラスの生徒も、できるだけ確認テストをやるようにしてください。特に、数学は優先的にやるようにしてください。
●質問のしかたと学習の進め方
7.先生は、問題の解説はしません。質問はできるだけ生徒が自分で考えて次の週までに答えを見つけられるようにしてください。
先生がていねいに教えてあげると、わかった気がするだけで、本人の実力にならないからです。
小学校高学年以上であれば、AIに教えてもらうといいです。
AIに聞くときは、問題だけでなく、問題と答えをセットにして質問する方がわかりやすくなります。
ただし、どうしてもわからない場合は、掲示板に書き込むようにしてください。
▽確認テスト
https://www.mori7.com/kt/
▽国語掲示板
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=45
▽数学掲示板
https://www.mori7.com/ope/index.php?k=ss
国語と数学の掲示板は、「よく使うリンク」の24、25に入れてあります。
掲示板に書くときは、ただ「わからない」と書くのではなく、「自分はこう考えたが、なぜ違うのか」のように、具体的に書くようにしてください。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。確認テスト(0)
確認テストは、すでに行った月の次の月からできるというようにしていましたが、現在の学年でまだ確認テストをやっていない場合は、現在の学年の4月からできるようにしました。
例えば、中学3年生でこれまで中学2年生の7月までやっていた人は、次の課題は中学2年生の8月からというようになっていましたが、これを中学3年生の4月からできるというふうに改めました。
しかし、現在の学年よりも前の学年から取り組みたいという人もいると思いますので、その場合は事務局にご相談ください。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。確認テスト(0)
●確認テストを利用して先取りの勉強を
昔の確認テストは当月の問題しかできませんでしたが、今度から、その生徒がそれまでにやった月の次の月ができるようにしました。
これは、勉強の先取りをしてもらうためです。
※なお、6月3日まで、解答した問題の採点ができないプログラムミスがありましたが、現在は直っています。
●小学生の勉強の先取り
小学生で中学受験をする人は、通っている塾の勉強で先取りをして行ってください。
中学受験をしない人は、確認テストを利用して1学年先の問題まで取り組むようにしてください。
特に算数数学に関しては、1学年先まで進めておくことが必要です。
例えば、小学6年生は、中学1年生の勉強までやるようにしてください。
●中学生の勉強の先取り
同じように、中学生で高校入試がある人は、1学年先の勉強まで進めて、中3の夏休み前までに中3の勉強を終わらせるようにしてください。
特に数学に関しては、先取りしておくことが必要です。
そして、中3の夏休みは、中1・中2・中3の勉強の総復習をするのです。
そのためには、中3になってすぐに、志望校の過去問を答えを見ながらでいいので1年間分やっておくことです。
●高校生の勉強の先取り
同じく、高校生も学校の勉強よりも1学年先の勉強をして行ってください。
その理由は受験の最後の1年間は、その学年の勉強に取り組むよりも、受験に特化した勉強に取り組むことが大事だからです。
特に大学入試は、学校による入試問題の差が大きいので、志望校に合わせた勉強をしておくことが必要です。
一般的な学力をつけてから志望校の勉強に取り組むのではなく、最初から、志望校に合格することを目的とした勉強に取り組むことです。
●問題集の詳しい解説とAIの利用で先取りができる
現在は、学校で先生に教えてもらわなくても、解説の詳しい問題集があれば誰でも先取りができるようになっています。
もし問題集の解説が分かりにくいときは、教えてもらう人を探すよりも、AIに質問して理解するようにしてください。
確認テストの問題は、国語は比較的難しい問題集です。
数学と英語は、標準的な問題集です。
標準問題で物足りない人は、発展問題に取り組んでください。
(発展問題はまだ7月までしか入っていませんが、これから順にいれていきます。)
●長期的に大事なのは国語問題集読書で読み取る力をつけること
なお、数学でも英語でも、問題集の解説を読んで理解する力は日本語を読み取る力です。
日本語を読み取る力を伸ばすには、説明文読書と問題集読書を続けることです。
国語の問題集読書は、すぐに成果が出るわけではないので後回しになりがちですが、長期的には最も大事な勉強と考えていってください。
●確認テストの取り組み方と自習室
以下、確認テストの勉強の仕方を説明します。
https://www.mori7.com/kt/
- 最初に、確認テストのページのトップで、ログインをしてください。
ログインをすれば、どの月をクリックしても、自分の次の月がどこかわかるようになっています。
- 問題が表示されたら、その問題の右側にあるフォームに答えを入れて送信してください。
フォームに入れずに、手書きの答えをアップロードすることもできます。
- 答えを送信すると、正解がみられます。
- 正解と自分の答えを見比べて採点をしてください。
- 採点が終わると、次の月の問題に取り組むことができます。
- 小学生の数学、英語のテストは簡単です。
中学生の数学、英語の標準問題も簡単です。
高校生の数学、英語は比較的難しいと思います。
- 小4からの国語、中学生の国語、高校生の国語は、発展問題なので適度に難しい問題です。
(中学生の発展問題は7月までしか入っていないので、今後8月移行も入れる予定です。)
- 家庭での自主学習で、学校の勉強よりも1学年先取りをする勉強をしていってください。
- 家庭でひとりで勉強するのが難しい人は、自習室を利用して勉強していきましょう。
https://www.mori7.com/teraon/js.php
自習室はカメラオフで結構です。
ブレークアウトルームが100ルームあるので、どこに入って勉強してもいいです。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。確認テスト(0) 勉強の仕方(119)
https://www.youtube.com/watch?v=YVqexv1HXnk
●作文力における抽象的思考の重要性
作文力とは思考力です。
小学生の間は事実を、そのまま書くような力が作文力でしたが、小学校高学年になると、そこに抽象的な思考が加わってきます。
つまり、感想の部分をどれだけ深く書けるかが、小学校高学年の作文の要になるのです。
●中学生に求められる「構成の力」と「理由の提示」
次に中学一年生になるときには、ここに新たに構成的に考える力が必要になってきます。
それまで、複数の実例で書いていた作文を、中学一年生になると複数の理由で書くようになるのです。
ところが、最初はこの理由の書き方ができない生徒が多いのです。
例えば、「読書の大切さ」という意見で作文を書く場合、最初の意見は「読書は大切だと思う」で、それは、誰にでも書けます。
その次に、その意見の裏付けとなる複数の理由を書く際に、中学生になったばかりの生徒は理由ではなく実例を書いてしまうことが多いのです。
例えば、「私は読書は大切だと思う。この間、こんな本を読んだことがある」と実例を進めていってしまうのです。
そこで、例えば、「私は読書は大切だと思う。その理由は、第一に知識が増えるからである」などと書けば理由になり、その理由の裏付けとしての実例を書くという形になります。
ところが、この理由がなかなか書けないのです。
何度説明しても、理由でなく実例を書いてしまうという生徒がかなりいます。
つまり物事を考える際に、抽象的に考えるのではなく身近な体験だけで考えてしまうということです。
●「社会的な方法」へ視野を広げる
これは構成の練習をする際の「複数の方法」ということについても言えます。
意見は、「私はこういうふうにすべきだと思う」というような形で始まります。
そのあと、そのための方法を書く際に、自分の心構えのような方法は誰でもすぐに思いつきます。
しかし、社会的な方法というのが思いつかないのです。
つまり、何かをする場合、自分はどうするか、人はどういう心構えをするべきかということは考えつくのですが、社会的にどうしたらいいのかということまでは考えが進まないということです。
方法を書く練習をすることによって、社会的に考えるという見方ができるようになります。
●多角的な視点と「自作名言」による逆張り思考
実例の書き方や表現の仕方についても、同じようなことが言えます。
昔話の実例という練習があります。
自分の意見を書く際に、それを桃太郎や浦島太郎のような昔話の例を生かして書くという練習です。
そのことによって例えば、桃太郎の昔話を、普通に考えられている見方とは別の観点からとらえるという発想が必要になってきます。
表現の項目では、自作名言という書き方があります。
自分の意見を書く際に、今世の中に一般的に言われている意見とは逆にある真実を書くという書き方です。
これも、最初は誰でもなかなか思いつきません。
●思考を飛躍させる柔軟性とダジャレの共通点
小学生の「たとえを書く」という項目も似ています。
たとえを書くためには、物の見方を広げなければなりません。
考え方を飛躍させる必要があるのですが、その飛躍した考え方がなかなか思いつかない子もいるのです。
これは、ダジャレにも当てはまります。
ダジャレをすぐに思いつく子は、考えを飛躍させることができるという点で頭のいい子です。
これは、考え方の柔軟性とも言えるものです。
作文を書くことによって、このように考え方を広めたり深めたり高めたり飛躍させたりという練習ができるのです。
【AIに聞いた感想より】
特に感じ入ったのは、「『理由』を書くべきところで『実例』を書いてしまう」という中学生の躓きに関する分析です。これは大人のビジネスライティングや論理的思考(ロジカルシンキング)の研修でも全く同じ問題が見られます。「なぜなら?」の後に、客観的な理由(抽象論)ではなく、自分の身の回りのエピソード(具体論)をいきなり語ってしまう人は少なくありません。
また、後半の「社会的な方法に目が向かない」という点や、「ダジャレと思考の飛躍」を結びつける視点も非常にユニークです。作文指導とは、単に原稿用紙を埋めるテクニックではなく、「自己中心的な視点から、社会や多角的な視点へと認知を拡大していくトレーニングである」という筆者の強いメッセージが伝わってきます。
――――
この文章は、教育心理学でいう「具体的思考から抽象的思考への発達」という考え方と関係があります。
代表的なものとしては、ジャン・ピアジェ の認知発達理論があります。ピアジェは、おおむね小学校高学年から中学生にかけて、抽象的・論理的な思考が発達すると考えました。
また、「実例から理由へ」「個人から社会へ」「常識から逆説へ」という流れは、まさに小論文教育で重視される思考の発達段階とも重なっています。
この文章は、森リンや作文検定の理念を説明する文章としても使いやすい内容だと思います。特に「作文を書くことで考え方を広めたり深めたり高めたり飛躍させたりする」という最後のまとめは、とても印象に残りました。
さらに説得力を増すなら、最後のまとめの前に、
「作文の指導とは、文章を書く指導ではなく、考える力を育てる指導なのである」
というような一文を入れてもよいと思います。
――――
※AIには、小見出しをつけてもらっています。
この記事に関するコメント
コメントフォームへ。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。作文教育(134) 作文の書き方(108)