ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 454番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/6
未来の社会と教育(その8) as/454.html
森川林 2009/04/15 04:36 
 現在の無知と貧困に基づく支配と被支配の関係は、将来大きく変わる可能性があります。
 その理由はひとつには、資源やエネルギーの画期的な技術革新によって、貧困が根本的に克服されるような社会が来る可能性があるからです。今はまだ夢物語のように思われかもしれませんが、人間の科学は将来必ず物質やエネルギーを人間の力で生み出すようなレベルにまで到達すると思います。自然界に存在する資源やエネルギーをただ利用するだけでなく、科学の力で資源やエネルギーを創造することができれば、貧困は根本的に解決します。
 また、もう一つの理由は、無知もまた将来根本的に克服される可能性があるからです。現在すでにインターネットによって、あらゆる知識が自由に手に入る社会が生まれつつあります。
 人間どうしのコミュニケーションは、現在では音声や文字つまり耳や目に頼らなければ成り立ちません。しかし、将来の科学の発達によって、思ったことがそのまま相手に伝わるというような仕組みが考えられるようになると思います。思っただけで相手とコミュニケーションが取れるような技術が開発されれば、知識による差はほとんどなくなります。
 この無知と貧困の克服は、科学の方向からだけではなく、人類の進化という方向から考えることもできるでしょう。しかし、そのような話になると空想の域を出ないので、やはり科学の力で根本的に無知と貧困が解決されやがて支配と被支配の関係がなくなる社会が来ると考えるのが現実的な展望になると思います。
 科学の進歩は現在ますます加速しているので、ここに述べたようなことが決して遠い先の話ではなくかなり早い時期に実現するのではないかと私は考えています。
 そう考えるとますます、勉強の目的は、未来の自由な社会に対応した自己の向上ということになってくるのではないかと思うのです。
(おわり)


この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

記事 453番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/11/6
未来の社会と教育(その7) as/453.html
森川林 2009/04/14 08:26 
 現代の社会では、成績のための勉強を避けることはできません。むしろ、成績を上げるための勉強に果敢に取り組んでいくというのが人間として正しい姿勢だと思います。しかし、未来の社会を考えると、それ以上に自己の向上のための勉強ということを考えていく必要があります。
 これは、仕事についても同じようなことが言えます。現代の社会の中では、利益を上げるための仕事というのが仕事の第一の目的です。しかし、未来の社会を考えると、社会に貢献するための仕事ということもそれ以上に考えていかなければなりません。
 そこで、現在の社会がどのようにして生まれたか、そして、未来の社会がどのように生まれるかということを大まかに述べたいと思います。
 これまでの社会を特徴づけるものは、限られた知識と限られた豊富さ、つまり無知と貧困に取り囲まれた世界でした。その無知と貧困を前提にした哲学によって、人間の社会が成り立っていたのです。
 限られた知識と限られた豊かさの中で社会を発展させていくための原動力は、支配と被支配の関係です。近代ヨーロッパの哲学の多くは、この支配と被支配の関係を理論化する役割を果たしました。
 例えば、マルサスの人口論は、限られた富は分かち合うことができないという観念をもたらしました。ダーウィンの進化論は、知識の有無は埋めることのできない生得的なものだという観念をもたらしました。アダムスミスの自由貿易主義は、エゴイズムが世界の利益につながるという観念をもたらしました。
 ところが、日本の社会は、哲学という明確な形こそ持ちませんでしたが、文化という形で自然にこの無知と貧困を克服する道を見つけていました。
 例えば日本人は、限られた富を奪い合うという考え方をしません。限られた富を前提にしてそれをどのように配分するかという考え方をするよりも、限られていること自体を豊かさに変えるという発想をします。つまり、貧しいから差別があるのは当然だと思うのではなく、貧しさを克服する豊かな社会を作ることが社会の目的だという考え方をしやすいのです。
 また知識に関しても、人間には生まれつき生得的な能力の差があるというような考え方をするよりも、誰でも学べば同じような知識に到達することができるという考え方をしがちです。
 さらに、自己の利益が社会の利益につながると考えるよりも、思いやりを持った助け合いの気持ちが、自分自身に返ってくるという発想をしがちです。
 このように、欧米の無知と貧困を前提にした支配と被支配の哲学を克服する文化を日本の社会は持っています。この文化をさらに哲学的なレベルにまで高めていけば、日本の文化が世界の文化を変えることに大きく貢献していくと思います。

 次回は、未来の話です。
(つづく)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント111~120件
……前のコメント
合格しなくたっ 英語辞書
2024年度受験生です。私は偏差値59で都立国際高校を目指し 12/10
記事 4000番
読書力はすべて 森川林
「なぜ文系も理系も「東大現役合格」は現代文が得意なのか」とい 12/10
記事 4880番
受験勉強などは 森川林
 子供たちに、あとまで残る勉強は、読書と作文と対話です。 12/9
記事 4879番
創造発表クラス 森川林
中学生以上の子供たちは、ChatGPTを活用して探究学習を進 12/7
記事 4875番
小4~小6の 森川林
オンライン授業と対面式授業を比較する人がいますが、その発想は 12/4
記事 4871番
音読の宿題は、 森川林
ブンブンどりむの監修者である齋藤孝さんは、よく知りもしないで 12/3
記事 4870番
サービスの多い 森川林
「東京、カッペね」の広告。 https://www.mor 12/2
記事 4869番
小学456年生 森川林
 言葉の森は、これまでは作文指導がメインでした。  その後 12/1
記事 4868番
齋藤孝さんの「 森川林
国語読解力をつけるためには、読む力と解く力を分けて考えること 11/30
記事 4867番
齋藤孝さんの( 森川林
 ママさん、ありがとうございます。  齋藤孝さんというかブ 11/30
記事 4864番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
画像送信テスト 森川林
回回回 11/2
森川林日記
Thunder 森川林
https://www.thunderbird.net/ja 10/29
森川林日記
この忙しいとき 森川林
この忙しいときに、というかいつも忙しいけど、今は特にというと 10/28
森川林日記
もう二度とGm 森川林
 Gmailが突然、大量のPOP3は受信できないようにした。 10/28
森川林日記
2025年10 森川林
△ミズヒキグサ ●紙ベースの勉強が基本。デジタルの 10/22
森の掲示板
3I/Atla 森川林
それは、いい結果になるだろう。 10/2
森川林日記
SDGsとかL 森川林
SDGsとかLGBTQとかいう新しい言葉を使う人は、考えの浅 9/27
森川林日記
千葉県立千葉中 森川林
受験生に点数の差をつけるためだけのテスト。 横浜市立南 9/25
森川林日記
2025年9月 森川林
●家庭学習の習慣を  小学生のうちから家庭学習 9/22
森の掲示板
OCRのオシロ 森川林
今からOCRのオシロンの作り直し。 これまでgoogl 9/20
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習