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 9月4週の森リン大賞(中2-高校生の部) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
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9月4週の森リン大賞(中2-高校生の部) as/1370.html
森川林 2011/10/20 19:19 



 9月4週の清書で、学年別の森リン大賞になった作品のうち、代表的なものをいくつか紹介します。

 森リンは、言葉の森が開発した自動採点ソフトです。森リンの点数は、学年が上がるごとに少しずつ上がっていきます。それは、考える力がつくと、作文に使う語彙のレベルも自然に変化してくるからです。

 今回は、中2と高校生の作品を表示していますが、高校生の生徒の作文の方が平均して1-2ポイント高くなっています。1位の作文について言えば、中1の生徒が86点、高校生の生徒が91点です。わずかの点数の差のように見えますが、この差が実は大きいのです。

 どちらの作文も、その学年の生徒としてはよく書けています(80点台後半の点数は、かなりよく書けている作文という目安になります)。また、内容もやわらかい話なので、同じように読みやすいと思います。しかし、文章から受ける印象が少し違います。その微妙な違いが森リンの点数の差として出てきています。

 中学生以上の生徒は、この森リンの点数を上げることを目標に作文の勉強をしていくといいと思います。

 なお、小論文の自動採点ソフトは、既にアメリカでは高校の卒業試験に使われるなど実用化しています。ただし、ソフトによる採点ですから、個々の作品の評価は、必ずしも人間の評価とぴったり一致するものではありません。しかし、全体を通してみると、人間の評価と大きくははずれていないということで利用しているようです。

 このアメリカの自動採点ソフトの開発費用は、100万ドルだったそうです。言葉の森の森リンの開発費用は、プログラムのプリント代の数千円です(笑)。しかし、アメリカの自動採点ソフトと森リンとでは、文章の評価に関するアルゴリズムが違います。

 アメリカの自動採点ソフトは、下手でない文章(例えば新聞の社説など)を大量に集計してその平均値を上手な文章と見なすという考え方で作られています。森リンは、上手な文章とは何かということをこれまでの上手な作文のストックから定義して、その定義をもとに評価しています。




9月の森リン大賞(中2の部70人中)

経験で判断
ピルル

自分で判断し決断し行動することは、簡単なようにみえて、じつはとてもむずかしい。大勢の意見に依存することは、自分自身で判断するより、はるかに気楽である。しかし、われわれが社会生活を送っていく以上、自分で考え、自分自身で判断しなければならないことは当然のことである。それなくして、一般的な社会生活を送ることすら困難と言っても過言ではない。

 自分で物事の判断をしたり、自分の力で行動することは大切だ。自分一人で行動ができなければ、他人が力をかしてくれる状況にないとき、その状態をのりきることができない。私が小学校の6年生くらいのとき、国語の授業でグループをつくり、リーダーを決めて、それぞれのテーマで調べ学習をさせて、発表、ディベートをするといったことをよく行った。グループのリーダーは立候補式だった。私の通っていた小学校は、児童の数が少なく、私の学年の1クラスだけだった。1クラスで6年間一緒にいるわけだから、どの子がしっかりしていて、皆をまとめるのが上手であるかということも決まってくる。そんな中で立候補式でリーダーを決めるから、リーダーになる人も立候補する前から大体きまってしまっていた。つまり、集団の中で、物事を順序良く運ぶことのできる、自分で考える人にその他の人は見事に依存してしいた。私もそんな中でリーダーというものを何度もやらされていた。グループの中には、
「♯※ちゃん、Å$について調べるから、秋の天気について調べてね。」
と私が指示を出しても
「どうやって調べればいいの?秋の天気って何を調べればいいの?」
と、しごく初歩的なことを聞いてきたり、いちいちすごく細かいところまで指示を求めてきたりすることが多くあった。まとめの文章をそれぞれの人に書いてもらうときも、何をどう書けばいいのかも分からず、結局は時間がなくなって、私の言うことをそのまま書いたりすることもあった。ひどい場合には、ふざけてばかりいて、自分の仕事を他人にすべて任せているような子もいた。このように、自分で決めたり、考えたりすることができない人は、依存できない状況になったとき、何もできなくなってしまう。そして、自分をとりまく状況が悪くなってしまうのだ。

 反対に、年齢や状況によってはやるべきことを与えられるほうがよい場合もある。私の通っていた幼稚園では、朝は運動をして、次は歌を歌い、そして計算や迷路のプリントをやって・・・というふうに、やるべきことが与えられていた。私の両親が地元の幼稚園ではなくその幼稚園を選んだ理由は、地元の幼稚園ではやるべきことが園児に与えられていなかったからだ。だから、地元の幼稚園の園児は手持ちぶさたで、ぼんやりとしていたらしい。幼稚園に通うような、小さな子供は、経験や知識をたくさん吸収することができる。また、小さい子供は経験が積まれていないため、家と環境の違う幼稚園で何をしたらいいのか分からないという子もいるだろう。そんな時期には、質の良い経験、例えばいろいろな折り紙の折り方や、歌、植物や動物の名前、工作の仕方や行事をさせてあげたり、教えたりすることが大事だ。それにより、小学生くらいになって、主体的に行動しなければならない時になって、
「あのときこうやったから、そのやり方でこうしてみよう!」
というふうに、積まれた経験をもとに行動することができる。またいろいろなことを教えることで、興味を持ったことは自分から教えてもらおうとしたり、調べたりするようになる。時期や状況によっては、やるべきことを与えられたり、教えられることも必要なのだ。しかしそれをあまり長く続けてもいけない。

 自分で考え行動することと、他人から指示を受け行動すること、どちらも大切だ。しかし、もっと大切なのは、「始めることは大切だが、やり遂げることの方が、もっと大切である。」とあるように、目的や必要な事をなしとげるための力を養い、努力を続けることだ。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1経験で判断ピルル86162357657492
2絶対・相対ことのは85127158949687
3開国をせまられた幕府きんぐ84122256909786
4新しい文化なるか84105456778590
5いろんな文化魔王ハデス84105761868184
6自分で判断し行動するBOY84109064656792
7自分自身の決断あまぐり84120057636393
8自立と他人の尊重織田信之助8399663757193
9ニセモノの自分では意味がないきぬこ82110753768783
10絶対と相対fuga8295656717890



9月の森リン大賞(高1高2高3社の部132人中)

家畜化と創造性
えてよ

 家畜は人に飼育されている。人は人が作った社会制度に飼われている。家畜は人から食物を供給されている。牧場などで飼われているので生活空間や場も与えられている。人間も似ているところがある。いつも同じ時間に起きて会社と自宅を往復して一日を終える。社会制度の枠組みにがっちりとはめ込まれている。そのように枠組みにはめ込まれ方がひどくなってきていて、自己家畜化が進んでいる。本物の家畜は一見放牧されていれば自由に見える。しかし見る目を少し引いて見るとそれは人工的な牧場という枠の中だけの自由で本当の自由ではない。人間は自由のように見えるが以外と忙しいく自由なことは本当に少ない。人は家畜化するのではなく、もっと自由にいきるべきだ。

 自由に生きたい。しかしこの社会では難しい。一人だけで動くことは統率を破り、他の人に迷惑を与えかねない事態にもなりうる。学校は代表例と言える場所である。朝決まった時間に学校に行き、時間になればお昼ご飯を食べ、家に帰る。一日の動きが皆一様に同じで部活や塾なんかはその決まったスケジュールのオプションでしかない。要するにみんなが同じことをしていて他の事は無視できるほどの差異しかないということだ。放課後を部活で運動をするか、絵を描いているか、塾で勉強をするかでは大差ない。さらに基本的に挙げたこれらはさらに家畜化をしている時間が単純に増えているだけである。しかしこんな生活はもういやだと言って投げ出し、自由を叫びながら生活をしてもそれは成り立たない社会であるが自由な生き方を忘れないように生きていくことは大切な考えだ。

 国民総番号制度という考え方がある。これは国民一人一人に個体番号を与えて国など行政が行うサービスを確実にするための考え方だ。この発想の良いところは行政サービス全般を国民ならば誰でも漏れなくしっかり受けられるところである。外国に行って何かあってもすぐに身元も判明しやすい。しかし、個体別にそれぞれの番号を付けるのはすでに家畜ではすでに行われている事である。この考え方は人が人を支配、管理することを最終目的にしている。人を家畜と同じように管理する制度の最終形態はどんなものだろうか。それは番号ではなくバーコードという話もある。体になんらかの方法でバーコードを印刷する。そのコードを基に個体を識別する。人々の自由は束縛される一方である。

 確かに家畜化されることにもいいことはある。日々生活を規則正しく生きるので一日の時間を効率よく使えるからだ。学校が毎日あるからこそ朝早く起きれることもあると思う。学校が長期間の休みになるとどうしても学校がある普段通りの生活は出来なくなってしまう。また社会的に秩序を保つためにも皆が同じような動き方をしなくてはならない。ヒトはペットなどと同じように動物として生まれてくる。しかし人は動物ではなく物事を考え想像し創造する人になるのだ。新しい発想や考え方、独創的な発案は自由な生き方から来るものだ。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1家畜化と創造性えてよ91123164848889
2費やす価値のある人生を!のんちゃん88250867819889
3高齢社会との付き合い方だるまー881447578989100
4高齢化社会の中でトウモロコシ88153657698092
5環境問題いすも87147059869287
6相手の基準ちな87103761798192
7隣の芝生は青いキリコ86121158758589
8「何ごとぞ花見る人の長刀」T・M86129256908489
9近所付き合いちえのわ86206584708186
10お互いの理解かはふ84116958708486



 国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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