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これからの学力は、読書力、作文力、数学力 as/5366.html
森川林 2025/09/17 12:17 


 現在、子供たちが勉強している学力の中身のほとんどは、記憶力と忍耐力になっています。
 それは、入試がそういう試験を課しているからで、子供も親も学校の先生も、その入試に合わせるように勉強しているからです。

 しかし、将来、子供たちが社会に出て仕事をするときに役立つのは、記憶力と忍耐力ではなく、思考力と創造力と共感力です。
 ところが、それらの勉強は、評価する場がないので個人に任せられています。

 だから、家庭が、子供の将来にとって必要な教育を行う必要があります。
 では、どういう学力が将来役に立つ学力かというと、それは、読書力と作文力と数学力です。


 ただし、数学力は、物事を考えるときに数学的に考えることができるということであって、数学の計算問題ができることとは違います。
 つまり、物事を感覚的にではなく理詰めに考えることのできる姿勢です。
 そして、少なくとも数式が出てくる話を避けずに理解しようとする姿勢です。
 それは、プログラミングの勉強などにもつながっています。


 必要な学力の中で、いちばん大事なものは読書力です。
 人間は、母語の言葉によって思考します。
 その思考の材料を作るものが読書です。

 今、子供たちを取り巻く読書環境は、「豊富の中の貧困」という言葉で言えると思います。
 たくさんの本や本の代替となる情報が溢れていますが、その多くは、売れるために子供たちにおもねる作り方がされています。

 私が気になることのひとつは、人気のある小説でも、殺人事件を話のきっかけにするような始まり方が多いことです。
 又は、単純な善悪二元論で、悪い大人をやっつけるというような話の展開が多いことです。
 また、なぜか外国の人が書いた絵本のようなものを読む子が多いことです。
 日本人が書いたいい本がたくさんあるのですから、もっと日本発の絵本を読むのがいいと思います。
 また最近では、小さい子供向けには、おしりとかうんちとかいう下品なタイトルで子供を引き付けるものがあることです。

 私は、子供たちの読書紹介で、勉強のよくできるはずの子供たちがそういう変な本を紹介しているのを聞くとがっかりします。
 たぶん、友達どうしで話題になっているから読んでいるのだと思いますが、そのような読書はそのときに面白いと思うだけで、あとに何も残りません。

 昔の子供向けの本は、と一概には言えないかもしれませんが、もっと情緒のある話が多かったと思います。
 例えば、作者で、私が知っている名前で言うと、小川未明、新美南吉、芥川龍之介、鈴木三重吉、椋鳩十、宮沢賢治などです。


 読書教育は、以前、月刊誌「到知」で「読書立国」という特集を組んでいたように、多くの人がその必要性を感じていますが、これまでの取り組みはすべて掛け声だけで終わっています。
 私が唯一、掛け声で終わらない読書運動と思ったのは「朝の10分間読書運動」ですが、それもいくつかの学校では、「読書よりももっと勉強になる漢字の書き取りをやらせよう」などとなっているところもあるようです。


 毎年の読書感想文コンクールは、優れた企画ですが、AIの時代には、コンクールや宿題というものは教育としての効果はなくなります。
 例えば、すでに最近の優秀作品として選ばれたものの中には、AIを利用したものが多数入っているはずだからです。
 読書教育は、コンクールや宿題として行うものではなく、授業の中で授業として行って初めて意味あるものになるのです。


 言葉の森が、現在考えているのは、推薦図書検定という企画です。
 読書が、本当に役立つのは、子供たちが中学生、高校生、大学生になってからです。
 小学生の間は、そのための助走期間として、良書をたくさん読んでいけるといいと思います。

 推薦図書検定は、AIを利用した仕組みで、現在特許を出願しています。
 作文検定の仕事が一段落したら、推薦図書検定に取り組む予定です。


 さて、もうひとつは、読書力と並んで必要な学力である作文力です。
 作文を書くことによって、思考力と創造力が育ちます。

 言葉の森の小学校高学年、中学生、高校生は、毎週難しい課題で感想文の課題を書いています。
 ここで、子供たちの考える力が育っていることがよくわかります。

 また、小学校高学年の場合は、作文の課題に合わせて親子で対話をする機会が作れます。
 中学生や高校生も親子で対話をすることができますが、中学生になると年齢的に親子の対話がしにくくなります。
 この親子の対話の時間は、子供が親の人生観や世界観に接する貴重な機会になります。


 作文の学習は、意義あるものだと多くの人が思っていますが、問題はまともな作文教育が行われていないことにあります。
 入試でも、中学、高校、大学で作文試験を課すところが増えていますが、この場合も問題は正しい作文評価が行われていないことにあります。

 試みに、生徒が書いた作文の評価を聞いてみれば、読む人によってかなり評価が違うはずです。
 また、同じ人の場合でも、日によって評価が違うはずです。

 だから、ほとんどの場合、作文の評価は、誤字がないかどうか、字数がちゃんと書けているかどうかというレベルで行われています。
 しかし、その評価のために費やす時間は、人間が行うかぎり、例えば600字の作文について1本5分から10分かかります。
 だから、学校によっては短い記述問題でお茶を濁しているところも多いのです。


 作文教育が行われていない最も根本の問題は、作文の正しい評価ができないことにあります。
 このため、現在の教育は評価のしやすい○×式のテストが中心になり、記述や作文の教育はつけたし程度にしか行われないようになっているのです。

 この問題を解決しているのが、言葉の森の日本語作文検定です。
 作文検定の評価は2つの方向で行われます。

 ひとつは、指示された表現が使われているかどうかです。
 例えば、小学生では、「たとえ(比喩)を使って書こう」などという項目があります。
 中学生や高校生では、「自作名言を使って書こう」などという項目があります。
 項目があることによって、子供は作文が書きやすくなり、作文自体もよりよい表現になります。

 もうひとつは、その作文にどのような語彙が使われているかという評価です。
 語彙の中には、考える語彙、知識の語彙、経験の語彙などがあり、また語彙の多様性自体もひとつの評価になります。
 この語彙の評価があることによって、子供たちはより広い実例と、より深い知識と、より高い思考のある作文を書こうとするようになります。

 そして、この項目評価と語彙評価は、デジタル技術とAI技術により機械化し数値化できるので、人間が読むのはその作文の内容の個性、感動、共感などに絞ることができます。
 これが、新しい作文教育の方法です。

 現在、AIを使ったOCR技術は、かなり進歩しています。
 言葉の森が開発したOCRシステムでさえ、普通の手書きの作文をほぼ正確にテキスト化できます。
 今後は、子供たちが書いた手書きの作文をOCRでテキスト化し、項目評価と語彙評価を自動化する仕組みが作文教育の中心になると思います。

 すると、学校教育の場で、作文指導が日常的にできるようになります。
 その際、先生の負担はほとんど増えません。
 そして、数値化された作文評価によって、子供たちの作文を書く意欲が高まり、作文の学習の日常化によって子供たちの書く力と考える力が育つのです。


 言葉の森は、今後、推薦図書検定と日本語作文検定によって、読書教育と作文教育の基準を作っていく予定です。


 創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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