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記事 1126番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
本当の国語力は作文力 as/1126.html
森川林 2011/01/16 21:21 



 小学校2、3年生から学習塾に通って国語の勉強をしている子がいます。

 親は、早くから勉強をさせれば力がつくと思いがちですが、低中学年からの塾通いは、かえって学力を低下させます。なぜかというと、塾では、解き方のテクニックを教えてテストをするだけの指導しかしないからです。その場合の国語の問題の多くは、選択式の問題です。ところが、この選択式の問題では、国語の実力はわかりません。

 言葉の森のホームページにも、センター試験を受ける高校3年生向けに、一応選択式の問題の解き方のコツを載せていますが、センター試験はだれでも満点近い成績をとれるものです。選択式の問題で、高得点をとっても、国語の実力がついたとは言えません。

 その証拠に、東大の国語の問題に、選択式の問題はひとつもありません。すべて50字から100字ぐらいの記述式の問題です。東大の合格者を多く出している開成中学・高校の国語の問題も、選択式の問題はなく、ほとんどすべてが記述式の問題です。

 つまり、選択式の問題で得点をとるコツを身につけるようなことは必要ないということなのです。そのようなコツは、試験の前に2、3時間説明するだけでだれでも身につけることができます。小学校の低中学年から塾に通って勉強するようなものではありません。

 低中学年から塾で勉強する弊害はほかにもあります。それは、家庭での読書の時間がなくなってしまうことです。言葉の森の生徒で、あまり本を読んでいない子にその理由を聞くと、ほぼ例外なく塾や習い事が忙しいから読む時間がないということです。

 塾によっては、夕方から夜遅くまで勉強をさせるところがあります。そうすると、その日は家に帰っても、夕食や明日の支度などをしているうちに寝る時間になってしまいます。読書というものは、一日でも読まない日があると読む習慣が崩れるので、時間のあるときにも本を読もうという気が起きなくなります。そして、この毎日本を読む習慣は、低中学年のうちにつけておかなければその後はなかなかつきません。

 低中学年からの塾通いは、勉強が忙しいから、本を読まなくなり、次第に成績が低下するから、更に勉強に追われるようになり、更に本を読まなくなる、という悪循環に陥る可能性が高いのです。

 本当の国語力は、作文力に表れます。しかし、作文力は、学校や塾の普段の国語の成績には出てきません。

 ところが、推薦入試で作文の試験が重視されるようなところでは、この作文力が生きてきます。そして、この作文力は、作文の試験のときに活用できるだけでなく、その子が社会生活を送るようになってからも、さまざまなところで役立つ本当の学力になるのです。

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作文を通して伝える日本文化とは何か as/1125.html
森川林 2011/01/15 21:12 



 言葉の森は、日本語の作文教室なので、当然日本文化のよさということを勉強の中で子供たちに伝えていきたいと思っています。

 日本語を大切にするとともに、作文の課題にも、日本の季節の行事などが盛り込まれるようにしています。中高生の書く小論文の社会実例でも、伝記や歴史や昔話の実例で、日本文化の伝統を現代に生かすような工夫をしています。

 日本文化は、世界の中でも特殊な文化です。そのために、日本の国語のテスト問題には、よく欧米と比較した日本文化というジャンルが出てきます。これは、日本で国語の勉強をしているとあたりまえのように思われがちですが、実は比較文化論が国語の問題の主要なジャンルになっているというのは、日本だけの特色なのです。

 そういう不思議な文化を持った日本の、その日本らしさの本質が実はまだよくわかっていません。「日本とは何か」という問いに対してよく引用されるものが、本居宣長の「敷島の大和心を人問はば朝日にほふ山桜花」という歌です。しかし、これを見て、そうだなあと納得できるのは日本人だけでしょう。世界に普遍的に通用する日本論はまだ存在していないのです。

 しかし、今、日本は大きな曲がり角に来ています。少子化と高齢化の進行によって、地方の街はどんどんさびれています。それに伴い、地域の商店街も縮小し、地域の行事も規模の大きいものは次第に行われなくなっています。また、国際的にも工業生産の中心が新興国に移っていくことから、日本の町工場は衰退に向かっています。

 このような中で、海外からの移民の増加や、逆に日本の工場の海外進出など、これまでの日本文化の土台となっていたものが、次々におびやかされているというのが現代の状況です。日本というと、一昔前までは、「ものづくりの日本」「教育立国の日本」というような言葉が思い浮かびましたが、今は単純にそのようなことは言えなくなっています。現代は、これまでの日本を支えていた前提が崩れ、日本とは何かという共通の理念がなくなりつつある時代なのです。

 ところが、ここで、日本らしさの根本を民族的なものに求めることは、日本の将来をますます出口のない道に向かわせることになります。日本には、既に、日本人ではないが、日本が好きで日本をよりよくしていこうと考えて仕事をしている多くの人がいます。それらの人たちが賛同できるような日本らしさを考えていかなければなりません。

 今必要なのは、未来に向けて日本というものを抽象化していくことです。それが、日本を世界に通用する普遍的なものにしていく道です。日本を守り発展させるというときに、日本の何を守り、何を発展させるのかということをまず考えていく必要があるのです。

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記事 1124番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
パソコン入力のときの構成図の入れ方(生徒用記事) as/1124.html
森川林 2011/01/14 22:55 

 パソコン入力した作文を「作文の丘」から送るときの、手書き構成図の送り方です。












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記事 1123番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/4/25
作文で創造力、構成力、表現力をつける―頭をよくする作文の勉強(その5) as/1123.html
森川林 2011/01/14 17:06 



 作文の勉強をして、どういう力がつくのでしょうか。

 これまで書いてきたことは、作文を勉強する前の読む力をつけるための勉強でした。音読や暗唱や読書や対話によって、理解力と思考力が育ちます。では、作文を書くことによって独自に育つ力とは何なのでしょうか。

 その一つは、発想力、創造力です。言葉の森の作文の勉強は、高学年になると、ほとんど感想文になります。感想文のもとになる長文を読み、そこから自分なりに身近な例を考える練習をします。

 この、似た例を考える練習というのは、数学のように正解がひとつになる勉強ではありません。ここで自分なりの考え方を作り出す力が必要になります。

 学校の勉強は、正解が一つに決まっているものがほとんどですが、社会生活では、正解が幾通りものあるのがむしろ普通です。自分の発想に自身を持ち、それを表現する力は、社会に出ればますます必要になってきます。これが、これから求められる学力なのです。

 作文の勉強をして身につくもうひとつの学力は、物事を構成的に考える力です。特に、言葉の森の高学年の作文は、全体の構成を先に考える形で勉強しています。このため、言葉の森の生徒の作文は、読みやすくわかりやすいと言われています。行き当たりばったりで考えながら書くのではなく、全体の見通しをつけてから書く練習をしているので、受験の作文にもそのまま対応できるようになっています。

 作文によって身につくもう一つの力は、平凡なように見えますが、書きなれるということです。特に、速く書く力や長く書く力というのは、スポーツと同じで練習を繰り返すことによって実力になっていきます。いくら、理解力や思考力や創造力があるといっても、それだけでは必要な長さの文章を必要な時間内に書くことはできません。やはり普段から書く練習をすることによって、いつでも苦もなく長い字数の文章をすばやく書くことができるようになるのです。

 また、言葉の森では、森リンという自動採点ソフトによってパソコン入力の作文を採点するようにしています。この森リンの点数を目標とすることによって、語彙を工夫した作文を書く力が育ちます。語彙力の土台となるものは読書ですが、その語彙力を生かすには、その語彙を自分で実際に作文に使ってみることです。作文に書くことによって、自分の語彙をもっと豊かにしようという意識が育っていくのです。(おわり)

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毎日の自習で力をつける―頭をよくする作文の勉強(その4) as/1122.html
森川林 2011/01/13 18:24 



 言葉の森の毎日の自習には、暗唱のほかに、読書や問題集読書があります。これらは、いずれも本人が希望して取り組むことにしていますから、時間的に忙しくてできないという場合は、自習をしなくてもかまいません。毎週しっかり作文を書くというだけでもいいのです。

 実際、受験の1年前になると、子供たちには読書をする時間的余裕がなかなかとれなくなります。しかし、本当に本の好きな子は、そういうときでも空き時間を見つけては本を読みます。読書の量は大幅に少なくなりますが、読書をすることが自分の精神生活にとって欠かせないものになっているのです。こういう子は、受験のあとも確実に伸びる子です。ですから、読書については、本人の希望にかかわらずできるだけ続けるように言っています。

 問題集読書というのは、言葉の森で独自に行っている文章の読み方です。小学校高学年になると、その学年にふさわしい本がなかなか手に入らなくなります。それでも、物語文の本はそれなりに書店などにありますが、高学年の生徒が読んで知的な面白さを感じるような説明文の本が書店にはまずありません。中学生や高校生になると、岩波ジュニア新書のようなシリーズで説明的な文章に触れる機会も増えてきますが、それでも小学校高学年、中高生が読める説明文の本はかなり不足しています。

 ところが、入試問題集の文章には、この面白い説明文がかなりあります。出典となっている文章は、もともと大人向けに書かれたものが多いので、子供が普段の生活で本として読むような機会はまずありません。しかし、その本の中で、子供にも理解できる部分が問題文になっているので、問題文の文章自体がひとつのエッセイのようなものとして読めるのです。

 また、入試問題ですから、バランスを考えて、説明文と物語文が同じぐらいの割合で載っています。問題集で物語の一部を読むことは、本を一冊を読み終えたときに感じる読後感がないという点で読書の代用にはなりません。だから、読書は読書で独自に行っていく必要があります。しかし、問題集で読む物語の一部は、いわばその物語のクライマックスになっていることが多いので、感情の動きなどをかなり深く感じ取ることができるのです。

 この問題集読書で大事なことは、やはり繰り返し読むことです。全国の入試問題ですから、全体のページ数はかなりあります。それを1年間かけて毎日4-6ページずつ読んでいくという読み方ですから、毎日気長に読んでいけば、年間を通して1冊の問題集を3、4回繰り返して読むことができます。この繰り返しの回数が、読む力をつけるには重要なのです。

 言葉の森では、ただ読むだけではあとに残らないので、読んだ文章をもとに四行詩を書くようにしています。深く読んでいる子は、やはりいい四行詩を書いてきます。しかし、大事なのは、まず文章を読むことです。書くことは、その結果ですから、時間がないときは、読むだけでも十分です。この問題集読書を続けていると、文章を読む力が必ずついてきます。(つづく)

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