書き方の大事なポイントは、3つあります。
(1)字数を調整しやすくするために、パソコンで下書きをすること
(2)裏付けとなる数字や固有名詞のデータを入れること
(3)子供本人に任せずに必ず親が見てあげること
志望理由書の書き方ということで、書店にはいろいろな本が出ています。書く内容は、それらを参考にしていただくことにして、ここでは、それらの本にはあまり書いていないことを説明したいと思います。
第一は、子供任せにしないことです。志望理由書は本人が書くという建前になっていますが、小6や中3の子供に任せて、いいものが書けるはずはありません。と書くと言いすぎですが、ここはやはり親が全面的に協力して内容を煮詰めていくことです。
第二は、明るい内容、面接で話題にしてほしい内容に絞ることです。明るさというのは、志望理由書以外に、作文の試験の場合も重要です。文章がうまければよいというのではなく、自分の好ましい人柄がにじみ出るように書いていくことが大事です。
第三は、勉強の話を中心にしていくことです。学校は勉強をするところです。それなのに、部活や友達や趣味の希望をたっぷり書いてしまう人がいます。学校で青春を楽しみたいという気持ちはわかりますが(笑)、勉強をしにいくのだという原点を大事にしておかなければなりません。その学校に入ったら、どんな勉強を何のためにどういうふうにやっていきたいかということを書いていくことです。
第四は、書くスタイルです。よく直接鉛筆で書いて、手書きの原稿を推敲している人がいますが、それでは十分な推敲はできません。まず最初に、自分が普通に書くぐらいの字の大きさで、読み手にとって見にくない程度の文字で2、3行手書きで書いてみます。そして、1行の平均的な字数を数えます。そのあと、その字数と行数に合わせてパソコンで下書きを書いていきます。パソコン上で推敲を十分に行ってから、最後は手書きで清書をするようにします。
第五は、書いたものは、必ず書いた本人以外の他人に見てもらうということです。本人がアピールしたいと思っていることと、相手に実際にアピールすることとは違います。どういう内容がアピールするかというと、ひとつは挑戦したことがわかる話、もうひとつは継続したことがわかる話で、これらに客観的な裏づけのあるデータを入れて書きます。客観的なデータとは数字や固有名詞のことで、例えば、「○年間、○○の委員長を務め、○○という工夫をして、○○パーセントの成果を上げた」というような書き方です。
志望理由という言葉から、自分の希望を中心に書いてしまいがちですが、未来の話はだれも同じようなものになりがちです。自分らしい過去の実績を盛り込みながら書いていくことが大事なのです。
言葉の森では、毎週1回の作文の勉強以外に、毎日家庭で取り組む自習の課題があります。
その自習は、問題を解くようなものではなく、同じ文章を繰り返し読むという自習です。この同じ文章を繰り返し読むということが、国語力の最も確実な土台となっています。
その一つは、暗唱用長文です(ただし、本人の希望により、自習として取り組むかどうかを選択できます)。暗唱の勉強というと、文章を覚える勉強と考える人がいますが、そうではありません。覚える勉強ではなく、何度も繰り返して声を出して読んでいるうちに、結果として覚えてしまうという勉強です。
この暗唱の方法は、言葉の森が独自に開発した暗唱用紙を使って行います。仕組みはきわめて簡単で、100字の文章を30回読んで覚えることを基本に、1ヶ月で約1000字の文章を暗唱できるようにするという方法です。
最初は、どの子も、そんなことは難しくてできないと思うようです。しかし、実際にやってみると、わずか10分でほとんどの子が、100字の文章をすらすら暗唱できるようになります。あとは、手順を追って毎日10分の自習を続けていけば、1ヶ月でだれでも簡単に1000字の文章が暗唱できるようになります。
この暗唱によって、どのような効果があるのでしょうか。読む力と書く力と理解する力がつくのです。もちろん長い文章を覚える力もつきます。暗唱の練習をした子は、中学生や高校生になって英文や古典の文章を覚える必要が出てきたときも、暗唱の仕組みを知っていますから気楽に取り組むことができます。しかし、暗唱の本当の目的は、記憶力ではなく、理解力をつけることにあります。
どうして暗唱によって理解力がつくのでしょうか。それは、長い文章を丸ごと自分のものにすることによって、その文章の中にあるさまざまな因果関係も丸ごと自分のものとして消化できるようになるからです。理解力は、初歩的な段階では文を理解することですが、高度な理解力になると、文の理解ではなく、文章の中に盛り込まれた考え方の理解になります。この考え方の理解が、理解力の本質で、それがすべての学力の土台となるのです。
毎日の自習として、小学校高学年や中学生、高校生の生徒が行っているものは問題集読書と四行詩です(ただし、本人の希望により、自習として取り組むかどうかを選択できます)。これも、言葉の森の独自の勉強法で、入試問題集を読書がわりに読むことで、難しい説明文を読む力をつけていくものです。(つづく)