ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1363番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/3/3
豊かさへの展望(子供たちの教育を守るために)4 as/1363.html
森川林 2011/10/05 16:18 



 言葉の森が考えている森林プロジェクトのもう一つの目的は、地域での女性の手による小起業です。

 現代の新しい寺子屋的な教育の主な担い手は、小中学生の子供を持つ母親です(もちろん父親も含みますが)。なぜかというと、子供たちの成長と教育に関して、いちばん真剣にならざるを得ないのがその年代の母親だからです。

 そして、この子供たちの教育は、地域の同年代の母親が連携して子供たちをよりよく育てるというイメージで行われていくでしょう。なぜ連携が必要かというと、小中学生の子供たち自身が友達と連携して生きる時代にいるからです。家庭での教育といっても、親と子供だけが向き合って勉強をしている形では魅力の乏しいものになってしまいます。同年代の子供たちの数人の小さな集団の中でこそ、子供たち意欲は増してくるからです。

 教育という仕事で、なぜ母親が中心になるかというと、教える仕事の多くは、女性の方が向いているからです。そして、母親たちが、子供たちの教育について上手に教えるコツをつかみ、教室を運営する仕組みをつかむようになると、次はその経験を土台にして、新しい仕事を創造することができるようになります。

 女性は、一般に男性よりもクチコミ的な交流の能力が優れていますから、自分の個性を生かして新しい仕事を始める場合、スタートは男性よりも軌道に乗せやすいことが多いのです。それらの新しい仕事の分野は、主に教育的、文化的なものになるでしょう。そこから、新しい創造文化産業が発展していきます。

 アップルやマイクロソフトが誕生したときも、最初は、コンピュータいじりの好きな若者が自分の興味の赴くままに、半分遊びのようなノリで仕事をしていました。未来を作るのは、それが斬新なものであればあるほど、事前の計画的なビジョンではなく、興味と関心と熱中という動機です。儲かりそうだから始めるというものよりも、面白そうだから始めるというものの方が、大きな将来性を秘めているのです。

 日本でこれから生まれる新しい創造文化産業は、主に女性と若者の手によって、最初は小さな個性の発揮のようなところから始まると考えられます。

 現代の社会の特徴は、多くの人が、単なる消費者から、自分も生産する側に回りたいと考えていることです。物を買うよりも自分も作って売りたい、いい音楽を聴くよりも自分の声で歌いたい、本を読むよりも自分も本を書きたい、誰かに教わるよりも自分も誰かを教えたい、そういう気持ちを多くの人が持つようになっています。

 森林プロジェクトの作る寺子屋は、子供たちの教育の場であるとともに、教える母親たちが自分たちの手で教育的文化的な仕事を始める基盤にもなります。

 ヨーロッパ生まれの文化産業は、クラシック音楽やバレーなどの芸術に見られるように、主に宮廷文化として発達しました。貴族の文化的ニーズとして生まれたものが、大衆的に広まっていきました。だから、これらの産業の前提になるのは、一部の優れたプロと大多数の受け手としての消費者でした。

 これに対して、日本の江戸時代の文化産業の多くは、最初から大衆のニーズをもとにして発達しました。だから、誰でも作り手として参加できる広がりを持っていました。

 これからの産業は、多くの人が消費するものかどうかということよりも、多くの人が作り手としても参加できるものかどうかということが重要になります。

 産業というと、すぐにどれだけのニーズがあるかということを考えるのは、かつての製造業の三種の神器時代の意識の名残りです。現代の日本のように豊かな社会では、どれだけニーズがあるかということよりも、どれだけ参加したい人がいるかということが重要になってきます。すると、そこで生まれる新しい産業は、きわめて多様性に富み、大衆自身が作り手となり、主に人間の成長や向上に役立つ教育的な要素を持つ、創造的な文化産業になるのです。

 日本は、そういう創造的な文化産業の時代を、既に江戸時代に一度経験しています。その経験を、現代の科学技術と情報インフラと民主主義と国際的な広がりの土台の上に再び開花させることが、これからの日本を豊かにする展望になります。そして、それがこれからの子供たちの教育を守り発展させることにつながっていくのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森林プロジェクト(50) 

記事 1362番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/3/3
豊かさへの展望(子供たちの教育を守るために)3 as/1362.html
森川林 2011/10/04 15:53 


 言葉の森が考えている森林プロジェクトの目的の一つは、新しい教育を提案することです。



 新しい教育とは、簡単に言えば、

(1)受験のための教育から実力のための教育へ、
(2)外部に委託する教育から家庭と地域による教育へ、
(3)点数を目標とした教育から文化を目標とした教育へ、
(4)競争を動機とした教育から独立を動機とした教育へ、

という大きな流れの中に位置づけられる教育です。

 これを作文と国語の教育を中心に実現していくことが森林プロジェクトの目標です。



 今の子供たちの学力は、全体的に見て昔よりも低下していますが、それよりも大きな問題は、学力の二極分化が起こっていることです。(学力の低下は、はっきりしたデータが少ないという問題がありますが、なだらかな低下が起こっていることはほぼ間違いありません)

 これからの創造文化産業は、どの分野であっても理解力や思考力の裏づけが必要になります。芸術、音楽、スポーツなどの分野でも、これからは知的な裏づけが必要になってくるのです。

 だから、子供たちの学力を育てることは、教育の最も大きな目的になります。



 学力低下の原因はさまざまですが、大きく三つのことが考えられると思います。

 第一は、学習が子供たちの内的な意欲を引き出していないことです。そのために、現在の学習の多くは、強制、競争、賞罰などを意欲の動因としています。これからの学習は、子供たちどうしの協力、家庭における対話、地域での承認と期待などに支えられたものになる必要があります。

 第二は、学習の中身が、本来の目的からはずれていることです。今の学習は、子供たちの将来の生活に必要な学力をつけるよりも、受験で差がつく分野の学力をつけることを中心にして行われています。例えば、高校生の早い段階で、大学入試に対応するために理系と文系のコースが分けられてしまうことがあります。人間には、文系の教養も理系の教養も両方必要です。それが、ただ受験に対応するためという理由によって偏ったものにさせられています。

 第三は、教育の方法が時代後れになっていることです。今の一斉授業の教育は、同じぐらいの年齢や知的レベルの子供に同じ手順で同じことを教えるという昔の工業時代の教育観を基礎としています。しかし、現代は、子供たちの生活環境も学力も目標も多様化しています。このような中で、一斉授業を続けようとすれば、少人数学級や習熟度別クラスの方向に進まざるを得ません。しかし、それはただコストがかかるだけで、コストのわりに効果の少ないものです。また、コストがかかることによって、所得による教育格差を更に拡大します。



 これらの現代教育の限界を克服する方法として考えられるのが、子供たちの自学自習を基本にして、家庭と地域で支えていく新しい形の寺子屋的な教育です。(つづく)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森林プロジェクト(50) 

記事 1361番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2026/3/3
豊かさへの展望(子供たちの教育を守るために)2 as/1361.html
森川林 2011/10/03 17:14 



 世界経済の行き詰まりを打開する道は、製造業を超えた、新しい大衆的な創造文化産業を生み出すことです。それがこれからの日本の役割です。

 そのための第一歩は、日本が過去の文化を思い出すことです。その一つとして考えられるのが地域の特産品文化です。

 江戸時代には、それぞれの地域で発達した特産品がありました。それらの特産品は、地域の経済を支えるとともに、将軍家御用達のような形で高度な文化的水準に達していました。これらの特産品を現代の工業技術と情報技術のもとで復活させることです。

 創造文化産業というと、個人が創造性を発揮するもののような感じを受けますが、ピカソやロダンのような形で個人が一人でできる分野は限られています。雇用の吸収力を考えた場合、一人ひとりがばらばらに創造するようなものよりも、広い裾野を持ちチームワークで作り出すものの方が効果は大きいのです。

 例えば、刀剣を作る場合でも、一人の職人が最初から最後まで手作りで仕上げるのではありません。そこには鉄を鍛える人、刃を研ぐ人、装飾を施す人とさまざまな工程ごとの分業があります。江戸時代の浮世絵なども、絵を描く人、彫る人、刷る人などの分業がある中で一つの産業として成立していました。特産品というのは、そういう裾野を持つ産業になるのです。



 多様な創造文化産業を生み出すためには、これまでの経済や教育の仕組みを変える必要があります。

 まず、創造産業を経済の中に位置づける仕組みが必要です。また、創造的な文化を経営に乗せる工夫も必要です。更に、人間が個性と創造性を発揮できるような教育を行っていく必要があります。つまり、政治、経済、経営、教育の分野で、新しい産業に対応した改革が必要になるのです。



 この新しい創造文化産業を生み出す母体になるのは地域です。しかし、従来の意味での地域と比べて、現代はインターネットで情報を共有できる範囲が広がっているので、地域の概念はより深くより広いものになっています。

 創造文化で作り出される商品やサービスは、ローカルなものです。世界中のどこでも作れ、どこでも輸出入できるグローバルなものではなく、その地域に行かなければ作り出せない商品やサービスが中心になります。生きた人間どうしのつながりの中で生産が行われるのが、この新しい産業の特徴です。



 このような創造文化産業が地域に確立すると、失業者というものは存在しなくなります。本人に働く意欲があれば、地域の産業は必ずその本人の持ち味を生かした仕事を作り出すことができます。それは、地域という有機的な環境においては、人間もまた有機的な存在になるからです。

 逆に言えば、今までの産業社会では、人間は企業の機能の一部を担う歯車であり、誰とでも代替可能な無機的な人間として見なされていました。地域の産業によって、人間の有機的存在が再び取り戻されることになるのです。



 言葉の森では、この創造文化産業の一つの形として森林プロジェクトを考えています。(つづく)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森林プロジェクト(50) 
コメント61~70件
……前のコメント
日本を復活させ 森川林
 日本を復活させる道筋は、創造教育文化国家を目指すこと。 6/1
記事 5081番
4月の森リン大 森川林
 大学生や社会人になった元生徒の子供たちが、自分が中学生だっ 5/31
記事 5085番
優しい母が減っ 森川林
 娘さんの友達から怖がられているというお母さん、コメントあり 5/8
記事 979番
優しい母が減っ 娘の友達
娘は中3。私は自称甘い母親です。世の中の厳しい先輩ママたちか 5/7
記事 979番
学習グラフのペ 森川林
言葉の森の今後の方針は、デジタルなデータをアナログで送信する 5/6
記事 5058番
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
記事 4657番
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
記事 4657番
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
記事 5034番
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
記事 5030番
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
記事 5028番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
AIにふりがな 森川林
●内容(ないよう)には点数(てんすう)をつけませんが、次(つ 2/26
森川林日記
2月分 なかそう
中学2年生の読解検定の質問です。問題3のAは本文の4行目〜5 2/25
国語読解掲示板
2月分 なかそう
中学2年生の読解検定の質問です。問題3のAは本文の4行目〜5 2/25
国語読解掲示板
2026年2月 森川林
https://youtu.be/-LcKr7G 2/25
森の掲示板
作文クラスの継 森川林
作文クラスの継続のおすすめ ■■幼稚園年長~小学3年生 2/18
森川林日記
森からゆうびん 森川林
■「森からゆうびん」のお知らせ  「森からゆうびん」は 2/18
森川林日記
散歩中に音声入 森川林
 買い物などに行くとき、歩いているだけでは退屈だから、以前は 2/16
森川林日記
Xの使い方 森川林
・見たくない記事や動画は、右上の…で「このポストに興味がない 2/11
森川林日記
2月分 よこやまりょう
高校二年生の読解検定について質問です。 問1と問2がわかり 2/4
国語読解掲示板
Glitchの 森川林
https://hnavi.co.jp/knowledge/ 1/22
森川林日記

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●【重要】7月の新学期から作文用紙と封筒用紙の配布を廃止します――手書きの人は作文ノートの利用をおすすめします
●森からゆうびん2026年2月
●思考力を育てる作文教育

●本で最も進んでいるオンライン教育――少人数の対話と個別指導 無料体験学習 受付中。
●詰め込む学習から、創造する学習へ。小1から高3のオンライン少人数教育。小1から高3のオンライン少人数教育。
●担任制で対話のある、5人以内の少人数オンライン教育

●小学1、2年生は作文を始める適齢期です
●小学3・4年生は、作文がいちばん伸びる時期です
●小5・小6から、作文は「考える作文」に変わります。

●高校入試につながる作文力を、中学生から
●入試小論文に対応した作文評価を提供する作文検定(高校向け)
●入試小論文に対応した作文評価を提供する作文検定(塾高校向け)

●学校のための日本語作文検定(学校向け)
●学年ごとの「書く力」が一目でわかる(学校向け)
●総合型選抜・小論文評価業務に関するご提案(大学向け)

●学習塾のための日本語作文検定(塾向け)
●「書ける」ことが塾の強みになる(塾向け)
● 小1からのオンライン作文で、「読む力・書く力・考える力」を一生ものにします(生徒向け)

全国初の本格的な日本語作文検定作文の客観的評価で、誰でも作文が好きになり実力がつく。特許取得の独自のアルゴリズムとAIによる対話型600字講評。(学校塾向け)
●担任制で対話のある、5人以内の少人数オンライン教育 言葉の森
●詰め込む学習から、創造する学習へ。小1から高3のオンライン少人数教育。

●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習