今日、体験学習に来た小2の男の子に、100字の暗唱をしてもらいました。
ルビは振ってありますが難しい漢字も多く、最初は何度も間違えながらやっと1回読み終えました。この分だと、10分間読んでも数回しか読めないというペースです。
しかし、今回は、暗唱用紙を使って30回読む練習にしているので、時間はいくらかかっても平気です。
低学年の子は、最初のうちは横にだれかがついていないとできないようです。そこで、私(森川林)は、横で色鉛筆を削りながら暗唱を聞くことにしました。
片道の15回まで読んでも、最初と同じペースです。しかも、あちこち間違えたり飛ばしたりします。それでも、読み終えたつど、「お、上手になったね」「うまくなったぞ。その調子」などと励ましながら暗唱を続けます。
残り10回ぐらいになると、自分でもだんだん終わりに近づいてきたことがわかるので、だんだん元気が出てきたようです。残りの5回で、つっかえながらも大体全文を言えるようになりました。
30回読み終えたあと、「わあ、すごい。よく読めたね。じゃあ、見ないで言ってみよう(笑)」と長文を裏返しにすると、「えー!」と言ったあと、間違いなくすらすらと言えました。
これには、子供も自分で驚いたようです。こういう難しい文章を自分の力で暗唱するという経験は、これまでなかったはずです。
この子のような間違えたりつっかえたりの読み方だと、多くのお母さんは、気長に褒めることができずに、途中であきらめてやめさせてしまうと思います。
勉強のコツは、ただ反復することです。それも、目先を変えて反復するのではなく、同じことを同じように反復するのが大事です。これは、小学生の勉強にとどまらず、中学生や高校生の勉強にもつながる重要なコツです。
貝原益軒は、100字の文章を100回暗唱するという勉強法を提唱しました。しかし、現代では、単に100回暗唱するというのはやはり子供にとって抵抗が大きすぎるでしょう。100回の暗唱には、30分以上かかるからです。
その点で、暗唱用紙を使った30回の暗唱は、だれにとっても無理なくできる方法になっているようです。
同じ日に、高校生と中学生の英文の暗唱もしました。こちらは、日本語換算で100字程度の短い文章ですが、中学生や高校生の子は、反復するよりも頭で覚えようとするので、逆にかえって暗唱するところまで行きません。だいぶ長い時間がかかって、やっと100字の暗唱ができました。
慣れてくれば10分以内で楽にできるものですが、反復というコツがまだわからないので、遠回りの勉強になっているのです。しかし、これも、やっているうちに自然にコツがつかめてくると思います。
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■漢字書き取りのページを作りました。
ひらがな、カタカナ、数字と、教育漢字、常用漢字を網羅しています。
これを筆記体のフォントで印刷して、その薄い文字の上を12色の色鉛筆を使って12回なぞると、漢字も覚えるし字も上手になる、という仕組みです。
https://www.mori7.net/mori/kakitori.php
江戸時代の人たちが達筆だったのは、文字をなぞって覚えたからです。現代に、そのなぞる練習法が伝わっていないのは、筆を使わなくなったからです。そこで、筆のかわりに色鉛筆を使うようにしました。
12回なぞると、自分でも驚くほど上手な字が書けるようになります。
■暗唱用紙を改良しました。
これで暗唱の木を作ると、昆虫や葉っぱが出てきます。毎日楽しく暗唱できると思います。
■暗唱フォンを改良しました。
両耳タイプですが、更に、折りたたむと薄くなり、かばんに入れてどこにでも持ち運べます。
材料は、A4の紙3枚、ホッチキスの針10本で、作成時間は3分ほどです。
▼暗唱フォンダブル改良型
△折りたんだ形(輪ゴムでとめてある)
△ススッ。
△カシャーン、カシャーン、カシャーン。
△シャキーン。おお!
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江戸時代の文字の勉強法は、手本を筆で何度もなぞって真っ黒になるまで書く練習でした。紙が真っ黒になると、乾かしてまたなぞります。頃あいを見て、先生が清書をさせ、その清書に朱を入れるという勉強法でした。
このなぞるというやり方によって、子供は、ただ文字を覚えるだけでなく、美しい文字の書き方も覚えていたのです。
現代の勉強法では、漢字はやはり書いて覚えますが、その回数はあまり多くありません。間違いなく正しく書けるようになれば、それでできあがりです。その完成度を見るためにテストをするという仕組みになっています。
欧米の人が日本語を勉強する際に、いちばん苦労するのが漢字だそうです。それは、やはり漢字を理解して覚えるという発想から勉強しているためだと思います。
習得の第一段階は、やはり理解です。第二段階は、記憶です。記憶して再現できるようになれば勉強は完成です。しかし、その先に、更に反復して血肉化するという勉強があります。
江戸時代の教育は、理解や記憶でとどまらずに血肉化するという目標で行われていたようです。
この勉強法を現代に生かすには、どうしたらいいでしょうか。
漢字の書き取りで言えば、まず、教科書体や筆記体のフォントを白抜き文字で大きくプリントします。その白抜き文字の上に、何色もの色鉛筆で何回も文字をなぞっていきます。
このような書き方をすれば、漢字を覚えるだけでなく美しい漢字の書き方も同時に身につくようになります。
なぞるという勉強法は、反復すること自体を目的にしています。だから、かえって飽きずに続けられます。理解や記憶という勉強法は、理解や記憶をするところまでを目的にしています。だから、かえって飽きやすいのだと思います。
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読書には多読という要素もありますが、ほかに、精読、難読という要素もあります。
速読は、多読の土台となるものという点で重要です。多読がなぜ価値があるかというと、知識の材料を仕入れることができるからです。人間のものの考え方を三角形の面積と考えると、知識がその三角形の底辺となります。この底辺の知識が現実の世界を反映しています。そこに三角形の高さという思考力が掛けられます。この思考力は創造性とも呼ばれるものです。こうしてできた「現実的な創造」というものが三角形の面積に当たります。その点で、知識を幅広く仕入れるために本をたくさん読む、本をたくさん読むために速く読む、ということが必要になってくるのです。
ところが、もう一方で、たくさん読むだけではなく深く詳しく読むということも読書の重要な要素です。精読というのは、遅い読書ではなく、繰り返し読む読書、つまり復読のことです。「読書百遍意自ずから通ず」という世界が復読の世界です。
さらにもう一つの重要な読み方は、難しい読書、つまり難読です。難読は、知識を手に入れるために読むのではなく、考え方を身につけるために読むというような読み方といってもいいでしょう。この難読の対象となる本は、いわゆる古典と呼ばれている本です。古典と呼ばれている本を読む意味は、古典が当時の世界における革新の書だったという点にあります。なぜ革新の書だったかといえば、それはその当時のパラダイムに対して新しいパラダイムを提案した書物だったからです。新しいパラダイムは理解しにくい、つまり読みにくい。これが、難読が価値ある読書ということの意味です。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
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