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無理のきく勉強法(2)―だれでもできる暗唱の仕方 as/952.html
森川林 2010/07/05 00:01 
修 削



 前回、無理のきく作文の勉強法として構成図の例を挙げました。無理のきくもうひとつの勉強法が、暗唱用紙を使った暗唱の勉強です。


 子供が何かを勉強していてい理解できないときに、叱って理解させることはできません。何度も説明して、何度もテストでチェックして理解を確かめるというのが普通の勉強法です。これが、現在の教育の主流になっています。

 この方法は、教える先生の負担が大きいこと、教わる側も教わっている最中の苦痛が大きいこと、教わっている時間に無駄の多いこと、などが欠点です。

 この方法は、実はヨーロッパ的な教え方と言ってもいいものです。近世のヨーロッパでは、先生がムチを持って子供たちを教えるというやり方が一般的でした。この教育の対象は、一部の裕福な子供たちに限られ、しかも能率が悪く、社会全体の識字率は低いままでした。

 一方、近世の日本で行われていた勉強は、読む勉強、なぞる勉強が中心でした。この方法では、先生は子供たちを遠くから見守るだけで、豊かな子も貧しい子もだれでも参加することができ、それぞれ自分のペースで能率よく勉強をこなしていました。

 言葉の森で現在、子供たちの自習の課題として行っているのは、この読む勉強、なぞる勉強のひとつである暗唱という勉強です。

 理解する勉強で無理をするためには、先生がひとりの生徒につきっきりで教えなければなりません。暗唱の勉強では、最初のうちはつきっきりになることがあっても、途中からすぐに子供が自主的に勉強を進めていくようになります。

 暗唱の勉強で、子供たちが自主的に進めていくきっかけになるものとして暗唱用紙があります。

 暗唱用紙では、例えばある文章を1回読んだら紙を1回折ります。繰り返しの勉強というのは退屈ですから、何の目当てもないままに繰り返すだけならば2、3回ですぐに嫌になるのが普通です。ところが、暗唱用紙を使うと用紙を折るという作業が入るので、繰り返しが目に見える形で残ります。その結果、暗唱が抵抗なくできるようになるのです。

 暗唱用紙で音読を繰り返していると、だれでも例外なく長い文章の暗唱ができるようになります。そのため、暗唱用紙を使うことによって、無理にでも勉強をさせることができます。

 勉強でもスポーツでも、無理にさせること自体がいけないのではありません。無理にさせてもできるようにならなかったという、「できなかった」という結果がいけないのです。ですから、無理矢理やらせたことであっても、その無理のあとすぐに成果が出れば、子供たちには「できた」という満足感が残ります。

 理解させる勉強では、無理にやらせても成果が出るまでに時間がかかります。そのために、結局「できなかった」ということになり、かえってやる気をなくすことも多いのです。しかし、暗唱の勉強はそうではありません。すぐに「できた」という結果が表れます。

 理解させる勉強では、同じように教えてもできる子とできない子がいるので、理解度に差があることは当然とされます。そして、その理解度の差を点数の差として競争させることによって意欲を持たせようとします。しかし、理解させるという教え方は手間がかかるので、理解のための努力が本人任せになる結果、点数の差は、競争による意欲づけにも関わらず次第に固定化していきます。

 これが、現在の世界のほとんどの国が直面している、教育の高コストと低効果という非能率の原因になっています。

 教育予算や学校設備や教員の多い少ないに関わらず、世界中の子供たちが教育の恩恵に浴することができるためには、日本の歴史が効果を証明した「読む勉強、なぞる勉強」を現代に復活させていく必要があります。

 それは、競争という手段をとらずに子供たちに無理をさせることができ、またどの子にも達成感をもたらすことのできる勉強なのです。


 ▽参考「暗唱用紙を使った暗唱法」
https://www.mori7.com/mori/mori/annsyou.php

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うっとり 20100706  ▽
記事トップに掲載されている写真は、どれも素敵です。
今回の写真は「姿見の池からの旭岳」ですね?
すがすがしい空気が伝わってきそうです。
記事の内容ももちろんですが、写真も楽しく拝見しています。

森川林 20100707  ▽
 うっとりさん、ありがとうございます。
 大雪山は、まだ行ったことがありません。
 自然が好きなので、できるだけ自然の写真を使うようにしているのです。
 毎日が、教室と自宅の往復という人工的な日々なのでなおさら。(^^ゞ

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無理のきく勉強法(1)―構成図を使った作文の書き方 as/951.html
森川林 2010/07/04 11:02 
修 削


 作文というのは、無理のきかない勉強でした。

 昔、ある生徒が教室に来たとき、送ってもらう車の中で、お母さんに何か叱られたらしく、半分泣き顔で入ってきたことがありました。そのときに書く課題の題名が、「楽しかったこと」のようなものだったということがありました。悲しい気持ちでいるときに、「楽しかったこと」という題名の作文は書けません。これが、作文の勉強が、英語や数学などほかの勉強と違うところです。

 作文の勉強は、感情を伴うものなので、書けないときに叱って書かせるようなことはできないものでした。

 ところが、子供によっては、準備不足で書くことを決めてきてこなかったり、そのときの課題が書きにくいテーマだったり、たまたま気分的にやる気の出ないときだったりするという状態で教室に来ることがあります。

 そういうときに、その子供が甘えて、「今日は書けない」などと言うと、いくら先生や親が、「こういうこともあるでしょう」「ああいうこともあるでしょう」と水を向けても、なかなか書き出すことができません。

 このように、小学校低中学年の子が作文を書けないとき、家庭でうまく対応する方法があります。

 その方法のひとつは、親が続きの文を言ってあげることです。親の言ったとおりに何行か書いていくと、子供はそのあと自然に自分で続きを書けるようになります。

 もうひとつは、構成図を使うという方法です。子供を横にすわらせて、お父さんやお母さんが子供と話をしながら、構成図の枠を埋めていきます。子供がやる気のないときでも、半分尋問のように(笑)、叱りながらでもいいので話を聞いてどんどん枠を埋めていきます。

 質問しても話があまり出ないときは、似た話に広げていきます。例えば、「おふろ」という作文の課題で、お風呂の話題が尽きたときは、お風呂でもぐったこととか、石鹸(せっけん)が目に入って痛かったこととか、小さいとき親と一緒にお風呂に入ったときのこととか、お風呂の掃除をしたこととか、旅行に行って温泉に入ったこととか、話の幅を広げて聞いていきます。

 構成用紙の枠が全部埋まったところで、「これで作文を書いてごらん」というと、ほとんどの子は喜んで書き出します。

 構成図は、よく書ける子の場合は作文のシミュレーションとして、あまり書けない子の場合は作文の呼び水として使っていくことができます。

 構成図を使うと、作文はかなりの程度まで無理のきく勉強になります。

●構成図の書き方( https://www.mori7.com/mori/mori/kouseizu.html )


 ところで、小学校高学年、中学生、高校生の生徒が、作文の続きをなかなか書けないときの対応は、少し異なります。これは、心理的に書けないというよりも、内容が理解できなくて書けないということだからです。

 言葉の森の生徒が家庭で作文の勉強をしているとき、作文を書けない状態が10分以上続いたら、迷わずに教室に電話で相談してください。追加の説明をすれば、ほとんどの子が書けるようになります。

 担当の先生は、一般に、子供が普通に理解できていることを前提にして説明します。しかし、その説明で書けなかった場合、教室に電話をしてくれれば、教室では、その子がよく理解できなかったことを前提にして易しく説明し直します。それで、ほとんどの子は書けるようになるのです。

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