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森リン大賞の4月のベストテンの作品から 3 as/1561.html
森川林 2012/06/13 20:03 

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●自分の運命 はるりん(中2) 総合87点 1246字

 「私」という人間がこの世に存在しているということほど、不思議なことはないのではないだろうか。 別に、自分が望んでこの世に存在するようになったのではない。気がついたら、この世にいたのだ。しかも、名前や性別、国籍や身分なども全て勝手に決められている。この自分に憤慨してみても何も変えることはできない。つまり、この「私」を受け入れて生涯を生きていかなくてはならないのだ。この不思議な現象を人に理解させるために、最も優れているのは児童文学である。「たましい」の現実を見る目は、子どものほうが優れているのだ。子どもの澄んだ五感で捉えた世界が、児童文学には語られている。

 確かに、自分の生きていることの不思議さを理解することは大切だろう。自分の運命を憎んでも仕方がないのだ。なんで私はこんな名前なんだろうとか、なんでこの国に生まれたんだろうとか、大人になってゆくにつれ、考えることはたくさんあるだろう。前にテレビで手足のないチアリーダーの特集をしていた。その人は、小学校低学年のうちは、友達の中心にいるような子ですごく明るかったのだが、高学年になるにつれ周囲の子との差が生まれてきて、次第に友達がいなくなってしまった。そのまま中学生になり、中学校では友達が一人もできなっかた。手足がない自分の体を何度も責め、しまいには死にたいと思うようにもなったそうだ。ところが高校に入学し、チアリーディング部に感動し、入部してチアリーディング部の裏方を務めるようになって、友達もたくさんできた。高3の時は実際に演技に参加することもできたのだ。今は、就職もして元気に生活しているそうだ。その人は、今は手足がないことを受け入れ、自分は周囲の人と変わらない、と思うようになっているそうだ。この人のように、自分の運命は受け入れざるを得ないものなのだ。

 また、児童文学には自分の運命を理解するための要素がある。私が大好きな本に「パセリ伝説」という本がある。北海道で平凡に暮らしていた少女が、実は遠い星にある王国のプリンセスで、ほかの王国との戦争を止めなければならない、というお話だ。その少女パセリのセリフに、このようなものがある。「今更、このような使命を持って生まれたプリンセスが私だった、ということを嘆いても仕方がないわ。今はとにかく、この戦争を止めなければ!!」まさに、この長文にぴったりのセリフだと思う。このプリンセスは、自分の運命をしっかりと受け止めている。「私」という存在の不思議さをわかった上で、自分の使命をきちんと果たそうとしているのだ。これは、自分の運命を理解できていない人のお手本だと思う。

 自分の存在を理解すること、また理解するために児童文学を利用すること、どちらもよいことだと思う。しかし、一番大切なことはその人生を自分が作るのだ、という自覚を理解することである。「自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない」という名言もあるように、理解をして、運命を受け入れることが大切なのだ。

●軽薄短小の文化に流されない きやの(高1) 総合85点 1036字

 あらゆるものがカジュアルになっていき、機器の圧倒的な便利さと引き換えに、面倒な手続きがどんどん失われていく中で、クラシックはおしゃれなファッションにさえなることができたが、クラシックの啓蒙になり普及につながると早合点しない方がよい。今日15秒ぽっきりという異端の聞き方が効果をあげたのは一曲を有機的構造体として把握する構造的な聴き方のできない人、あるいは秘かな異和を抱いている人がしだいに増えているからであろう。

 クラシックの一部分を15秒で流すような軽薄短小の文化に流されるべきではない。

 そのためには、物事の原点に目を向けることだ。最近は親指一本で文を書く人が増えている。「今の日本人は字が本当に汚い。漢字もろくにかけないし、書き順なんてめちゃくちゃだ。」と国語の先生が言っていた。確かに、今のぼくたちは文字を書く機会が減ったと思う。今ぼくもキーを押して文章を書いている。パソコンの便利さは捨てがたいが、なるべく鉛筆を持って書くようにしたい。また、日本語が汚くなっているというのも大きな問題だ。今の日本人は何でも省略したがる。例えば、「キモイ」「マジで!?」「チョー~」。聞いていると不愉快になる。ぼくも思わず言ってしまうことがあるのだが・・・。さらに、敬語も忘れられてきているように思う。先生にため口をきいているのを聞くと非常に不愉快だ。日本のこの現状に対し、フランスやイギリスは自分達の言語に誇りを持ち、大切にしているという。日本も原点に目を向け自国の言葉を大切にするべきだ。

 第二に、学校教育などでもじっくりと物事を考える場を作ることだ。今考えると、中学の授業では生徒は「聴衆」であったように思う。先生が教科書どうりに話していただけであった。理科の授業では実験が全くといってよいほどなかった。教科書に載っていることを暗記させるだけだ。これでは到底理科の世界に興味を持たせることはできないだろう。活発な議論が行われるべき社会の授業でも、ぼく達はノートをとることに没頭していただけであった。また、小学校の卒業文集は作文ではなく「卒業新聞」であった。細切れの文章しか書かされなかった事に疑問を感じている。まともに文章を書かせなければ物事について考えることもないだろう。

 確かに、現代はいろいろなことを広く知っていることが求められる時代ではある。しかし、軽薄短小の文化とは親しみやすいものではなく社会の病弊なのだ。ぼくたちは軽薄短小の文化に流されるべきでない。


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